日曜学校教師心得        日本キリスト改革派・松戸小金原教会

このページは、1988年に作成した「新任教師のための教会学校教師心得」を掲載しました。当初の「教会学校」という言葉を「日曜学校」に置き換え、多少の手直しをしてあります。   
                                              (日曜学校の案内へ戻る)

  1. 日曜学校教育の目的と範囲
    この日曜学校の正式な名称は、日本キリスト改革派松戸小金原教会・こひつじ日曜学校といい、その開設の根拠は、礼拝指針第4章「教会学校」に基づいている。
    目的: キリスト者の成長と完成
    範囲: 教会学校とは、教会の教育事業の一切を行う組織であり、その対象は、@契約の子らの訓育、A成人会員の教育、B未信者の教育、C未信者の子らの教育的伝道が含まれる。この全領域は教会学校委員会でカバーし、以下の教師心得は、主として@Cを対象とする日曜学校教師に適用するものとする。
    校長と教師
    教会を治める最高機関は小会であって、その小会によって選任された者が校長となる。校長は牧師の同意を得て、教師候補者を小会に推薦し、小会がこれを任命する。

    日曜学校教師の条件
      礼拝指針に基づき、次の3点にまとめる。
    (1)教会員(現住陪餐会員)であり、教会員としての義務を誠実に果たしている者であること。
    (2)日曜学校の教師としての働きを通して、主に仕えようとする召命感を持つ者。
    (3)教師会に加わって、組織的な活動と訓練に携わるとともに、個人的にも生活を整え、研修に励む者であること。
    補足説明
    (1)は最も根本的な条件である。ただ「子供が好きだから」「自分は児童心理の専門家だから」などは第二義的な事柄である。信仰的には改革派教会の信条を受け入れていることが要請される。
    (2)は、強いられてではなく積極的に喜びをもって奉仕する気持と、ある程度の適性が問われる。
    (3)は、第一にチームワークをもって仕事に当たりうる者(個人プレーや一匹狼は不可)。第二に常に研修の意欲を持つこと。日曜学校教師は必ずしも教育のプロとは限らないが、各々与えられた賜物を磨き、長短補い合うことによって相乗的な効果をあらわすことも可能である。
    以上の他に、校長は必要に応じて、日曜学校の部分的な奉仕に当たる者を、協力者として、小会に諮り、委嘱することが出来る。
    @協力教師----主として教えに携わる者、またはその補助者。
    A協力奉仕者----主として日曜学校の管理に携わる者。
  2. 日曜学校の基本的な教育原理
     まず、二つの教育観をあげてみよう。
    (1)自然主義的あるいは人本主義的(ヒューマニズム)教育観
    人間は、生まれながらにして、良きものを内蔵しているので、これを引き出し、教育することによって、どこまでも向上していく。教育によって理想社会を実現することも可能である。(世界的に、学校教育などで支配的な考え方)
    (2)聖書的な教育観
    人間は、原罪によって致命的な欠陥を有するので、生まれつきのままでは罪と悲惨から逃れることはできない。キリストの贖罪によって再生され、聖霊によって聖化されるのでなければ、向上を望むことはできない。
    日曜学校の教育原理は、言うまでもなく、(2)に基づいている。もちろん、「人間は神にかたどって創造された」(創1:27)ものなので、数々のすぐれた資質を持っており、その資質を磨くのは大切なことである。しかし、罪という根本が克服されなければすべては虚しいものとなる。
    くわしくは参考書などで学ぶこととし、ここでは原理的なことをよくわきまえておいてほしい。
  3. 日曜学校の働き (活動内容)
    日曜学校にふさわしい働きは、礼拝・教育・交わり・献金および奉仕である。本日曜学校ではこれを、合同礼拝・分級・日曜学校行事などの形で営んでいる。

    (1)合同礼拝
    キリスト教会の公的な礼拝が成り立つためには、次の二つを欠かすことができない。
    @教師<牧師>またはその資格ある者によって、聖書朗読とみ言葉の説教がなされること。
    Aみ言葉を聞く教会員が列席すること。
    @については、正式には牧師が行うべきであろうが、実情としては、牧師に代わり、小会によって管理され委託された者(日曜学校教師など)が行うケースが多い。言葉は平易なくだけたものであっても、本質は「児童説教」であることを念頭に置かなければならない。
    Aは、正式な教会員は主として日曜学校教師と契約の子たちである。教師はできる限り着席して、一般の生徒たちを伴って礼拝に参加するという態度が大切である。
    (礼拝の要素については、礼拝指針3章「公的礼拝の要素」参照)

    (2)分級(クラスごとの学び)
    生徒の発達段階<年齢>、適当な人数あるいは性別などによってクラス分けをし、教育効果を高めるものである。改革派では、大規模教会を除いて、幼稚科、1・2年、3・4年、5・6年、中学、高校というような分け方が一般的で、人数は1クラス10人前後がやり易いようである。

    (3)日曜学校行事
    これは教育のほかに、交わり、奉仕、伝道などのよい機会となる。また、日曜学校活動全体に味付けをし、彩りを与える効果は絶大である。
  4. 日曜学校の教育方法

