股関節形成不全とOFAの利用


 股関節形成不全とは
 きのうまで元気で走り回っていたワンが,急に足を引きずり出したり,運動をいやがるようになったとき,股関節形成不全の発症が疑われます。
 股関節形成不全は,遺伝性で,しかも進行性の疾患です。厄介なことには,外形からはなかなか診断がつかないことです。すべてのワンは,産まれたときには見かけは正常な股関節をしているのですが,遺伝性疾患を有しているワンは,数ヶ月から数年の間にレントゲン写真上に所見が現れるとされています。
 わたしたちが注意しなければならないのは,股関節が正常なワン同士を交配しても,子犬がすべて正常であるとは限らない,ということを知らないため,親が大丈夫だからこの子も大丈夫,と安易に判断して,自分のワンがこの疾患にかかっているのを気づかないまま無理な運動を続けることにより,症状の発症を早めたり,悪化させてしまう,ということです。
 これからワンの交配をしようとする場合は当然のことですが,自分のワンの股関節の状況を正確に把握することは,ワンとの生活を続ける上にとって大変大切なことと思います。もし,不幸にして自分のワンが股関節形成不全にかかっていることがわかったとしたら,運動量を控えたり,極力階段の昇り降りさせないなど生活環境を整えて,できる限りワンに負担のかからないようにしてやる必要があります。
 そんなことから,マリエルランドでも,エリーの股関節形成不全の検査をしていただきましたので,その方法をご披露します。
 検査はOFAに依頼
 まず,検査をしていただいたのは,OFA(Orthopedic Foundation for Animals,Inc.)というアメリカのミズーリ州にあるすべての犬種の股関節の診断と登録を行っている機関です。この機関は,50万頭近くのワンの股関節診断のデータをもつ世界的規模の登録機関です。
 欧米では,股関節形成不全の検査をしたワンのみを繁殖に用いるのは当然とされているそうです。特にアメリカでは,交配時には,OFAの証明書を見せ合うことが当たり前とされているとのことです。
 OFAには,股関節のレントゲン写真を送ります。これは獣医さんにその旨申し出れば,診断に用いるのに必要な部位をちゃんと撮影してくれます。もし,この写真が不適切であれば,OFAから写真が送り返されてきます。OFAでは,この写真を3人の専門家が見て,亜脱臼の有無・寛骨臼の深さ,大腿骨頭の変性・変位,骨頭辺縁の変化などをチェックして,所見を診断書に記載してくれます。
 検査をお願いする手順
 OFAに検査をお願いする手順は次の通りです。 

      ステップ1  獣医さんにOFAへ送るためのレントゲン写真を撮影してもらいます。撮影していただけるかどうか,かかりつけの獣医さんに確かめてください。エリーは,八王子市石川町の「ドクターオザワ動物病院」(0426-46-1110)で撮影していただきました。
費用は,3000円でした。
ステップ2 OFAからFAXで申込用紙を取り寄せます。FAX番号は 0011-573-875-5073 です。
Eメールなら,ofa@offa.org で,Carol さんあてに出してください。
住所などは Orthopedic Foundation for Animals,Inc.
        2300 E.Nifong Blvd. Columbia,MO 65201-3856 CSA です。
ステップ3 郵便局で診断料の郵便為替を作ります。2歳以上のワンは25ドル,2歳以下のワンは20ドルです。
ステップ4 レントゲン写真,申込用紙,郵便為替を封筒に入れて国際ビジネス郵便で郵送します。

 マリエルランドの経験では,郵送してから2ー3週間で検査結果が戻されてきました。結果は,獣医さんにも通知されます。
 なお,申込書や診断書はすべて英語で記載されますので,不明な点がありましたら,マリエルランドまでお問い合わせください。

 エリーは,幸い「GOOD」という評価をいただき,OFAの登録ナンバーをいただくことができました。なお,これに登録されますと,OFAのデータベースに登録されますし,JKCの血統書にも記載してもらうことができます。
 検査結果は,次のような証明書で通知されてきます。
                

 OFAの診断評価
  診断評価には,次のように7段階のランクがあります。
   1 Excellent・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 正常(OFA登録ナンバーが得られます)
   2 Good・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  〃 (         〃         )
   3 Fair・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  〃 (         〃         )
   4 Borderline・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ボーダーラインで,要再検査
   5 Mild Hip Dysplasia・・・・・・・・・・・・ 軽度の股関節形成不全
   6 Moderate Hip Dysplasia・・・・・・・・ 中度の股関節形成不全
   7 Sever Dysplasia・・・・・・・・・・・・・・ 重度の股関節形成不全

  詳しいことは,次のホームページをご覧ください  

ゴールデンレトリバークラブオブジャパン http://www.mitene.or.jp/~jgfc/pamf.html
OFA http://www.offa.org/ABOUT.HTM

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