質問

 20歳過ぎから膝より下に濃い毛が生え始め、今では男の人よりも濃くて長い毛が膝下を覆っています。そったり、抜いたりしていますが、毛質や量が異常なため、その皮膚のあとは痛々しいばかりです。美容脱毛などの対策もあるのかもしれませんが、その域をはるかに超えているような感じがします。ホルモンのバランスがおかしいのでしょうか。気軽にスカートもはけない生活です。                     (新潟市・A子・29歳)

回答

 体毛の多寡は個人差が大きく、男性でもつるんとした人から胸毛もじゃもじゃの人までいます。女性の場合も同様ですが一般に男性より少なく、あまり多いのは病的な場合があります。病的なものとしては男性ホルモンが過剰に産生される卵巣の腫瘍や、副腎、甲状腺などの内分泌異常や、薬剤によるものなどがあります。

 内分泌異常によるものは男性型多毛を呈しますので鼻下、顎、頬、胸、下腹部、大腿内側の毛も増えます。したがって膝下だけの多毛であれば個人差の範囲の可能性が高いと思います。全体に毛が濃い方とのことですが月経障害、肥満、やせすぎなど他の症状や、長期間の薬剤摂取はありませんか。これらがあれば念のため皮膚科を受診し、正常範囲内の多毛なのかどうか診察を受けてください。

 「病的(びょうてき)」でなければ「美容的(びようてき)」問題ですね。方法は脱色、剃る、抜く、溶かす、毛根をこわす、の五つがあります。

 おそらく一番簡便なのは脱色剤でしょう。毛は残りますが、ストッキングでかくれるくらいに目立たなくなるのであればそれで十分ですね。目立ってくるたびに繰り返せばよいのです。

 毛を剃るとかえって濃くなるといいますが、全くの迷信です。毛の太い部分を斜めに切るため、伸びてきた時にその断面が目立ち濃く見えるだけです。さあ、ためらわず毛を剃りましょう。剃り跡が痛々しいとのことですが、カミソリで皮膚を傷つけるからですね。電気カミソリをこっそり使いましょう。私は常々この機械は今世紀最大の発明品の一つではないかと思っているのです。それは網で刃が皮膚に触れないようにして毛だけを適確にカットするからで、これを使っている人にひげそり負けはほとんどありません。女性もむだ毛処理に多いに活用してください。

 「抜く」はテープとワックスがありますが痛みを伴う点、皮膚への刺激であまり薦められません。

「溶かす」はクリームなどの除毛剤を塗り、溶けて切れるようになったところで洗い流します。これも皮膚刺激などの点であまり薦められません。

 永久脱毛としては電気分解法、電気凝固法があり、いずれも毛根に沿って針を入れ毛根を破壊します。うまくいけば効果は一番よいわけですが、かなり高額です。完全な除毛のためには、熟練と多大な労力が必要で、アメリカのような脱毛師の国家資格のない日本では「脱毛師もどき」によるトラブルが非常に多く、信頼できる施設かどうか十分な確認が必要です。

済生会新潟第二病院

皮膚科部長 丸山友裕