女子高校生にモテた話


 あれは大学3年のとき。自転車で大学に通っていた私は、いつもその女子高の前を通っていました。擦れ違う高校生たちは若く、健康的で快活です。はっきり言ってあまりカッコ良くなかった私には縁遠い、高嶺の花のような存在でした。

 そんなある日のことです。いつものように高校の前を通っていると、高校生たちの様子が違います。みんな私に微笑みかけるのです。にこにこして私に会釈したり、道を譲ってくれるではありませんか。

「何かが違うぞ!」

「いよいよおれにも運が向いてきたのかな」

私の心は一気に春爛漫、自然に顔がほころびます。高校生たちはますます私に注目している感じです。

 すると突然頭上で

「キャ〜〜」

という様な声がします。驚いて見上げるとなんと3階の窓から4〜5人の生徒が身を乗り出して手を振っています。

「キャ〜、こっち向いて〜」

などと叫んでいる子もいます。一体どうなっているのでしょう?いくらなんでもこれは、と思いましたがここは余裕の表情を見せなくてはいけません。手を振って返すと皆喜びの表情です。

「人生変われば変わるものだ」

「これから毎日ここを通るのが楽しみだな」

「それにしてもなんでこんなにもてるんだろう」

色々なことが頭をよぎります。

「きっと昨日久しぶりに床屋にいったのが良かったのかも知れない」

「いやいやそういえば最近勉強にも少し身が入るようになったし、そういう雰囲気が人間を変えるのかもしれない」

そんなことを考えながら角を曲がると、犬を連れたおばさんもこちらを見てにこにこしています。

「やっぱり人間の雰囲気だ」

私は確信しました。世代を超えて支持されているようです

 高校の前を通りすぎた後はこんなことを考えながらペダルを踏むと大学まであっという間でした。  大学について自転車から降りたとき。私の青春は終わりました

ズボンのチャック、俗にいう社会の窓が全開なばかりか、ごていねいによれよれのパンツまではみ出して丸見えだったのでした。

私はそれ以降その女子高の前は通らず周り道をするようになりました。

皆さん、おでかけの前には服装をチェックしてくださいね。

本日の回文

良い仲は もててもてても はかないよ

(よいなかはもててもててもはかないよ)