すっごい楽しいね


 可愛い女の子と一緒にいたりすると、すっごい楽しいですよね。えっ?なんか変ですか?可愛い子と一緒に居て、なんか文句あるか!

あ、そういう問題じゃないか。

はいはい。この「すっごい」が変だって言いたいんでしょ。普通なら「すごく楽しい」ですよねこれが何故「すごい楽しい」になったか?

最近の人は言いますよね。

「すご〜〜い!」「すっげ〜〜!」

形容詞はそのまま感嘆文になりますね。

「甘〜い!」「柔らか〜い!」

最近は省エネでこの傾向はますます顕著。たぶん「すご〜〜い!楽しい」を一つの文章にしてしまったんでしょうね。

一方、関西弁では、音便を多用する傾向がありますね。

あ(ま)もなったんですわ

「すごなったんですわ」とか「すごおなったんですわ」とかね。

この習慣を取り入れた可能性もある。 この「すごお」は「すごく」の音便なんだけど、これを東京弁風に発音を直し、「すごお」が「すごい」になってしまった。

まあ、このあたりの分析は誰でも考え付きそうだけど、さてこれからが本題。

「すごい」はそもそも「凄い」であり、恐ろしいこと、凄みのあることに使う言葉なのだよ。

「いやあ、凄いことになりましたな」と言われたら、あんまり楽しい事は想像しないよね。だから「凄く楽しい」なんていう概念自体が存在しないのだよ。ここに問題があるな。

ところがこういう言い方もある。

「オニのように」

これは私が若いときに良く使ったな。

「あの店のラーメンはオニのように旨い」とか「オニのように勉強した」とかね。

しまいに

「あの娘はオニのように可愛い」などと言ったものだよ。だから

「オニのように可愛いあの娘と一緒にいて、すっごい楽しかったね」

という言い方も成立するのだな。

え?しない?。「オニのように可愛い」が成立しないのなら「凄く楽しい」も成立しないよ。

だから、この「オニのように」の使い方に違和感のある人は「すごく楽しい」とか「すっごい楽しい」なんて言っちゃダメ!

もひとつおまけ。

この「オニのように」という言い方はとっくに滅びたと思っていたら、現代の若者も使うらしい。

最近は「オニのように旨い」を略して「オニうま」と言うのだそうだ。

とするとこの「オニ」は幼児語ならぬ、「思春期語」あるいは「青年語」ともいえる、通過儀礼的な言葉なのかもしれない。


おまけ

 その後知人などに聞き取り調査をしたところ、ある若者は「オニのように」と「超」と「すごい(すっげ〜)」を文意によって使い分けるそうな。

「オニのように」はネガティブな時、例えば「オニのように疲れた」「オニのように忙しかった」とか。「オニのように強い」(本来の使い方)などとは言わない模様。

  それに対して「超」または「チョー」はポジティブな時、例えば「チョー素敵!」とかそれこそ「チョー楽しい」とか。

「すっげ〜」は文脈において特別に強調したい時、力を込めて「あの人すっげ〜いい車買ったんだよ」等。

やはり言葉は確実に生きていますね。