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-THE MUSIC WORLD OF HARLOCK-
"Space pirate Captain Harlock"

update:2000.11.22.wed


TVシリーズ
『宇宙海賊キャプテンハーロック』


1978年3月14日より1979年2月13日まで放映。<東映動画・テレビ朝日・旭通信社>

この作品関連のCDについての詳細はこちら(オーディオソフト一覧)

 


目次

  ・第1楽章◆交響組曲

  ・第2楽章◆主題歌・挿入歌


 

第1楽章◆交響組曲

 


 今まで制作された数々のハーロックシリーズの中でも様々な繊細な心の感情を含め見事にその世界が表現されていたのは、やはり何と言ってもTVシリーズ『宇宙海賊キャプテンハーロック』でしょう。
この音楽に関しては、今更言うこともないくらい珠玉の名曲揃いであることは誰でも周知の通り。
ここでは、横山菁児氏(プロフィールはこちら)によるそのハーロックの音楽の世界を取り上げてみました。

 

<エピソード> 
 交響組曲のアルバムの解説によると、本作品のプロデューサー、田宮武氏は当初、ハーロックの音楽は氏の好みのジャズでやろう!と思われていたとのことだが、その矢先に(なんとも運よく)日本コロムビア学芸部長だった木村英俊氏にこの作品はシンフォニーでいきましょうと突然言われ、結局なんとゴージャスなオーケストラで演奏されるBGMになったとのことである。
 ということは、このツルの一声がなかったならばハーロックのBGMはジャズになってたかもしれないわけで、壮大なあのシンフォニーにも出会えなかったかもしれない。結果から見るとなんとも不思議な感じがする。
 恐らく「宇宙戦艦ヤマト」のシンフォニーの成功の影響があったことと思うが、TVアニメーションのBGMを64名ものオーケストラを使って製作するということは、それまであまり例がなかったことである。
 しかしこの試みはご存知の通り大成功し使用された画面の印象深さも相まって、今でも忘れ難い名曲揃いとなったのである。
(ちなみに横山氏が作曲に着手されたのは、なんと放映開始日のたった約1ヶ月前だったとか。)

 

<作品との調和>
 この作品の劇伴(BGM)の素晴らしいところはいろいろあるのだが、その中の一つを挙げるならば、非常に映像や作品と音楽が、見事にうまく合っていた、調和していたというところがあるように思う。
 アルバムの解説の中でこの音楽を手がけた横山菁児氏は、「作曲にあたってまず念頭に置いたことは、アニメーションと曲から受けるイメージをうまく合わせることだった」とコメントされている。
 きっとその強い意識の為だろう、音楽はそのものだけ聴いても素晴らしい出来であるが、だからといってそれが作品からどこか浮き出てしまう印象を全く受けないのである。
 決して音楽の素晴らしさが孤立しない、この見事な調和がハーロックのBGMを聴いていて非常に感銘を受けたところだった。
 考えてみたら、こういうことは確かにとても大切なことのように思える。
 この作品と音楽の見事な調和があったから、作品の世界により深い感動を与えて、私達の想い出の中に、印象深いシーンとともに必ずその音楽も鮮烈に蘇ってくるのだろう。
 作品に付随する単なるBGMになってしまったり、逆に作品よりも音楽ばかりが大きくなりすぎていたり(単にいい曲…名曲ばかり使えば決していいというものでもないような気がする。)というのもいろんなアニメ作品であったりするが、やはりそういう調和があって作品との一体感があってこそ、作品として強い魅力になってくるように感じられる。
 横山氏は、何よりも先に調和することを意識されていたというのは、それをよくご存知だったに違いない。
 音楽と作品が見事に調和している、そういう意味でもこの作品は成功しているといえるのではないだろうか。

 

<多彩な楽器の面白さ>
 このキャプテンハーロックの交響組曲、BGMの面白いところは、大編成のオーケストラではあり、交響組曲でもあるが、様々な楽器の持ち味を駆使しているところというか、無論クラシックの枠に囚われず、種々個性的な楽器の見せ場を取り入れているということも1つあるように思う。
 例えば、第4楽章の「惑星マゾーン」の「謎の女」。やはりマゾーンが南米などの遺跡に集中して生息しているというエピソードを受けて、曲は打楽器が印象的な南米を思わせる雰囲気を作っているし、第5楽章の「楽園」では軽快で快いマリンバの音色がメインでいかにもパラダイス、平和で楽しい南国にいるような雰囲気を作っている。
また、第7楽章の「寂光流離」の「ペーソス」では、物哀しいギターが印象的だ。
それぞれの楽器の音色の魅力に思わず惹き込まれてしまった覚えのある方はきっと私だけではないのでは。
 そして交響組曲の方には入っていないが、作品の中でまゆが吹いていた「まゆのテーマ」のオカリナの音色も普段私達にはあまりなじみのない楽器だがこれで興味を持たれた方もきっと多いことだったろう。

 

