ま い ご の し ば く ん 放 浪 記
2月19日のことでした。
突然夕方,近所の方がマリエルランドに見えて,「この柴ちゃん,どこのワンちゃんかご存知ありません?」と言って,写真の柴犬を連れてきました。
首輪はそんなに古いものではないのですが,鑑札も迷子札も付いていませんでした。
見たとおりのハンサムですし,人なつこいワンちゃんでしたので,こんなかわいいワンちゃんを捨てるかなア,きっと迷子になってしまったのではないか,と思って,とりあえずマリエルランドで預かって,ご近所のワン仲間と協力して飼い主を探すことにしました。
それまで,このワンちゃんの名前は,「しばくん」にしました。
このときから,「しばくん」には,玄関から上がったところのバリケンに入ってもらいました。マリエルランドには,マリエルとエリーがいますので,いきなり「しばくん」を座敷に入れますと,マリエルたちのテリトリーを突然侵すことになります。そこで,新参者の「しばくん」には,マリエルたちとの良好な関係ができるまで,しばらくはバリケンに入ってもらわなければならなかったのです。そのため,マリエルたちも,しばくんの存在には,全く関心を払いませんでした。
さあ,翌日からご近所の方々と一緒にしばくんの飼い主探しが始まりました。
まずは保健所,警察へ届出がないかどうか確かめました。そして,行動範囲と思われる公園などに,しばくんの特長や保護したときの状態を書いたポスターを手分けして貼ってみました。
しかし,1週間経っても,どこからも手がかりは得られませんでした。そのため,しばくんはかわいそうに捨てられてしまったのだと思わざるを得ませんでした。
そのため,作戦第2の発動,つまり新しい飼い主を探すことにしました。
手分けして,ご近所や知り合いなどいろいろな方に声をかけたり,タウン誌に里親募集の広告を載せたりしましたが,なかなか見つかりませんでした。
その間,しばくんが,どこへ行ってもかわいがってもらえるように,むだ吠えをなくすこと,オスワリ,マテ,フセができるように,特訓をしました。
しばくんは,ひとなつこくて,かわいい性格であることはすぐわかりましたが,家庭犬としての基本的なしつけは全くできていなかったのです。もし,里親がみつかっても,基本的なしつけができていなければ,また捨てられてしまうかもしれません。そこで,しばくんがいつまでもかわいがってもらえるためにも,ここはしっかり厳しくマリエルランド流のスパルタ教育をしたのです。まもなく,しばくんは,マリエルやエリーと一緒にお散歩もできるようになりました。マリエルも,すっかり,しばくんのお母さんのようになってしばくんをかわいがり,エリーもしばくんを弟のように思っていたようでした。
そうする間,しばくんのこれまでの生活や健康状態がわからなかっため,かかりつけの獣医さんのところで,健康診断と狂犬病などの予防注射をしてもらいました。それに,まだ去勢をしていなかったため,去勢手術も受けさせました。去勢手術をしていないと,引き取ってくれる里親がいないと思ったからです。これらの費用もご近所のワン仲間で共同で負担しました。
放浪中のワンを保護したとき,保健所にすぐ引き渡すという方もいるかも知れませんが,それではワンの運命は決まったも同然です。できれば,里親を探してやって幸せな人(犬)生を見つけてやりたいものです。
それから,よく,餌だけやってあとは知らんふり,という方もいますが,それはやめてほしいと思います。そのワンは。いずれ病気になって悲惨な末路をたどるでしょうし,その病気を他のワンにまき散らしたり,テリトリーを作って他のワンに対して攻撃性を帯びるということにもなりかねません。それに,このワンが去勢していなかったら,同じ様な運命の子犬を次から次へと増やすことになるからです。もし,そのワンをかわいそうと思うなら,責任をもって保護して里親を探すか,自分の家で飼うくらいの覚悟をもって欲しいと思います。
しばくんの旅立ち
みなさんの努力が実を結び,やっとしばくんの里親が見つかりました。
ちょっと離れたところですが,しばくんは,海辺の町にもらわれていきました。3月1日のことでした。浜辺に毎日散歩に連れていってもらい,元気に走り回っているそうです。
しばくんは,それまでの特訓の成果も上がり,もらわれていくときには,マテ,フセ,スワレの全てをマスターできました。それに,吠えることも全くと言っていいほどなくなりました。
きっと,どこへ行ってもかわいがってもらえる,と思って私どもも自信を持ってしばくんを送り出すことができました。里親の方もワンが大好きな優しい方ですので,しばくん,これからきっと幸せな一生を送ることができるでしょう。
しばくん,元気でね! かわいがってもらうんだよ!
しばくんがいなくなって,ちょっとさみしくなったマリエルランドでした。
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