二年くらい前から両手の人さし指と中指の爪の先が二枚に分かれて欠けたり、軟らかくなったりします。ほかの爪には症状は出ていません。プールに毎日通ったり、水仕事をしたりすることと関係があるのでしょうか。
(新潟市・H子・59歳)
回答
爪は皮膚の角質化によって作られます。爪は二重構造で、爪母(爪の根)爪床(爪が接着している皮膚)のそれぞれから角質化した二層が接着して一枚の爪を形成しています。
お尋ねのH子さんは何らかの理由で、この二層の接着が不十分な状態か、または、爪全体が皮膚から浮いてきているものと考えられます。「爪甲剥離症」といいます。
爪も皮膚の一部ですから、適切な水分量が保持されないと乾燥肌と同様の異常を生じ、この結果爪がはがれてくる場合があります。水などに手指を長く浸していたり、手の多汗症などが原因になることがあります。過度にふやけると、その後で逆に乾燥してしまうからです。マニキュアや除光液が原因になることもあります。
このほか、爪をはがしたり、とげなどを刺したりといった外傷によるものや真菌(かび)の一種である「カンジダ」の感染や全身疾患、薬剤などで生じることもあります。
お尋ねのH子さんは、プールや水仕事で乾燥状態に陥った爪に、外力の加わりやすい人さし指と中指だけがダメージを受け、爪甲剥離症を生じてきたと考えられます。
一度はがれ始めた爪を元に戻すのは困難ですが、水仕事のときに手をぬれたままにせず、爪にも保湿削を小まめに塗って、乾燥を防ぐとよいでしょう。
済生会新潟第二病院
皮膚科 丸山友裕