シロが突然天国に旅立ったのは9月7日でした。
朝,いつものように,パパの椅子の横にちょこんと座ってパパからパンのおねだりをしておいしそうにパンを食べていました。
それが午後になって静かに椅子の上で,まるで眠るように息を引き取ってしまいました。
あまりに突然のことに言葉も涙も出ませんでした。
シロがマリエルランドに来たのは,96年6月の梅雨のさなかでした。
ぼろぼろの雑巾のようになって,雨の降りそぼる中をニャーニャーと鳴きながらさまよいこんできたのです。
チンチラシルバーですから,はじめから野良猫のはずもなく,迷子になったか捨てられたと思ってマリエルランドで一時保護することになりました。はじめは,食べては下痢をするの繰り返しが続き,かなり長い間放浪していたことがわかり,すぐに獣医さんに診てもらい,注射をしてもらったり薬をもらったりしたところ,2−3か月でようやく落ち着きました。
その一方で,飼い主さんを捜すためにポスターを貼ったりいろいろ聞いて回ったりしたのですが,ついに飼い主さんは見つかりませんでした。そこで,マリエルランドで飼うことにしようと思ったのです。しかし,シロは,マリエルやエリー,それにほかのニャンコに対してすぐにシャーッと敵対心をむき出しにするため,このままではシロも可哀想だと思って新しい飼い主さんを探し,2回にわたって養子に出したのですが,どのときも返されてしまい,仕方なくマリエルランドの一員にしました。
その後も,シロは孤高の人(?)を決め込み,どのニャンコとも関わりを持たずにマイペースで暮らしていました。
それが,去年のなかばころから,やっとマリエルやエリーが近づいてもなにもせず,かえって,マリエルがパパの膝に顎を乗せてごはんをおねだりしていると,パパの隣でマリエルの耳をペロペロなめるようにまでなりました。
このころから,シロは,完全にマリエルランドの仲間になり,昼間は椅子の上やデッキでのんびり昼寝,夜もさっさと寝てしまい,まったく手がかからない,いい子になりました。
それでも,孤高の人であることに変わりなく,誰にも媚びることなく,マイペースで暮らしていました。
マリエルランドに来たいきさつからわかるように,シロの年齢もわからないままで,獣医さんも首をかしげていました。やはり,放浪の期間が長くてそれが身体を痛めていたんだろうと思うのですが,わかりません。
シロは,いつも食事中のパパの隣にちょこんと座ってパパにおねだりをしていましたが,そのとき,パパから全身を指圧してもらうのが楽しみのようで,そんなとき,気持ちよさそうに目を細めていました。
また,ママに毛をすいてもらうのは嫌いで,そのたびに大騒ぎしましたが,そんなときにはエリーが飛んできてシロの頭をすっぽり加えて振り回したりしました。その時は,さすがのシロもパニックになって振り回されながらお漏らしをしてしまったこともありました。
お姉ちゃんは,シロを保護したこともあってか,シロはお姉ちゃんには一番なついていたようでした。
シロはの鳴き方も独特でした。普通に鳴くときは「ニャッ」と短く,いかにも面倒くさそうに鳴くのですが,遠くから「シロ!」と呼びかけると,「フーン」と語尾を尻上がりにしていかにも「なーに?」というように答えるのです。パパやママと一緒に寝ることはありませんでしたが,なんとなく,いつも近くに控えている,そんなニャンコでした。
そのシロが,なんの前触れもなく突然旅立ってしまったものですから,マリエルランド全員しばらく呆然としてしまいました。
シロの遺骨は,マリエルランドの庭の片隅に埋葬します。その近くには,マリエルランドのニャンコ第一号のコガネマルが静かに眠っています。
ある友人から,「シロちゃん,そんなにかわいがられたんだから幸せだったんじゃない」と言われ,それが慰めになっています。
いずれ,天国に全員が集まる日が来るでしょうから,またそこで「マリエルランド」を作りますので,それまでシロはコガネマルと一緒に待っていてくれることと思います。
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