質問

 平成十年十月左の喉がかゆいので町の皮膚科に行き、診察を受けたら帯状疱疹と診断されました。飲み薬と塗り薬を処方され一か月二回診察で六か月通院後は薬は出しませんと言われた今はどこの病院にも行ってません。頭はしびれる感じ、首、のどは痛いようなひりひりした感じ、仕事をしている時は気にならないときもあります。これ以上痛みが広がるのが心配です。この痛みを治すには何科を受診すればよいか教えてください。(村松町・75歳、A男)

回答

 現在のA男さんの状態は帯状疱疹後神経痛といわれるものです。

 帯状疱疹について簡単に説明いたします。子供の頃に感染した水ぼうそうのウイルスが神経の根元に潜んでいて、後年、体調の悪い時等に神経に沿って増殖するのです。例えば体幹部でしたら背中から前方までぐるっと帯を巻いたように痛みと水疱が出ます。ただし、神経は左右別々ですから半周だけです。首から顔面、頭部の場合も片側だけ出ます。ウイルスが神経を刺激しますのでとても痛みますし、びりびりしたしびれ感、痒み、知覚過敏なども混在します。水疱は普通2〜4週間で乾燥して治りますが、神経症状だけが長く続く場合があります。これが帯状疱疹後神経痛です。

 帯状疱疹自体は免疫ができ、再発しませんので、これ以上痛みが広がる可能性はまずないでしょう。

 帯状疱疹の治療で大事なことは初期に十分な除痛を計り、帯状疱疹後神経痛予防することです。初期治療では抗ウイルス剤、消炎鎮痛剤、ビタミン剤等の内服薬を十分に使用します。これで抑え切れない場合は神経ブロックを行います。頭部の帯状疱疹では首の星状神経節に麻酔薬を注射します。このように初期に十分な治療をしても、高齢者では痛みを除去しきれず、帯状疱疹後神経痛に移行する場合があります。

 このような場合も基本的には初期と同様の治療(抗ウイルス剤を除く)を行いますが、初期に比べるとなかなか効きにくいのが現状です。具体的には前記の治療の他、イオントフォレーシス(通電)による局所麻酔薬の導入、赤外線やマイクロウエーブの照射等があります。麻酔科、ペインクリニック科で扱っています。総合病院で麻酔科がペインクリニック科を標榜していない場合、皮膚科を受診して麻酔科に依頼してもらうのがよいでしょう。

済生会新潟第二病院皮膚科

丸山友裕