おわりに

最後に二つの詩を紹介して、このホームページをひとまず閉じます。
            
             「牛」(京都府知事賞受賞作品)                      森川悦子(京都市立六原小学校五年生)

          にづくりのわらを
          もってきてくれる牛
          山のようにつんで
          でこぼこの道を
          がたがたの車で
          ぎりり、ぎりり
          重い音ではこんでくる。
          どろんとした
          ぬるんとした
          よだれをたらし
          なみだを流しているような
          細い目と
          きたないどろ水でひっついた毛
          きれいにといてやりたい毛
          私の小さな手では合わないが
          そっとなでてやる
          おひゃくしょうの家にかわれ
          いつも田をたがやし
          そして遠い道を
          わらをはこぶ。
          ぎちり、ぎちり
          ごくりん、ごくりん
          からだの中のきん肉がうごき、
          首さきから
          めりこみそうに歩く。
          おまえのはこぶ
          よくみのったわらに
          うす重く白い陶器を
          人々は心をこめてつつむ。
          おまえはそれを知らないで
          ただ、
          重い身体をはこんでくる。
                                                    
 「生命の尊重」(小牧久時著)掲載

        
                無題                                            ジャン・タルジュ―

          死んだ人々(動物)は、還ってこない以上、
          生き残った人々は、何が判ればいい?

          死んだ人々(動物)には、嘆く術もない以上、
          生き残った人々は、誰のこと、何を、嘆いたらいい?

          死んだ人々は(動物)、もはや黙ってはいられぬ以上、
          生き残った人々は沈黙を守るべきなのか?

                                                           「きけわだつみのこえ」掲載
                        
 (動物)は筆者の挿入による。


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