正しい薬の飲み方
皮膚科の医師という職業柄、私は多くの患者さんに薬を処方します。たいがいの方は正しく薬を服用していますが、中には誤った使用法をされる方がいます。
今日はその中から笑うに笑えない話をご紹介いたしましょう。
ある日、2度目の受診の患者さんが、もう懲り懲りという顔で
「いやあ、この間の先生の薬は飲みにくかったですわ」
というのです。詳しく聞いてみると、
「とにかく飲みにくくて、喉に引っかかりました、それでも目を白黒させて何とか飲み込んだのですが、何と翌日トイレでそのまま出てきました」
というのです。びっくりしてさらに詳しく聞いてみると、その人は薬のパッケージを破らずそのまま飲んでいたのでした。別の患者さんですが、カプセルの薬を処方したところ
「あの薬は苦くて飲めませんでした」
というので、よく聞いてみると、ご丁寧にカプセルを分解し中身だけを飲んだとの事。いろいろなケースがあるものだと考え込んでしまいました。
これは昔から有名な話ですが、座薬を、「座った薬」と書いてあるために、正座して飲み、人から大笑いされ「それはお尻に入れる薬だよ」といわれた人が、今度は「お尻」を「お汁」と聞き違えて、薬を味噌汁に入れて飲んだという話もあります。
全ての薬は正確に識別し、間違いを防ぐために、いろいろな色がつけてあります。鮮やかな色のものもありますが、やむをえない措置といえます。これを何を思ったか、もらった薬を色別に分けて、「色の濃いものは強い薬、薄いものは弱い薬」と決めて、症状によって使い分けている方もいらっしゃいました。
皆さん、薬は用法、用量を確認し、正しく服用しましょう。この放送を聞いて、青ざめている方はいらっしゃいませんか?
本日の回文
「薬飲みのリスク」
(くすりのみのりすく)