質問

19歳の男性。コンビニのバイトでレジのお金を預かるうちに両手の指、特に右の指がガサガサになりました。ところどころ割れて、赤くはれています。病院では菌が入ったとのことですが、塗り薬、飲み薬(トリルダン60ミリグラム)をもらっています。電気も当てていますが治りません。どうしたら良いでしょうか。


回答

 典型的な進行性指掌角皮症と考えられます。

 皮膚の角質は水分の多い細胞です。その水分は、皮脂によって蒸発しないように閉じ込められ、潤いを保っています。皮指は大部分が毛穴から供給されるため、毛のない手のひらは、簡単に「油切れ」になりやすいのです。この結果、角質の水分が減少し、がさがさになったり、割れたりする状態が進行性指掌角皮症です。この状態は皮膚のバリヤー機能も破綻するため、色々な物にかぶれやすくなったり、菌が入ったりと二次的な変化も起こしやすくなります。

 「油切れ」の直接の原因は、食器洗いなどで脱脂力の強い洗剤により手の脂までとれてしまうケースと、慢性的な機械的刺激などが主です。刺激を受けやすい利き手の親指、人さし指、中指の先端から発症し、容易に慢性化ます。

 従って、最大の治療は刺激を避けることと、ひたすら皮膚に油分を供給することです。

 手の油分がなくなるたびに薬を塗ることが可能ならそれがベストで、この場合一日10〜20回位塗ることになります。油っ気の強い軟膏のほうが効果がありますがべたべたして困る、という人は日中は保湿効果のあるクリームを塗って下さい。夜はたっぷり軟膏を塗り、亀裂部には亜鉛華軟膏を貼り、包帯や手袋をするとよいでしょう。

 痛みを防ぐためにカットバンを貼る人がいますが、百害あって一利なしです。カットバンのなかに水分が溜まり、皮膚がふやけて、かえって悪化します。この場合、ステロイドの入ったテープ剤を貼るとよいでしょう。また、市販の水絆創膏で割れたところを密封する方法もあります。水絆創膏は亀裂部につけると大変しみますが、剥がさず重ねてつけて、固めてしまうのが良いでしょう。

 これから冬場に向かい、お湯の使用などで悪化しやすいシーズンを迎えます。根気よく治療して下さい。

済生会新潟第二病院・皮膚科

丸山友裕