あなたは「新しい」が読めますか?

新しい」を読んでみてください。

「あたらしい」だと思う人は、厳密に言うと「ブブー」、間違いです。

「あらたしい」だと思う人は「ピンポ〜〜ン!」 

だって、「新たに」または「新に」は「あらたに」と読みますよね。間違っても「あたらに」とは読まない。元来「新」は「あらた」であったのです。従って「新しい」は「あらたしい」が本来の読みです。


 江戸時代に誰かが意図的に「ら」と「た」を入れ換えて「あらたし」を「あたらし」にして流行らせた結果、こちらが一般的になったらしいのです。これは「容認される」の域を超えてこちらが正しいことになってしまった一例です。

  現代のミュージシャンが洒落て「ジャズ」を「ズジャ」などと言いますが、これはまだ、「業界用語」の範囲内。


  寿司の「ネタ」もそうですが、これは「容認」の一歩手前まで来ました。
 このような例は他にもありますが、思い出したらまたこの欄に追加しておきます。

 「したづつみ」の場合、「つ」と「づ」の入れかわりのようにも見えますが、濁音が一個ずれたとも解釈できます。例えば、「手伝い(てつだい)」などはそのよい例で、「手(て)」プラス「伝い(つたい)」なら、セオリー的には「てづたい」になる筈ですが、現在では濁音が一個ずれた「てつだい」が標準です。


 江戸時代には安藤広重が、甲州街道の与瀬の鮎が評判の宿で鮎のすしを食べ、

「よせの宿入口茶屋に休、あゆのすしをのぞむ、三人てづたひて出来上がり出す、甚だ高値その代りまづし」

( 『近世文芸叢書 第12』の「一立斎広重旅日記」p393より引用)

と酷評していますが、これより後に徐々に変化したようです。

 

 「秋葉原」
 これを皆さん何と読みますか?「あきはばら」という人は若い!私のおばあちゃん(東京在住)は「あきばはら」と言っていました。この地名は明治初年に設立された火除けの神を奉る「秋葉神社(あきばじんじゃ)」に由来し、周囲を「秋葉原(あきばはら)」と言ったのです。ところが明治20年だったかにここに鉄道の駅ができた時、「秋葉原(あきはばら)」と命名されたというから驚きですよね。この言葉の乱れは一体なんだ!?今にしてみれば、おばあちゃんに「”あきばはら”にある国鉄の駅はなんていう名前なの?」と聞いておけばよかった。意外ときちんと使い分けていたのかも知れぬ・・・。最近の若者は「秋葉原(あきはばら)」のことを略して「あきば」と言っていますが、これは二重の意味で面白い現象ですね。濁音が二度ずれた結果、最初の戻ってしまったのか、本能的に「先祖がえり」したのか・・・・・

 言葉の流転は奥が深いです・・・・・