アトピー性皮膚炎 その1


済生会新潟第二病院
皮膚科  丸山友裕


 皆さんは「アトピー性皮膚炎」と聞くとどう感じますか?


中には『この子はアトピーでしょうか?』と、あたかも癌の宣告でも聞くように身構えるおかあさまもいらっしゃいます。
ステロイド外用剤の功罪、食事療法の可否、民間療法をしてよいかなど、疑問がいっぱいのアトピー性皮膚炎について2回にわたってお話します。


 アトピー性皮膚炎は『乾燥肌質』と『色々なものにアレルギーを起こしやすい体質』の二面から成り立っています。喘息やアレルギー性鼻炎・結膜炎が合併しやすいのは後者の要因によります。


 数年前まではアレルギー素因が過大評価され、必要以上の食事制限はするものの乾燥肌質に対するケアがおろそかになるケースが多かったようです。現在はこのアトピー性皮膚炎の二面性が広く知られるようになり、より適切な治療法が浸透しつつあります。
年齢ごとの発疹の好発部位を図に示します(図)。

 乳児期は顔面が主で、小児期に至り、全身の乾燥肌部位と肘・膝裏に好発します。乳児期の顔面は脂漏性湿疹の好発部位であり、口囲はよだれや食べ物の刺激を強く受けるところです。小児期から成人の肘・膝裏は汗をかきやすく熱を持ったり、汗が再吸収される所です。各部位にそれぞれ悪化要因があるわけです。これが乾燥肌の改善と、刺激からの回避が必要な理由です。


 乾燥肌とは、皮膚の最外層を覆う角質層が「ぼろぼろ」になってその隙間から皮膚にとって大事な水分が蒸発して乾燥する状態です。その隙間からかぶれの原因となる物質や、細菌、ウイルスなどがどんどん侵入してきます。アトピー性皮膚炎患者にとびひ(伝染性膿痂疹)やヘルペスを併発しやすいのはこのためです。


 十数年前までは皮膚の外用剤といえばステロイド一辺倒でしたが、近年、乾燥肌の改善の重要性が認識され、保湿剤の十分な使用の結果ステロイド外用剤がより適正に使用されるようになり、患者さんの必要以上のステロイド恐怖が緩和されるに至りました。
 アトピー性皮膚炎の悪化因子として注目すべき事は、湿疹を放置する事により、より湿疹の出やすい皮膚に変化してしまうということです。従って、適切な治療を根気よく続け、湿疹を適切にコントロールし続ける事が大事です。


 治療を中断して一気に悪化させるとさらにコントロールしがたい状態に陥ってしまいます。また、「引っ掻く」という刺激は大きな悪化因子で、掻き続けることによりさらに悪循環にはまります。痒みを自覚してなくても、夜間に無意識に掻いている事がありますので、掻き傷があれば眠前だけでも抗アレルギー剤は内服した方が良いでしょう。


 具体的な治療や成人型アトピー性皮膚炎の顔面の皮疹についてはまた次回解説いたします。