さあ、この美味しいラーメンをいただいてくださ〜い
〜テレビが言葉を変えた!〜
ん?なんだこりゃ?
普通なら「召し上がってくださ〜い!」じゃないの?
と思う人は、「テレビ」というものを知らないのかも。実は私も、まだ違和感をぬぐいきれませんです。
「いただく」は謙譲語なので、通常自分の行動に使っても、相手には使いません。
しかし、こういう状況はどうでしょう。
友人と二人で人の家にお呼ばれして、ケーキを出されました。
私は食べる気満々。しかし友人は手を出そうとしません。
この時、私なら友人に
「さあ、いただきましょ!」と促します。
それでも友人は手を出しません。私はちょっと切れ気味に
「いただいて下さい!」というかも・・・。まあ切れる事はないか。
テレビなどでは、例えば司会者が芸能人を伴って有名ラーメン店を訪問します。
そこで出されたラーメンを前にして司会者は一言。
「さあ、この美味しいラーメンをいただいてくださ〜い」
なるほど。司会者は芸能人たちの仲間ですね。あくまで店主の出したラーメンを「一緒にいただく」立場。
それを促している事をテレビの前の視聴者に見せる、という状況です。
この時に、もし「召し上がってくださ〜い」と言えば、表面上は正しい日本語ですが、
この場合、司会者は店主の代りに発言したということになり、「訪問した」という立場ではなくなってしまいます。
このような状況というのは、テレビ出現以前にはほとんど存在しなかったかも。
さらに言うなら、芸能人が訪問したり取材している場面を眺めるという、以前にはなかったテレビ番組の作り方が影響しているでしょう。
しかし、まだ私が違和感をぬぐいきれない理由は、これをそうでない場面でも使い始めているからですね。
1)料理番組で料理の先生が「このように調理すると美味しくいただけますよ」
これ、最近頻繁ですね。「自分はこのように調理して美味しくいただいています」と言いたいのでしょうが、先生なんだからそんな自分の視点じゃなくて堂々と「召し上がれますよ」で良いんじゃないの?それとも先生だから「偉い」ので、丁寧語は使う必要がないって威張っているのか?まさかね。
2)NHK教育番組で司会者が「先生、私のような初心者の方にもわかるように教えてください」
え??自分を「方」ですか??
これ、かなり微妙ですね。「私のような」の部分はほんの付け足しで視聴者を意識しました、と言われればなるほどですが・・。
先ほどのラーメン店の取材があくまで取材者側の立場であるのと全く異なります。
芸能人を伴っているかどうか(取材者側が単数か複数か)で違うのかもしれません。
3)テレビで司会者が、ゲストの話を聞きながら「そうですか。この品はおじ様からいただいた物ですね」
この表現が正しいかどうかというと、私には「正しい」とは思えません。
「おじ様から貰ったものですね」と言えば問題はありませんが、「謙譲」「尊敬」等の立場を考慮するならばどう言えば良いのでしょうか?
「おじ様からお貰いになった物ですね」かな?でも「お貰い」とはあまりにヒドイ。
「譲り受けられたものですね」は良さそうだけど、舌噛みそうです。
皆様どう思われますか?名案募集します。