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▼『ローズマリーの赤ちゃん』の作品データ▼
#12.ゆりかご  (2000.2) 
 風邪、インフルエンザが流行していますが、みなさまはお元気ですか?わが家は子供たちに続き私もダウン。私が病気の時、家でゴロゴロしながら観るのは、過去に観たことのある作品が多いです。あらすじがわかっているため、もしもお薬がよく効いて、途中で眠ってしまっても安心(?)だからです。

つい先日、何年ぶりかで『ローズマリーの赤ちゃん』を観ました。今回はこの作品からの小道具「ゆりかご」について書いてみます。

□□□N.Y.に住む若い夫婦。ふたりは新居を探していた。古くからある建物内、アパートの一室。前の住人(老女)が亡くなり、家具や家財、部屋で育てていたハーブ類などがそのまま残っている。暖炉のある広い居間・立地条件の良さが魅力的、それだけに家賃も高いのだが、ローズマリー(ミア・ファロー)と夫のガイ(ジョン・カサベテス)は、その部屋を一目見て気に入り、ふたりの新居と決める。□□□

ローズマリーの相談相手であり、親代わりのようなハッチから、ふたりの決めた新居が、かつて悪魔のアパートと呼ばれていたことや、忌まわしい事件が連続して起きた過去を持つことを知らされ、忠告を受けても、若い夫婦はあまり深刻にとらえず、仲睦ましく新生活を始めました。

□□□ローズマリーはインテリア雑誌を参考にして、新居をセンスよくまとめ、住みやすく整えることに喜びを感じていた。しかし、ハッチから聞いた噂通り、ローズマリーの周辺では、次々と恐ろしい出来事が起きていく。大都会、N.Y.にしては珍しく、やけにベタベタとふたりの世話を焼きたがる隣人の老夫婦、カスタベット夫妻の言動も、ローズマリーの悩みの種だった。□□□

ある夜、ローズマリーは身の毛もよだつような悪夢を見ました。ほどなく妊娠した彼女は、ハッチや友達との接点を絶たれ、愛する夫、ガイとの間も不思議なほど、ぎくしゃくしていきます。初めての妊娠・出産に対する疑問や不安を胸に閉じこめたまま、やせ細っていくローズマリー。またハッチの急死という悲しみまでも。

□□□出産予定日まで一ヶ月を切り、ローズマリーは、もうすぐ生まれてくるであろう、かわいい赤ちゃんの為、子供部屋にベビーベッドや、ゆりかごを入れ、クリーム色と白を基調としたベビー服も用意する。喜びにあふれるはずの、出産の時・・・。が、彼女には「赤ちゃんは死産だった!」という、信じられない言葉だけが告げられた。□□□

ラストシーン。すべてを悟ったローズマリーが隣のカスタベット夫妻宅へ忍び込むと、そこには夫のガイや悪魔を信じる人々が集っており、彼等にとっての世継ぎ生誕を祝っているところでした。

□□□真っ黒な布に包まれた立派なゆりかご。黒いレースの部分には、逆さに吊り下げられたクロス・ペンダント。□□□

ローズマリーは泣き叫び、悲嘆にくれ、ソファーに崩れてしまいますが、やがて彼女は静かに立ち上がり・・・そっと、ゆりかごを揺らし始めます。自分が赤ちゃんの為に用意していたあの白くて可愛い「ゆりかご」とは似ても似つかない、悪魔の「ゆりかご」を・・・。放心しているようでもあり、また何かを決意しているようでもある、母親の瞳をして・・・。

 ミア・ファロー、迫真の演技と、彼女自身が本当にやつれていく様子が恐怖心をあおります。インテリアやファッションも、1968年の作品なのに今見ても素敵。ホラー映画にしては稀ですが、私が何度も何度も繰り返し観たくなる作品です。この作品のミア・ファローから、グウィネス・パルトローとかシャーリーズ・セロンを思い浮かべてしまいました。特に、シャーリーズ・セロンは悪魔の妻&宇宙人(?)の母親役でもある女優さんなので印象がダブってしまうのかもしれません。

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