第十三話:決して人に言ってはいけないこと(1)
世の中には決して人に言ってはいけない事があります。
例えば、グレープフルーツを食べるときに、上下に二つに切り、半分ずつ食べますよね。
どちらが甘いか知っていますか?え?考えたともないって?実は下半分の方が圧倒的に甘いのです。
糖分は重いので下がってゆくのでしょうかね。
半分ずつ食べる二人がこのことを全く知らなければ、世の中平和です。
あるときこの事実に気づいた私は、食べる直前にこっそり"へた"の状態を見て「さっ」と下半分を取り、何食わぬ顔をして食べるようになりました。
ちょっと罪悪感もありますが、相手がこの事実を知らなければ何の問題もありません。
しかし、根がおしゃべりな私は口を滑らせてしまうんですね。するとどうでしょう。
ある女の子いわく
「ねえ。もし私とグレープフルーツ食べるときは私にはどっちを食べさせてくれるの?」
私はどぎまぎしてうつむいてしまいました。
またある人いわく
「ふーん。あんたはそうやっていつもすっぱい方を私に食べさせていたんだね」
「すっ、すんまへん!」全く人の視線は冷たい。
それからというもの私は、以前のように上下を確認せずにグレープフルーツをとるようになりました。
内心下が当たることを祈りながら・・・・・
口は災いの元。皆さんも今日ここで読んだことは誰にもいえませんよ。