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▼『プリティ・リーグ』 の作品データ▼
#05.旅行鞄(バッグ)  (1999.7)
 プロ野球シーズンも折り返し地点、もうすぐオールスター戦ですね。みなさんのごひいきチーム、調子はどうですか?

今回は、全米女子プロ野球リーグを扱った作品、『プリティ・リーグ』からの小道具をとりあげてみます。

□□□戦時中のアメリカ、プロ野球の選手達も各地へ出征していった時代のこと。主人公ドティ(ジーナ・デイビス)の夫ボブも兵士として戦争にかり出されていた。□□□

ドティは実家の農場で働きながら、ボブが無事に戻る日を待っていました。そんな彼女のもうひとつの役割は、女子アマチュア野球チームのキャッチャー。ドティの妹であるキットは、同じチームのピッチャーです。ある日のこと・・・、ドティのもとへ女子プロ野球リーグ設立の為スカウトマンがやって来ます。(女子リーグ設立=男子プロ野球チームの存続を危ぶむオーナー達が考え出した苦肉の策)しかし、夫の帰国を待ち望んでいるドティの返事はつれないものでした。

□□□ドティには入団する意志がないことを知って、帰りかけたスカウトマンに食い下がった妹のキットは、「ドティと一緒ならば君も来ていいだろう。」という約束をとりつける。まだ独身で、田舎の農場暮らしに嫌気がさしていたキットは、姉を必死に説得するのだった。キットの熱心さに負けて、ドティは渋々「OK」を出す。□□□

スカウトマンが乗っている汽車が駅のホームを離れるシーン。汽車は次第にスピードを増していきます。その後ろから走ってくる二人の女性の姿が・・・。ドティとキットでした。二人は両手に「旅行鞄」を抱えて走り続け、やっと汽車に追いつきます。汽車の入口に次々と投げ込まれる「旅行鞄」。そして車両に乗り込む姉妹。(この時旅行鞄に詰まっていたのは、彼女達の荷物ですが、もっと多くのものが詰まっていました。それは、ドティの”ためらい”とキットの”大きな夢”でしょう)

□□□シカゴへ向かう途中、スカウトマンはドティとキットを連れて別の町で汽車をおりる。マーラ という女性のバッティングを見るためである。このマーラは 凄い打者だった。右に左に打ち分けて、室内練習場の窓ガラスを何枚も割るほどの!スカウトマンは、マーラの強打者ぶりに驚きつつ、彼女の姿を間近で見ると、スカウトを諦めて帰ろうとする。□□□

マーラは 女性ながら、父親譲りの立派な体格と顔をしていました。(後々わかってきますが、彼女はとてもシャイな性格のかわいい女性なのです。)マーラを連れて行かないスカウトマンに疑問を抱き、その理由を尋ねるドティとキット。

その理由が【マーラのルックス(の悪さ)】と聞いて、呆れるドティ達。(このシーン、ドティ&キットが旅行鞄を同時にドスンと床に落として、「そんな失礼すぎる理由でマーラを連れて行かないならば、私達もここから動かない!」と意志表示するのが面白いです。)

ドティ達のお陰でマーラもシカゴへ向かうことになります。(マーラの旅行鞄には、”父親をひとり残して旅立つ不安”と”大好きな野球に対する夢”が詰まっていたことでしょう)そうして彼女達の運命も大きく変わっていくのでした。

□□□初代ピーチズのメンバーとの出会い。チーム監督である、ジミー(トム・ハンクス)との 確執と和解。女性チームゆえの(?)マナー教室やメイクアップ指導、ミニスカート風のユニフォーム着用。禁酒・禁煙・恋愛の禁止などの規則。(=風紀係付き)ハードな試合日程、連日のバス移動、合宿生活・・・。
窮屈そうに見える毎日も、彼女達にとっては結構楽しい。なぜならば、野球を愛する女性ばかりだったから。□□□

最初は観客が少なかった女子リーグも段々とその人気が高まっていき、ドティは ”ダイヤモンドの女王” と呼ばれるようになります。ルックスも実力もリーグbP、そして彼女はチームの要でもありました。人気者の姉ドティとバッテリーを組み、ピッチャーとして大活躍のキットでしたが、些細なことから二人の間は険悪になっていきます。その後・・・、ドティが「(私を)明日までに他チームへトレードしてくれないと、チームをやめる!」と球団に申し入れる事態へと発展してしまうことに・・・。

□□□ところが、翌日ピーチズからトレードに出されたのは、妹、キットの方だった。大きなショックを受け、怒るキット。自分ではなく妹がトレードされた結果に驚くドティ。□□□

こうして、姉妹の間には、いつしかわだかまりができてしまいました。ドティにもキットにも全米女子プロ野球リーグでの思い出はたくさんありますが、年月を経た現在になっても、そのわだかまりを消し去ることはできていないようです。

この映画は、現在のドティが寝室でベッドの上に「旅行鞄」を開いて、どこかへ出掛ける為の旅支度をするところから始まります。

□□□冒頭シーン、チェストの引き出しから衣類を選び、 小物入れからアクセサリーを取り出してポーチに入れ、旅行の準備をしているひとりの女性の姿。□□□

□□□だが、その女性はなにか不安気な様子で、写真立ての夫の顔を眺めたりしている。肝心な準備の方は、なかなかはかどらないようだ。□□□

□□□そこへ彼女の娘がやってくる。(女性には娘や孫がいて、幸せに暮らしているらしい)□□□

□□□彼女の娘は、うかない顔の母親に明るく声をかけてベッドの上で開いたままにしてある「旅行鞄」の中に、古いキャッチャー・ミットをポンッと投げ入れた。□□□

□□□懐かしそうにミットに触れる女性、彼女がかつて”ダイヤモンドの女王”と呼ばれていたドティなのだ。(この時もドティの「旅行鞄」 には”ためらい”が詰まっているように見える)□□□

彼女の旅立つ先は、全米女子プロ野球リーグの集まりでした。あまり気の進まない旅行でしたが、やがて思い出深いグラウンドに足を運ぶと、物置にしまい込んでいたミットに触れた時のように、懐かしさがこみ上げてくるドティ。そして、仲間達や妹キットとの再会も・・・。

ドティの回想 で語られる『プリティ・リーグ』 。ジーナ・デイビスが、はつらつとした女性を好演しています。

ピーチズの監督役ジミー・ドゥーガンとしては、トム・ハンクス。6度のホームラン王を獲得しているジミーでしたが、当時、膝の故障が原因で出征できず、アルコール中毒に陥るほど酒びたりの毎日を送っていました。女子リーグの監督を引き受けたのも、「ギャラを得る!」ただそれだけのため。無気力で、名ばかりの”お飾り”監督 ジミーを変えたのは、ピーチズのメンバー達が一生懸命に野球する姿でした。次第にジミーは心を開き、お酒もやめて監督に打ち込むようになってゆくのです。
 ※トム・ハンクスのやる気のない演技と、顔面ワザ(?)には大笑いしました。※

 ピーチズの1番・センター、メイ・モーダビートとして、歌手のマドンナも出演しています。お色気たっぷりの元ダンサー=メイ、彼女も素敵な役柄でした!
 野球ものとしては、「プレイが物足りないぞ!」のお声もチラホラ聞こえるこの映画。(笑)でも、「見終わった後で心地良さが残る!!」=「私の好きな作品のひとつ」です。

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