2020年東京オリンピックを素直に喜べない私

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2020年のオリンピック東京招致が決まって、小躍りして喜ぶ招致委員の姿がテレビで何回も放映された。

見るたびになんだか悲しくなるのは私だけだろうか?

一瞬にして頭の中を色々なことがよぎる。筋道立てては書けないが私の頭の中をよぎることを箇条書きにする。

 

●既存の施設を活用して金をかけないなどと言っているが、このような話はほとんど嘘で、膨大なインフラ整備の金がかかる。

東日本大震災の復興にかける金がまたなくなる。仙台などの被災地の都市でオリンピックを開くなら意味があるだろう。

利用し終わった選手村を被災者のための住宅に転用するなど、金のかけがいがあるというもの。上手に施設を作れば復興と抱き合わせの一石二鳥になるのに。残念。

●施設の建設のために、膨大な資材や作業員が取られる。大震災の復興のための資材や作業員はどうなる?

多分、資材や人件費も高騰する。

●アメリカの要望を受けて、なんと8月に開催するそうだ(調べてみたら7月24日開幕だそうです)。炎天下の競技で人死にが出ないとも限らない。アメリカは種々のプロスポーツがあるため、この繁忙期を避けるとのこと。アメリカってどんだけエライんだか。

おまけ:夏の高校野球(甲子園)も現在のままだといずれ人死にが出るだろう。札幌などに会場を移すべきだろう。

●各会場の空調(冷房)に巨大なエネルギーを消費する。テレビ中継をやめるわけにはいかないから各家庭の「節電」は不可能。となると、「原発再稼働」の最大の口実が成立してしまう。

自民党政権と「原発ムラ」の人達は今からほくそ笑んでいるでしょう。これが最大の絶望的なことです。

●福島原発による放射線被害を心配する外国の声に対し、安倍総理は自信満々の表情で
「湾内で完全にコントロールされている」
と大見得を切った。こんなわかりやすい嘘はない。放射性物質は湾内を出て大海に出た瞬間に希釈され、一気に検出レベルが下がる。日本が、海外に対してこんな結果が見え透いた嘘をつける国に成り下がったことに対して、絶望の念を禁じ得ない。この点でも安倍は歴史に残る悪名高き総理になるだろう。

●招致運動に高円宮妃がスピーチをなさった。これが功を奏したが、まさに皇室の政治利用といえる。当時の都知事の猪瀬直樹が「前回の招致では皇室が 『出てこなかった』ので失敗したが、今回は良かった」などと発言していたが、「皇室が出てこなかった」などの言葉遣いは無礼千万。しかも発言内容から「利用」する意図が明らか。オリンピックとは関係ないが、数年前に小沢一郎が天皇陛下と習近平の会見を無理やり設定するなど、最近の政治家の皇室に対する無礼な振る舞いは危険領域に入っている。

●オリンピック招致は過去に数回行い、いずれも失敗しているが、原因は地元民や国民がそれをあまり希望してなかったことが大きい。今回の「盛り上がり」は一体なんだったんだろう。過去の招致に比して盛り上がる客観的な理由が見当たらないし、むしろ被災地の事を考えれば全く理解不能な盛り上がりである。「民意」とは何か論理的ではない空気で押し流されているのだろうか。 そもそもオリンピックは4年に一度世界のどこかでやるわけだし、やりたい都市はたくさんある。この時期に無理やり東京でやる理由は一体何なんだろう。

オリンピックが近付くにつれ憂鬱になるのは私だけ?