「餅のことは餅屋に聞け!」

白髪くせ毛の話


まずは白髪の話から

質問 1)
 白髪は何故生える?人は何故、年を取ると白髪が生えてくるのか?


回答 1)
 毛は毛根の毛母細胞で作られますが、メラニン色素を作るメラニン細胞は毛母細胞と一緒に存在しており、メラニン色素を作っては毛に供給しています。このため毛は黒く見えます。
 年齢とともに毛母細胞の方が先に衰える人は、毛がどんどん抜けて禿げて行くし、メラニン細胞の方が先に衰える人は、白髪に変わっていくというわけ。

質問 2)
 強いストレスがあっという間に白髪になると言われますがこれは本当ですか?

回答 2)
  ストレスにより白毛化は進行しますので、一年ぶりくらいにあった人が白髪が増えていると「あの人はあっという間に白髪になったなあ。さぞ苦労したんだろうな」などと言いますね。一夜にして真っ白になったみたいな言い方は、これを大げさにしたもので、ほとんどデマです。
  毛が伸びる速度は一日で0.4ミリくらいですから一日で変わることはありません。一年で10〜15センチ伸びますから一年ぶりであった人が「真っ白」と言うことはありうるし、一年に一度くらいしか会わない人はたくさん居ますから。(黒い毛が直接白い毛に変わることはなく、あくまで生え変わって白くなります)。
  ただし、ごくまれなケースとして、白髪交じりの人が急激に円形脱毛症になり、黒い毛だけが一気に抜けるようなことが起こると、一瞬で白髪に置き換わったような印象を与えるという専門家の報告はあります。しかし、きわめて例外的です。

質問 3)
  白髪から黒い髪に戻る時はある?

回答 3)
 
薬や栄養不足などで白髪を作った場合は薬をやめたり、状態が改善されれば戻ります。 
 円形脱毛症が治ってきたときにまず白髪が生えますが、これはきちんと治療すれば黒い毛になります。円形脱毛症後でブチ状に白髪の人は治療を続けましょう。
 通常の白髪はまだなり始めの頃は、メラニン細胞が完全に衰えきってなければ、少し復活することはあり得ます。マッサージや育毛剤で血行を良くすれば多少は戻ることもありますが、まあ、焼け石に水です。普通は徐々に衰えて行き、最後はメラニン細胞は死んでしまうので現実には期待できません。


質問 4)
  白髪が出ないようにするにはどうしたら良い?特に良い食べ物はありますか?

回答 4)
 
これは残念ながらありません。よく海藻類がよいといわれますが、科学的には全く根拠がなく、海草の黒く、ゆらゆらするイメージがデマを生んだといえます。
  ひじきを食べたら毛が黒くなったと言う人の頭を良く見たら、ひじきがくっついていただけなんて冗談もありますよ。一体どういう食べ方しとるんじゃ〜〜!

質問 5)
 
白い毛だけなぜピョンと立つのでしょうか?

回答 5)
  白髪はメラニンが少ないだけでなく、毛自体も老化しているため毛の弾力がなくなるので、黒い毛とは同じように伸びることができず、わが道を行きます。それでぴょんと立つわけ。白髪の割合が増えればそれなりに白髪同士同じように伸びる。

質問 6)
  傷んだ毛が白っぽく見えるのは?

回答 6)
  キューティクルやその内部との境目が複雑な光の屈折や反射を起こすため。

質問 7)
  人種によって毛の色が違うのはなぜですか?

回答 7)
  二種類のメラニン、ユーメラニン(黒い毛を作る)とフェオメラニン(赤い毛を作る),これの混合する割合で人種的な毛の色が決まります。


今度はクセ毛の話です。

質問 5)
  クセ毛の髪はどういう構造なのでしょうか? クセ毛は何故できる?

回答 5)
  直毛は円筒形の毛がズド〜ンと伸びています。毛の断面は丸です。くせ毛は毛の断面が平べったいのでくねくね伸びます。紙テープを投げるとくるくるとねじれますが、水道のホースはそんなにねじませんね。それと同じです。
 パーマで直毛をくねくねにしたりできるのは、毛のタンパク質も持つミクロの「シスチン結合」が還元剤で切断され、酸化剤を作用させると、ロッドにまいた形で新しいシスチン結合が出来てその形に固まるからです。
  ちょうど上着のボタンをはずし一個ずつずらしてはめる、というようなことをパーマの一液と二液で行っていますね。

質問 6)
  クセ毛を直すにはストレートパーマをかけるしか方法は無いのでしょうか?

回答 6)
  毛はシスチン結合という強固な結合のほかに、水素結合という弱い結合で結びついて形を作っています。
  この結合は弱く、水で簡単に切断できます。だからせっかくセットした毛がぬれると崩れるわけです。
  これを逆手にとって、トリートメントの原液や石鹸を10分ほどつけたままにして形を整えると、ある程度くせ毛は取れます。あまり長持ちしませんけどね。

 

インタビュー:BSNの鍵富徹さん
答えた人:済生会新潟第二病院 皮膚科 丸山友裕