質 問
52歳女性。4年前から時々頭と顔を除く全身が赤くなり、痒くなります。30分位すると痒みも赤さも消えます。その日によって出る回数は不定です。皮膚科では慢性蕁麻疹と診断され、それ以来蕁麻疹の薬を飲んでいます。体質改善の注射も15本打ちました。アレルゲンの反応も検査しましたが、何もないとのことです。今でも毎日痒くて困ります。どうしたらいいでしょうか。
回 答
典型的な慢性蕁麻疹です。
蕁麻疹は一ヵ月以内で治るかどうかで急性と慢性に分かれています。
急性は一過性の原因で生じ、短期間で治癒します。食べ物が原因なら排泄される頃には治りますし、急性上気道炎などの感染症によるものなら、感染症に対する治療が的確であれば治ります。
慢性は、繰り返しその原因にさらされているか、原因がずっと体内に留まっているか、「くせ」になっているかのいずれかのため、長期間繰り返します。通常6か月から数年続き、収まります。一生治らないというものではありません。しかし、悲しいかな、慢性蕁麻疹の原因発見は非常に困難です。
蕁麻疹は皮膚の血管周囲にある肥満細胞が色々な刺激を受けることによってヒスタミン等の化学物質を遊離することによって生じます。
蕁麻疹はアレルギー性のものと非アレルギー性のものがあります。
アレルギー性の原因としては、食べ物や食品添加物、ダニ、ほこり等が推定されていますが、検査で原因を特定することは困難で、仮に原因が特定されたとしても、それは常日頃接し、吸収しているもので、避けることが困難なものばかりです。
非アレルギー性のものは、肥満細胞が何らかの理由で不安定になり、温度の変化、機械的刺激、日光、発汗、運動等によって誘発されます。
また、体内に免疫抗体に反応する物質ができてしまって、治りにくくなっているという説もあります。これらの反応は「蕁麻疹がくせになってしまった」としかいいようがなく、アレルギーや内臓の検査をしても、何もひっかかりません。
従って、一通りの検査を受けたのであれば、くよくよせずに対症療法に徹するのがよいでしょう。
治療は抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤の長期内服に尽きます。内服により肥満細胞が安定するため、蕁麻疹をかなり的確に抑制できます。効き目が悪い場合は、薬剤の増量や数種類組み合わせることにより効果が期待できます。蕁麻疹が常に抑制される程度の量をずっと継続することがコツです。この薬は依存性になったりこじれたりすることはなく、安心して継続できます。自分にとっての適量を見つけ、それを継続してください。いつか必ず治る日が来ます。
済生会新潟第二病院 皮膚科
丸山友裕