質問

 十三歳の息子のことでお尋ねします。四年くらい前から春先になるとまぶたのかゆみが始まりいつしか治まっていましたが、二年前に小学校の検診で「アレルギー性結膜炎」と診断されました。眼科で二種類の点眼液と軟膏を処方され処置しました。ところが今年はまぶたのほかにも、額や膝の裏も赤くかさかさしたり、ぶつぶつしたり、特に左の首から肩にかけてはかゆみがひどいようです。これもすべて「アレルギー性結膜炎」と関係あるでしょうか。また皮膚科と眼科とどちらに、あるいは両方行くべきでしょうか。

(長岡市・M子・40歳)


回答

 アトピー体質に基づく疾患にはアレルギー性結膜炎、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などがあります。アトピー体質があればこれらの疾患が年齢とともに入れ替わったり重なってくることもあります。

 アトピー性皮膚炎では肘、膝の屈側や首周りに湿疹がよく出ます。従ってお子さんの場合、アレルギー性結膜炎にアトピー性皮膚炎が合併してきた可能性はあります。しかし、このような部に湿疹が出たら必ずアトピー性皮膚炎という訳ではありません。

 アトピー性皮膚炎の原因や悪化因子は多彩で、幼児期においては食べ物、それ以降はダニやほこりなどが大きな因子といわれています。しかし、それだけで発病する訳ではなく、乾燥肌の要因が強いのです。従って、乾燥肌だけでもアトピー性皮膚炎に似た症状は出ます。肘や膝、首周りは乾燥肌に汗の刺激が加わると猛烈に悪化する部位ですから、保湿や汗に対する対策だけで軽減する可能性もあります。お子さんの症状がアトピー性皮膚炎として完成されたものかどうか皮膚科医の診断を受けた方がよいでしょう。

 まぶたに湿疹がある場合、アレルギー性結膜炎が潜んでいる可能性が高いのです。アレルギー性結膜炎によるかゆみのため、こすったりたたいたりする刺激でまぶたに湿疹が誘発されるからです。

 重症のアトピー性皮膚炎でまぶたに湿疹を繰り返すと、白内障や網膜剥離を合併することがあります。この原因は長年まぶたにステロイド軟膏を塗るためか、こすったりたたいたりするためなのか不明でしたが、近年、後者であることに確定しました。従って、まぶたの湿疹に対してはアレルギー性結膜炎の有無や程度を確認のうえ、軟膏や点眼等の治療を十分に行った方がよいでしょう。

 皮膚科と眼科の両方受診することをお勧めいたします。

済生会新潟第二病院

皮膚科  丸山友裕