さすが丸山君


 中学二年の時の事です。

 その日の学級会の議題は、日直の問題でした。座席順に割り当てられた日直は黒板を拭いたり、散らかった教室を片付けたり、先生と連絡をとったりと、それなりにやることがたくさんありました。

 ところが、このところ日直の仕事をきちんとやらない人がいるのです。これをどうするかが大きな問題でした。サボっていても、それを見かねた誰かがやったり、非難を浴びても翌日にはもう次の人に番が回るので、サボり得になってしまうのです。色々な意見が出ましたがまとまらず、皆頭を抱えた状態でした。

 意見が出尽くした頃、 私はおもむろに手を挙げました。

「はい、丸山君」

司会者は、疲れた声で私を指名しました。

「日直がきちんと仕事をしていなくても、自分では気がついてない面があると思います。悪気でサボる人もいますが、もともとちゃらんぽらんな人はいい加減にやっても悪いとも思わず、結局いつもサボるのだと思います。そこで・・」みな私に注目しています。

「そこで、最後のホームルームの時に、その日の日直がちゃんと仕事をやったかどうかみんなに聞いて、きちんとやらなかったという意見が強ければ、翌日もう 一度やる、というのはどうでしょうか。」

司会者「それはどのように決めるのですか?」

丸山「多数決でよいと思います。」

司会者「なるほど、それは客観的で公平ですね。」

丸山「そうです。しかも翌日もきちんとやらなければ、何回でもやらされるわけですから、本人も自覚するので良いと思います。」

 クラスからほ〜、というため息が聞こえました。名案なのです

「さすが丸山君。では、早速今日から実行しましょう。」 難問から解きはなたれた司会者にも、クラスのみんなにも安堵の空気が流れました。

 さて、その日の最後のホームルームです。奇しくもその日の日直だった私は、ホームルームの司会をしました。そして最後に、自分の名案になかば得意になりながら、学級会で決まった事を早速実行しました。「え〜みなさん。えっへん。それでは、今日の日直の仕事振りはどうだったでしょうか。ちゃんとやらなかったと思う人は手を挙げてください。」この質問に、しばらくの間を置いて、一人二人と手を挙げました。あれあれあれ・・・・・・・と思う間になんと、ほとんど全員が手を挙げてしまったのです。しばらくの沈黙の後、

さすが丸山君、名案を考えるよな〜」 誰かが言ったとたん、クラスは大爆笑の渦に巻き込まれたのです。

 かくして、私は自分の決めた罰則を受ける第一号になってしまったのでした。そして、あろうことか、日直を二回やったのは後にも先にも私一人だけで、この、みんなに聞くシステムもしばらくのうちになくなってしまったのでした。

「本日の回文」

悔いて、聞いて、見て、生きていく

(くいてきいてみていきていく)