質問

 28歳の娘のことでお尋ねします。昨年結婚し妊娠しました。娘は生まれつき体に単純性血管腫(赤あざ)が広範囲にあります。これは遺伝しないといわれておりますが、生まれるまで心配でたまりません。本当に遺伝しないのでしょうか。お聞かせください。お願いします。

(新潟市・匿名希望・55歳)


回答

 結論的に言いますと、単純性血管腫は遺伝する可能性は全くありません。ご安心ください。

 あざ(母斑)に関しては昔から色々な俗説があります。たとえば、妊婦が妊娠中に転ぶと青あざ、火事を見ると赤あざの子が生まれる、等です。これは遺伝性ではないと言っている点では当たっていますが、それ自体は全く根拠がありません。

 遺伝性ではありませんので、遺伝的に全く同一の個体である一卵性双生児で一方にあざがあり、他方にはあざがない、という現象がしばしば見られます。このことであざが遺伝性でないことがよく理解できます。

 あざの正式名は母斑で、生まれつき、または生まれつきの素因に基づき生後徐々に発現する、限局性の皮膚の異常を言います。

 単純性血管腫(赤あざ)は、皮膚の毛細血管の異常な増殖によりその部分の皮膚が赤く見えるものをさします。 あざにはこのほか皮膚のメラニン色素産生細胞の異常によるあざ(茶あざ、青あざ、黒あざなど)や、表皮だけの異常により表面がでこぼこする表皮母斑、皮膚の全構造に異常をきたす類器官母斑(脂腺母斑)などがあります。

 あざを生じる理由は、胎生期に皮膚の構造が形成される過程で起こる体細胞レベルの突然変異と言われています。つまり、何らかの理由による細胞の突然変異が皮膚のある部分の毛細血管に起これば赤あざを、メラニン色素産性細胞に起これば茶あざ等が形成されるわけです。

 そのような訳で、単純性血管腫を始めとする皮膚のあざ(母斑)は全く偶発的なもので、遺伝性のないことを理解していただけたと思います。どうぞ安心して出産をお迎えください。

済生会新潟第二病院 皮膚科

丸山友裕