なぜ昭和40年代の日本は、貧富の差を生じることなく経済発展を成し遂げたか?

「一億総中流化」を成し遂げた高度経済成長。
その後の各国の経済成長と比べると「貧富の差」が拡大せずに経済発展を成し遂げたのは奇跡とさえ思われる。

これは私にとっては長年の謎で、最近ようやくその一つの答えが見えてきた。
きっかけはカルロス・ゴーンの逃亡である。これについてはまた次章で述べる。

貧富の差のない奇跡の経済発展の一つの要因は、日本の雇用の在り方であったのではないか。

当時の日本では、暗黙の了解で、経営者も労働者もほとんどの人が「終身雇用」を守ってきた。
まだ職業人としては未熟な若者を会社が雇用し、まずは職業技術の教育を行う。
つまり会社は教育機関も兼ねていた。この教育期間、会社は給与は「持ち出し」であろう。

そして、徐々に一人前になった会社員は会社に利益をもたらすようになる。
これに伴い徐々に昇給。事業が上手く行き拡大すれば、従業員は増える。

増えた従業員は未熟な人も多いため持ち出し分も増えるので差し引きすると会社は見かけほど莫大な利益を上げるわけではない。
利益が上がっても経営者はその利益を独り占めすることはなく、分け与えた。

なぜなら一生働いてもらう家族だから。
また会社の経営が苦しくても安易な解雇はせず、経営者は何とか頑張った。
同じ理由でこのリスク回避のため、むやみな事業拡張はせず、中庸で納めた。

これが原則として守られてきたため大きな貧富の差を生じなかったのではないか。

 逆に、あたかも経営首脳陣だけが功績があったように会社側が評価し、上げた利益を経営首脳陣(役員)が独り占めしたらどうであろうか。
余剰な労働者は使い捨てのコマのように切り捨てられ(余剰人員を切り捨てて、「人件費=最大の固定費」を浮かせたことも「評価」されて)、経営者首脳陣のみ莫大な利益を得る。

これぞまさしく国全体の経済は見かけ上順調だが、貧富の差が拡大するという図式そのものではないか。


おまけ

現在貧富の差が拡大しているのは、終身雇用制が崩れたことの他、
国が見かけ上の経済の順調さを維持するため、株価の下支えに莫大な金を投入していることが要因の一つでしょうか。

「異次元の金融緩和」と称して金をどんどんバラまいています。 やってもやっても無間地獄。
これは一般人に金が回らず、投資家だけを潤しています。実体経済はダメなのに株価は順調。
この結果、東京あたりには「異次元の金持ち」がうようよいます。

結局、ますます貧富の差は拡大。まあ、このバブルも遠からずはじけます。
「異次元男」の黒田さんよ。いい加減に目を覚ましてくれ。