    (1)何を教えるか          ----@Aが日曜学校の主要な教科書である。
    @聖書
    A教理問答(カテキズム)
    Bその他、上記を補強するもの ----賛美、祈り、奉仕などのテキスト、教会史など。

    (2)如何に教えるか
    A.教育の計画をしっかりとたてること
    @教育課程(カリキュラム) <Curriculum>  これは、教育内容を年間(あるいはもっと長期に亘り)時間的に、順序に従って、系統立てて配列したもので、組織的な日曜学校活動の基本となるものである。
    A教案  <Lessons> ---- 一つの授業の進め方や、時間配分などの計画を書いたもので学習指導案ともいう。
     (導入→展開→強調点→整理、のような形でまとめたもの) 
    B教材 ---- 直接、学習のために用いるもの。
    聖書、賛美歌、テキスト、ワークブック、リーフレット、参考書、視聴覚教材など。
    これらは市販品と自教会作成のもので、それぞれ一長一短があるが、目的に応じて使いこなす工夫が必要である。

    B.教え方
     状況、目的、生徒の発達段階により、いろいろな方法がある。
    @物語法 → いわゆる「お話」。最も多く用いられる一般的な学習法。
     ※物語法の注意事項:
      a.相手に適したやさしい言葉と表現で感動的に語る。
      b.一区切りの注意集中力: 幼児(3-5才)→30秒以内。小学生→7-8分。
      c.明瞭な発声、自然な口調、正しい用語、親しみやすい態度。
      d.子供の発言でペースを乱されないように。
      ・話の進め方: 導入→展開→強調点→整理、あるいは起・承・転・結をはっきりさせる。
    A講義法 → 講義と生徒筆記による。中高生または成人向き。
    B討議法 → デスカッションによる。問題解決に役立つ場合がある。小学生以上。
    C構案法 → 課題を与え、自分たちで解決させる。教師は指導・助言を行う。上級向け。
    D研究会法 → テーマを与え、生徒が研究調査して発表し合う。中高生〜成人向き。
    E問答法 → 教師と生徒の一問一答式。教理問答、個人教授等に有力な方法。
    F暗唱法 → 主の祈り、使徒信条、十戒、暗唱聖句等に有力な手段。

    C.視聴覚教材の活用
    生徒の興味と学習意欲を高め、大切な事柄を印象づけ、また言葉で表現しにくいものを教えるのに、きわめて効果的であるが、あまり濫用すると、「言葉を通して生徒の心に福音を語る」という、日曜学校教育の本質がうすめられてしまうので気をつけなければならない。

    D.生徒の実態や発達段階に即して教えること
    一般的に、生徒は、@幼児期、A児童期前期、B児童期後期、C青年期前期、----という発達段階を経て成長し、各段階それぞれの特徴があるから、児童心理の概略を知っておくことが大切である。

    E.賛美と祈り: 子供たちに敬虔を教える大切な手段である。

    F.日曜学校の行事とレクリエーション
    日曜学校生活の節目として、生徒にとっても教師にとっても楽しい大切な営みである。与えられた賜物を発揮するよいチャンスでもある。
  5. 日曜学校の管理
    (1)管理の必要性
    日曜学校教師に必要な賜物は、@教える賜物、A賛美の賜物、B管理の賜物 といわれる。ここでいう管理とは、日曜学校の使命をよく自覚し、よい組織をもって、全体の運営を円滑にしていく配慮のことである。また、この配慮のできる人はポストの如何を問わず「管理者」といえるであろう。

    (2)どのような管理が必要か (おもな仕事の例)
    (a)生徒管理 1.分級と担任教師の実務
    2.生徒台帳の作成と学籍管理
    3.生徒名簿作成と在籍把握
    4.出席簿と出席個人カードの゙作成 
    5.祝福と表彰
     (生徒の帰属意識を高めるため)
    6.申込手続き、家庭連絡、案内、広報
                    など
    (b)教務管理 1.年間カリキュラムの作成
    2.礼拝および分級プログラム決定
    3.分級指導案および教材準備
    4.賛美歌の選定と指導
    5.諸行事の企画立案、実行
    6.教師の担当および変更等の調整
    7.教師の研修に関する業務、など
    (c)財務管理 1.献金の管理
    2.財務計画の作成と収支の実務
    3.物品の購入、保管など
    4.行事等の会計処理、など

    (3)校務分担
    以上の多くの仕事を手落ちなく行うために、校務分担の組織を作り、全教師がどこかの部所を担当することになる。

    日曜学校教師は: 祈りをもって! 休まず遅れず! 準備は周到に! 楽しく! 
    まとめにあたっての参考文献・資料等     ホームページ  日曜学校の案内
    日本キリスト改革派教会・教会規程・礼拝指針
    ウエストミンスター信仰告白・大小教理問答
    教会学校教師ノート(改革派東部中会・教育委員会の各年度の報告書より)
    連合長老会編「日曜学校教師の手引き」
    松戸小金原教会・こひつじNo.24〜33(1984年度)「教会学校教育シリーズ」