コンドル流水彩画考

前 置

水彩画を描く人は年々増加しているように思う。
老いも若きも猫もシャクシも水彩画(と言っては失礼だが)・・・これは一体いかなる現象なのか?
確かに他の分野に比べれば道具が簡単で軽量、描画時間もさほど掛からずに描きあがる。
その手頃さが絵心を刺激するのか愛好家は益々増加することは喜ばしい。

だが、上記の条件の裏返しを探ればそれは非常に難しい仕事であるということにもなる。
すでにその苦い経験をいやというほど味わっているという方は、相当年季の入った方ではないかと想像できる。

筆者如きが今ここで、水彩画についてのあれこれ講釈しなくても情報は他にも山ほどある訳で賢明才知の皆さんには
何等の参考にもならないだろうとは承知の上であえて私の拙い手の内を明かすことにより(笑)
透明水彩画の更なる可能性を自らも再確認するのも無意味ではないかとの思いからまとめてみた次第である。
但し絵画全般がそうであるように、絵は本来こう描くべきという明確な決まりなどは一切なく
それぞれが自由に楽しく描けばよい訳で
後段より記す種々の描法(捉え方)はあくまでコンドル流の透明水彩画描法にすぎず
先輩諸氏からの異論もありやと予想されるが、その点前もってお断り申し上げておきたい。



【微 風】

■水彩画とは一体どんなもの?



読んで字の如く「水で溶いた絵の具で描いたもの」で昔は"みづえ"と称していた。
では、水溶性のカラーインクは?
アクリル・リキテックスは?
日本画の岩彩で描いたものは?
水彩絵の具とパステル併用は何画?
勿論ガッシュ(不透明水彩)もあるが、はたして透明水彩画とは如何なるものを指して呼ぶのだろうか?

近年画材の進歩(氾濫?)と展覧会用の描法とがから見合い、なにかチャンコ鍋のごとき作品を時々目にすることがある。
個性重視、目立っ者が勝ち等の考え方が先行するあまり、本来の透明水彩画の領域が曖昧になっているのを
私は個人的にも残念に思う一人である。
では筆者が定義する透明水彩画とは・・・

@画面全体の色調が混色・重色にかかわらず正に"透明感"があること。
Aみづえの伝統が示すように水をコントロールして描いているもの。
Bデツサン描画材及びメジューム等に特殊なものを多様(併用)しないもの。
以上の三点がおよその基本であると思うのである。
但しこれも規定などなく、最後は描き手の表現内容で自由。
尚、ガッシュを使った不透明描方については、兄妹のような関係ではあるものの、透明水彩画描方とは
明らかに一線を画するものと私は認識している。
更に付け加えるなら・・・大作主義が叫ばれる中で、透明水彩画そのものは
その性質上20号が限度で、それ以上のサイズになると画面が色相的に持たない。
絵の具のチューブの大きさを見ても明らかで、物理的に大作には適さないのが透明水彩画と理解している。

元々絵画の分野を縦分けること自体が意味の無いナンセンスな論であるとも言えるが
あえて初めにこの事を定義しておかなければ、このコーナーの存在そのものが意味を
なさないとの判断で記した次第である。
当然のことながら、アートとは本来自由で「かくであるべき」などと言う決まりが
ある訳ではなく、描き手の個性により表現は種種異なって当然であり、それが重要なのである。
諸氏の中には釈迦に説法・・・という部分や、異論もあろうかもしれないがその点はお許し頂きたい。

コンドル流水彩画が多少なりとも異質に観えるのは上記の規定に拘る事と
なおかつ出来得るならば単なるスケツチ(下絵・エスキース)の域から一歩でも抜け出してみたいとの思いの表れと
ご理解頂ければよいかと思うのである。


■解 釈■

絵を描く上には必須的な事柄が幾つか有る。
それは避けては通れないもので、知っておかなくてはならない事で「言葉」としてではではなく
その意味の解釈だと私は思っている。この解釈が結局最後は作品となって具体的に現れる。
私の言う解釈とはけっして答えではない。無論方程式などというものでも無い。
一人の絵描きの「考え方」にすぎず、皆さんの参考になるかどうかは疑わしいとは思うが、描き手にとっては非常に
大切なことだと思い偏見独断と知りつつもあえて順次紹介する。



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