恵比寿様
6年ほど前のことです。当時の私は大学の助教授として仕事は充実、患者さんや学生の評判もまずまずで、順風満帆の生活を送っていました。
あるとき、知り合いのとても上品な奥さんと話していた時、突然
「ところで、先生ってエビスさんみたいですよね〜」と言われました。
「え〜、どうしてですか?」驚いた私がその訳を聞くと、
「だっていつもにこにこして優しそうだし、とてもいい雰囲気ですね」私は心の中で
(なるほど恵比寿顔って言葉もあるしな)(俺も色々苦労して、ようやく社会に認められるようになったけど、いよいよ神様か。そこまで褒められるとはな)
と、感慨もひとしおです。
照れ隠しに
「でも私そんなに太ってませんよ」
完全にほてい様と勘違いした私は、あの大きなお腹を想像しながら言いました。
「そうですね、からだの大きさは同じくらいですよね。そして喋り方も似ていますね」と言うので、
「え、恵比寿さんて喋るんですか?」びっくりして尋ねると、
「はい、よく喋りますよ」と奥さんは事もなげに答えました。
「でも恵比寿さんといえばやっぱり中国語ですよね。そんな記録が残っているんですか」と尋ねると
「いえ、日本語ですよ。」どうも話しが合いません。
不思議に思った私は
「あの、どんな風に喋るんですか」と聞きました。
「あれ、テレビで見たことないですか?」と逆に質問された私は
「そういえば七福人の出てくるコマーシャルはありますけど、台詞ありましたっけ?」と答えました。
「はあ?」今度は奥さんが首をひねります。奥さんはおずおずと言いました
「あのう、先生漫画家のエビスさんてしりませんか?」
「え、エビスさんて蛭子、蛭子能収さん??」
「ハイそうですよ」
「わ、私あんなにくたびれていますか〜〜?」思わず叫んだ私に、奥さんは確信に満ちた顔で断言しました。
「ハイ、とてもそっくりです。雰囲気も」
私は蛭子さんには何の恨みもなく、とてもいい人だと思うのですが、何故かとてもとても悲しくなりました。
ちなみに私がよく似ているといわれる人は何といっても民主党の菅直人さん、次は有名な料理人の神田川さん、作曲家の三枝成章さん等です。少し前は萩本欽一さんにも似ているといわれました。自分では石坂浩二さんにそっくりだと思うのですが、これを言うとみんな爆笑します。興味のある方は一度病院まで見に来てください。
本日の回文
「あなたにこの子似たなあ」
(あなたにこのこにたなあ)