熱烈ラジオショー「餅のことは餅屋に聞け」

〜眼の周りのクマ〜


前振り


「悪魔の爪あと」

ある人が夜も眠れず、うなされ続けました。顔が痛いのです。顔に手を当ててうめいています。悪魔でもついたようです。その人は苦しさのあまり起き上がって鏡を見ると「ぎゃ〜〜〜!」という悲鳴を上げて言いました「あ!クマの爪あと」目の下の「クマ」に手を当てていたので爪の跡がついたのでした。てけてん!

 

クマとはどうもの?

目の下にできる黒ずんだ色のことで


「青グマ」「茶グマ」「影グマ」


の三種類があります。ただしこれは正式名称ではないし、皮膚科学的にも学問上の名前はありません。

クマのできるメカニズム・クマとはどのような時にできる


「青グマ」

 睡眠不足や眼の使いすぎになると血行不全になり、うっ血します。目の下は皮膚が普通の場所の三分の一の0・6ミリときわめて薄いため、うっ血した血液、しかも酸素を使い果たした黒ずんだ血液が透けて見えます。また、寝不足状態ではまばたきが多くなるため、その刺激で軽度の内出血を起こしていることもあります。殴られると眼の周りだけ青くなりやすいのは、この皮膚の薄さ、内出血のしやすさと関係があるのです。


 対策:基本的にはよく寝て疲れを取ること。うっ血の場合、軽いマッサージや蒸しタオルで暖めたり冷やしたりを繰り返すと血行がよくなり、改善することもあります。最近のアメリカの研究でビタミンKを塗ると血管内の血栓がとれて血行がよくなることが知られ、このクリームも手に入ります。ぬるいお風呂に入りゆっくり温まるのもよいでしょう。しかし、内出血を伴っている場合は以上の方法はいずれも無効で寝て治すしかありません。睡眠不足や疲れは大敵ですね。

「茶グマ」


 このような変化を繰り返すうちに慢性化すると、メラニン色素が増強し、いわゆる「シミ」と同じ状態になります。メラニンは固着した状態なので、寝ることも含めて上記治療は一切無効。対策としては、そもそも「青グマ」にならないよう日ごろ注意。それでもなってしまったら、いわゆるシミに効く美白剤の外用と日焼け止めクリームで日焼けを防ぐこと。

「影グマ」


 皮膚のたるみや小じわによって光が屈折し、暗い色に見えるもの。目が落ち窪んでも影ができてクマ状に見えます。茶グマを合併してバブルパンチの場合も多い。これは小じわの元になる乾燥を防ぐことが大事で保湿クリームをこまめに塗って予防。目が落ち窪むほど疲れをためないこと。
年とともにたるんでしまったものは、いわゆる美容整形手術でしわ取りする場合もあります。


おまけ
 1)目の下の皮膚は薄いばかりでなく、皮下脂肪もほとんどありません。ここに皮下脂肪がつくと、飛び出して一種の「たるみ」のようにも見えます(三国連太郎氏のような顔)。
 2)ビタミンK血栓溶解作用などがあるビタミンで、植物の葉緑素で作られます。 海藻、緑茶、ホーレンソウ、ブロッコリーなどに含まれます。
 3)ビタミンKクリームはインターネットなどで買えるようです。


済生会新潟第二病院 皮膚科 丸山友裕