質問
十年来足の裏の熱感に悩まされています。冬はないのですが、夏はひどく熱く、氷嚢などで足を冷やさないといてもたってもいられません。
ひどい時はかかとの上のほうまで赤くはれて痛むこともあります。靴は良質のものにしていますが、むれて熱く、外出が苦痛です。
医師に聞きましたが更年期障害だからしょうがないと言われました。この様な症状はずっと続くのでしょうか。
(新潟市・S子・64歳)
回答
一般に、ほてりは末梢血管の収縮と拡張のアンバランスで起こります。しもやけも同様に末梢血管の収縮・拡張のアンバランスで起きますが、夏場に悪化するとのことですので、しもやけとは異なるようです。
ご相談の内容から特定の疾患を推定するのは困難ですが、一つの可能性として考えられるのは肢端紅痛症です。本症はまれな病気で、手足の灼熱感、潮紅、皮膚温の上昇を特徴とします。本症では単なるほてりではなく灼熱痛が特徴で、痛みに悩まされることが多いのです。S子さんは歩行時に痛みを伴うとのことですので、軽症の肢端紅痛症の可能性はあります。肢端紅痛症のメカニズムはまだ不明ですが、赤血球や血小板の増加症や膠原病、糖尿病などで生ずることがあります。一度皮膚科を受診し、これらの可能性について検査を受けた方が良いでしょう。
もし、足の温度に左右差がみられたり、歩くたびに歩行不能になるくらいのひどい痛みを感じたり、血管が浮き上がって見える等の症状があれば、太い動脈や静脈の異常がないか、循環器内科や血管外科で血管の造影検査を受ける必要があります。また、しびれ、知覚異常、動きの悪さ等があるようでしたら、脳・神経系の疾患も一応念頭に入れ、神経内科の診察を受ける必要があります。
いずれでもないとすれば更年期障害の可能性はあります。しかし、更年期障害では顔のほてりと手足の冷えが多く、これらの症状は一般に閉経後5年位で落ち着くことが多いので、この可能性は低そうです。ただ、60歳代の女性でも、産婦人科でホルモン補充療法でだるさなどが劇的に軽快した例もありますので、一概に否定できません。 原因不明の場合、私は漢方薬の三物黄芬湯(さんもつおうごんとう)を使用します。著効する場合もあり、試みる価値はありそうです。
済生会新潟第二病院 皮膚科 丸山友裕