HOMEへ戻る バックナンバーへ

▼『救命士』の作品データ▼
#13.せっけん  (2000.4) 
 ※注:下の文章は、2000年3月下旬にアップしたものです。4月になってニコラス・ケイジ&パトリシア・アークェット夫妻、早くも復縁の噂が出ています。(本当なのかな〜?今度は信じていいの?)以下、主演夫婦の危機時に綴った原文そのままです。どうかご了承くださいませ。(2000年4月/記)※
 ※※その後、ニコラスとパトリシアは、正式に離婚したそうです。(2002年7月/追記)※※
 ニコラス・ケイジ&パトリシア・アークェット夫妻、現在、離婚調停中だそうです。あぁ、ちょっとショック〜!夫婦にはそれぞれの事情や理由があるのでしょうね。ひとまず彼等の私生活は置いておきまして・・・。


今回は、去年から公開を楽しみにしていた、ニコラス&パトリシア共演作、『救命士』より小道具のひとつ、「せっけん」を取り上げてみます。

□□□1990年代はじめ頃のニューヨーク。救命士として働くフランク(ニコラス・ケイジ)は、自分の身体と精神に異常を感じている。数ヶ月前からフランクは、仕事中に救急車で街を走り抜ける時、幻覚を見るようになっていた。原因はよくわかっているのだ。□□□

1年前までのフランクは自他共に認める腕利きの救命士でした。しかし、ローズという名の少女を救えなかったことから、フランクは不眠症気味になり、また、彼は心の傷を癒すべく、仕事中も酒に頼らざるをえない毎日を送るようになっていました。

□□□木曜日の夜、「心臓発作を起こした」という知らせを受けてアパートへ急行したフランクが目にしたのは、瀕死状態で横たわるひとりの男性の姿だった。その男性の家族が見守る中、応急手当を施す救命士のフランクたち。今まさに患者は生と死の狭間をさまよっている。□□□

患者の娘であるメアリー(パトリシア・アークェット)は、片時も父親のそばを離れません。ついに心停止。フランクは相棒の救命士(ジョン・グッドマン)に医師の死亡診断をとるよう促します。それから、メアリーにむかって「お父さんの好きだった曲を...。」と声をかけました。

□□□父親の好きな曲が流れる部屋では、沈痛な雰囲気が漂っている。その時、患者の心臓がかすかに鼓動。息を吹き返したのである。喜ぶ家族たち。急いで患者を救急病院へ搬送するフランク。救急病院の入口は、さまざまな症状を抱えた患者たちでごった返していた。処置室は、もっとすさまじい。廊下に並べられた幾つものストレッチャー。痛みをこらえきれない者・水を欲しがる者・すでに放心している者・・・。いつ治療の順番が回ってくるのか、現場の医師やスタッフにすら把握できない。□□□

フランクは、とりあえず生き返った患者をおろし、病院の外で煙草に火をつけました。そこで再びフランクはメアリーと出くわします。彼女の煙草に火をつけながら、短い会話を交わすふたり。尋常でないメアリーの姿が、フランクに何かを感じさせたのか、父親の病床へと通うメアリーを見かける度に彼は話しかけるのでした。

□□□メアリーは、もう何年も父親と口をきいておらず、強く父親の回復を願っている。(=親子の和解をするために。)仮死のまま、一進一退を繰り返す父親を見かねたメアリーは、ドラッグの売人を訪ねる。彼女にはドラッグ漬けの過去があったのだ。偶然をよそおってメアリーの後を追っていたフランクは、危険を察知し、ドラッグで眠るメアリーを売人の部屋から救い出す。□□□

まだドラッグの醒めやらないメアリーを自宅へ送りとどけると、今度はフランクに猛烈な睡魔が襲いかかりました。初めて訪れたメアリーの部屋のソファで、眠り続けるフランク。

□□□何時間眠ったのか、フランクは久々に快適な朝を迎えた。洗面台の鏡に映る自分の顔も、いくらかマシなようだ。メアリーの洗面台、ソープディッシュには3種類の「せっけん」が並べられている。フランクは、3つの「せっけん」すべてを使い立て続けに顔を洗う。次第に爽快な表情になってゆく自分を鏡の中にたしかめながら・・・。□□□

この先も、救命士の仕事・夜の街角・色々な患者たち・暴力・ドラッグ・ローズの亡霊などを描きながら物語は進んでいき、ラストシーンのフランクは、メアリーに心を癒す術をゆだねたまま深い眠りに落ちます。

「これは、ひとときの甘い眠りに過ぎないのだろうか」  「目覚めれば、また幻覚に苛まれるのではないだろうか」漠然とした怖れを隠して眠るフランク。この時、そっと寄り添うローブ姿のメアリーからは、「せっけん」の香りがしていたのでしょうか?

□□□香水とは異なり、ほのかな香りはそれほど長続きしない「せっけん」。嬉々として3種類の「せっけん」を使ったフランクも、其の夜の現場では、すぐに生臭い匂いにまみれてしまった。□□□

「せっけん」・・・。“刹那的なふたりの触れ合いを暗示する小道具だ”と、私が思ったのは、ニコラス&パトリシア、最初で最後の夫婦共演となった作品だからかもしれません。

 小道具「せっけん」といえば、「恋愛小説家」で潔癖症の恋愛小説家を演じたジャック・ニコルソンが外出先から戻り、自宅の洗面所で手を洗うシーンを思い出します。彼の場合、新品の「せっけん」を山ほどストックしていて、一度手を洗う度に「せっけん」を使い捨てるのです。最近では、「固形せっけん」よりも「液体ハンドソープ」の方が主流なので、私はこのシーンを観て、ジャック・ニコルソンに「ハンドソープにすれば?」と声をかけたくなりました。(笑)

HOMEへ戻る バックナンバーへ