質問

 小学校低学年の男の子ですが、夏場に汗をかくとワキガ特有の臭いがします。また、この子の耳垢はべたべたしています。耳垢が湿潤しているとワキガの確率が高いといいますが、父も耳垢は湿潤し、ワキガです。外科手術では傷跡が残る上に完全には治らないと本で読んだことがあります。通信販売の紫外線照射装置でワキガや水虫に効果があるというのは本当なのでしょうか。 (五泉市・H子・34歳)


回答

 人体には二種類の汗腺、つまりエックリン汗腺とアポクリン汗腺があります。全身的な汗はエックリン汗腺より出ます。アポクリン汗腺は外耳道、脇の下、へその周り、陰部などの限られた部のみに分布しています。思春期になるとこれが発達し性的な魅力の一つになりますが、これが過剰であれば臭いの元になるのです。

 一般に、西洋人はあまりこの臭いを気にせず、さらに香水を付けるなどし、平気でぷんぷん臭いをさせています。一説によるとワキガの臭いを気にするのは日本人だけだそうです。

 ワキガ体質かどうかはアポクリン汗腺が多いか少ないかで遺伝的に決定されます。このため耳垢の状態とワキガかどうかは密接に関係するのです。ワキガ体質の方が優勢遺伝しますので片親がワキガであれば子供は二分の一の確率でワキガ体質になります。

 アポクリン汗腺からの汗自体は臭いはありませんが、それに含まれる蛋白質や脂質が皮膚表面の細菌で分解されると臭いを発します。軽度のワキガであればこまめに洗う、拭うなどや殺菌剤入りの制汗剤である程度コントロールできます。紫外線装置は殺菌作用を期待したもので、根本的な治療ではありませんし、清潔にすること以上の効果はありません。

 清潔にしても臭いを抑え切れなければ手術の適応になります。以前は脇の下の皮膚そのものを切除し縫い合せたためひどい傷になり、場合によっては腕があがらなくなる等の副作用がありました。現在では、脇の下に切開を入れ皮膚を反転させ皮膚の裏側のアポクリン汗腺を削り取る方法や、超音波メスでアポクリン汗腺を吸引する手術を行っており、傷は以前の方法より目立たなくなりました。皮膚科や形成外科等で行っております。

 アポクリン汗腺は毛根部に開口するため、脇の下の毛が生えそろわないうちは手術してもあまり意味がありません。手術を受けるかどうかはは思春期になってから臭いの程度を確認して検討した方が良いでしょう。

済生会新潟第二病院

皮膚科  丸山友裕