質問 

 十年来、3月頃になると手の指の先にぶつぶつや水疱ができてきます。冬には出ません。痒みはないのですが、ブツブツができて数日すると皮が破れてむけ、ボロボロ、カサカサになり血がにじみアカギレみたいになります。皮膚科を受診したところ、血液検査で杉のアレルギーがあるといわれました。今後どのようなことに注意したらよいでしょうか。

                            (新津市・S子・50歳主婦)

回答

 手にはさまざまな皮膚疾患が出やすく、頑固で悩まされます。皮膚科を受診してもさんざん待たされたあげく「ただの手荒れですね」等といわれ、がっかりしてしまう方も多いと思います。

 しかし、その「ただの手荒れ」も詳細に検討するとさまざまな誘因、悪化因子等があり、原因により対策も可能です。

 ご相談の件ですが、おそらく汗疱を生じ、進行性指掌角皮症を合併しているものと考えられます。

 汗疱とは典型的なものは手の汗が角質を持ち上げ小さくリング状にむけます。指の横などに出た場合は小さい水疱がたくさん出て、徐々に皮がむけます。汗が原因ですので冬場は少なく、暖かくなり始める頃に悪化します。気にしてさわっていたりすると広範囲にむけます。こうなると外的刺激に弱く、洗剤などで皮脂がとれすぎると角質の水分がなくなり荒れ、亀裂、痛みなどを生じます。この状態が進行性指掌角皮症です。アレルギー性の接触皮膚炎を伴えば、かゆみが出たり手の甲まで拡大します。

 治療としてはハンドクリームや医師に処方された薬剤をこまめに塗ることです。手の場合すぐ軟膏分が取れて乾燥してしまうので、回数が必要なのです。皮はむかず、洗剤やこすれる刺激には注意しましょう。

 皮膚科で受けた血液検査はおそらくアトピー・喘息・花粉症系統のアレルギー検査でしょう。この陽性反応は、手だけの発疹の原因にはなりません。皮膚科でこの検査をしたのは、アトピー性皮膚炎を疑ったためと思われますが、手だけのアトピーというものは存在しません。他にも発疹があるのであれば、これも含めて改めて医師の診察を受けてください。

済生会新潟第二病院          

皮膚科 丸山友裕