前回は廃棄物の問題に限って論じたが、数万年先のことなど知らん!と怒られたり、あまり実感のない人もいるだろう。

ならば、もう少し『近視眼的』に考えてみよう。

維持や廃炉にはものすごい手間や金がかかる。維持している間は、その存在理由もあるので、何とか採算を考えてきちんとやるだろう。

問題は「廃炉」だ。多くの原発の廃炉の時期が数十年後に迫っている。

原発が廃炉になる一般的な理由としては、我々は「老朽化」を想定しているが、実際は「不採算」の方が多くなるかもしれない。

人間の心理として「不採算」になったものに「巨額な費用」をかけて、始末するという事が可能だろうか?

現実、「不要」「不採算」になった福島第一原発の廃炉はおろか汚染水の処理も、金をケチってちゃんとやってないではないか。ケチるだけではない。国が汚染水を防御するシステム作りの提案をしたら、東電から「1000億の金がかかると株主総会に影響があるからやめてくれ」などと茶々が入ったり。これもケチっているわけだが、この言い分が通るところがすごい。

このような差し迫った危険な状況においても、人間には「捨てる」「きちんと始末する」という事は全くできず、すべて後回しになるという事がよくわかる。

このような人間が差し迫った危険のない原発をきちんと処理するなんて、本当にできると思っているのだろうか?

100歩譲って、きちんとやるとしましょう。

しかし、これは国家がこの先数十年から百年位にわたって経済的に現在のレベルを維持できている、という前提が必要だ。

 一般的な大きさの原発を普通に廃炉にするためにはおよそ930億円と、数十年の冷却期間を要すると言われている。

人類の今までの歴史で、あるシステムや装置が不要になったり維持できなくなって使用を中止するのは、たいてい金がなくなったり国力が衰退して維持できなくなったりが最大の原因だ。

全ての遺跡がそれを物語っている。最近では長崎の「軍艦島」。放置した結果、廃墟です。

日本は高度経済成長を経て、世の中の状況が変わっているのに、まだ「成長」などという夢を追っている。

これが「夢」にすぎないことには、政治家や経済人よりむしろ一般人の方が気づいているかも知れない。

日本は現在の経済レベルを本当にその期間維持できるのか、過去に数百年以上栄華を誇り続けた国家があったか?

一体、日本人はいつまで幻を追い続け、子孫に災いを残せば気が済むのか。


おまけ

最近安倍総理がトルコに「原発のセールス」に行ったようだ。

一企業の代理として総理が行ったのか???国家事業としてやるつもりなのか?

福島を抱え、足元のおぼつかない状況で「日本の高い技術で」などとのたまう脳天気さ。

実際あそこは日本並みに地震が多く、政情不安定な隣国に接し、どう考えてもあり得ない話。日本で採算が取れなくなった「原子力発電屋」の稼ぎ先を見つけたというところか。アメリカが巨大化した軍事産業が衰退しないために時々戦争するのと同じになってしまったのかな。

事故を起こせばすべて日本が賠償義務を負い、日本国内のように「ごまかす」ことはできませんよ。

また、廃炉まで日本およびトルコは政治経済が安定しているか?リスクは2倍どころじゃない。

こんなことをしたら間違いなく安倍総理は『歴史に残る総理』になる。悪い意味で。