★『交響組曲宇宙海賊キャプテンハーロック』

 作曲当初から、作曲家の横山菁児氏には、TVのBGMとしての音楽ではあるが交響組曲のアルバム用に構成されることも意識されて作曲されるよう依頼されていた。
 その為、最初のアルバムはただ作品のBGMを集めたありきたりのものとは違って、「交響組曲宇宙海賊キャプテンハーロック」として繋がり、まとまりのあるシンフォニーとしてドラマチックに構成され、一つの作品として鑑賞することが出来るのである。
 そしてそのアルバム用に選出された以外の曲は後日、BGMコレクションとして収録され、もう一つのアルバムとなっている。

 そのもう一方のアルバムBGMコレクションの方にはそれぞれの曲ごとに細かいタイトルがついているが、交響組曲のアルバムの方は記載されていない。こちらが各ブロックのタイトル(但し当初のもの。章のタイトルも当初のもの。)である。
 やはり曲を聴くとそれが使われた印象的な場面が浮かんでくるが、作曲者のこのイメージを思い浮かべながら改めて聴かれてみると、またより一層このアルバムを、ハーロックの音楽を楽しむことが出来るのでは?

<交響組曲宇宙海賊キャプテンハーロック>

章(アルバム収録時のタイトル)/TIME 曲名

TIME

MEMO
1.序曲


6'49"

A.序曲から(宇宙の海) 10"
B.宇宙の海のテーマ 1'25" 最初の4小節は交響組曲メインのハーロックのテーマのイメージということで、いろんな部分でアレンジされて使われている。
C.地球誕生 1'22"
D.星空幻想 47"
E.夢 1'07"
F.宇宙の海のテーマ 1'58"
2.戦闘艦アルカディア号の出現
(海賊船)


4'59"

A.出現 44"
B.出発 19" 各エピソードの冒頭などでもよく使用された。
C.走るアルカディア号 1'06" 軽快なアルカディア号のテーマ
D.ハーロックのテーマ 1'06" 軽快なハーロック(主題歌)のテーマ。
E.全速前進のアルカディア号 1'44" 軽快な宇宙の海のテーマ。そしてアルカディア号のテーマ。
3.愛と友情
(愛)


5'44"

A.愛と友情のテーマ 1'56" ピアノソロから。
B.不安 55"
C.心配 1'16"
D.決意 43"
E.(愛と友情)友情のテーマ 54" 宇宙の海のテーマ
4.惑星マゾーン


6'48"

A.未知の惑星 56"
B.謎の物体接近 1'22"
C.ペナント 54"
D.女王ラフレシアのテーマ 51" 女王ラフレシアのテーマ
E.謎の女 50" 最初の方によく登場した、黒装束の殺し屋登場のシーンに印象的に使われた。
南米風。
F.惑星マゾーン 51" マゾーンのテーマ。
G.マゾーン戦闘艇発艦 1'04" マゾーンのテーマ。
5.我らがアルカディア号
(楽園)


4'28"

A.コミカル 1'04" マリンバ主。
B.(エンディングテーマ)ユーモラス 54" 「われらの旅立ち」のメロディのアレンジ。
A'.コミカル 1'00" マリンバ主。
C.楽しくユーモラス 1'30" チューバ主。
6.戦闘


6'11"

A.恐怖 1'10"
B.迫りくる緊迫 1'00"
C.出動準備 37"
D.悪軍団の襲撃 1'17" マゾーンのテーマ
E.戦闘 2'07" ハーロック(主題歌)のテーマ、マゾーンのテーマ、宇宙の海のテーマの3つ巴。
7.戦いの終り
(寂光流離)


6'02"

A.孤独 父と母の夢 1'49"
B.淋しさ 1'18"
C.怒り 59"
D.ペーソス
E.強い悲しみ
1'56"
8.終曲


6'31"

A.勝利のファンファーレ 54" 宇宙の海のテーマファンファーレ風
B.勝利の歓び 1'17" 勝利のテーマ
C.アルカディア号 1'35" 穏やかなアルカディア号のテーマ
D.平和な世界とハーロック 1'00" 宇宙の海のテーマ、ハーロックのテーマの組合せ
E.歓びの讃歌 1'45" 勝利のテーマから宇宙の海のテーマへ

注):TIMEには若干の誤差がある場合があります。

 

1.序曲

 最初に登場する「宇宙の海のテーマ」は、横山氏自身がメインのハーロックのテーマのイメージとして作曲。(その為いろんな箇所でアレンジされて出てくる)
メインテーマに相応しく、宇宙の海のロマンを感じさせるような壮大なシンフォニー。
私は「宇宙海賊キャプテンハーロック」の音楽というと、やっぱり真っ先に浮かんでくるのはまずこのテーマです。

2.海賊船

 ここで登場する曲は全て軽快な感じになっていますね。
 最初の部分、「出現」「出発」は正に宇宙の海を海賊船が出航といったイメージ。
海賊達が元気に帆を上げて(アルカディア号の場合は旗ですね)さあ、行くぞ!とそんな光景が目に浮かぶようです。
 「アルカディア号のテーマ」などのアレンジは横山氏はこういうノリの良さでヤングに受けると自信を持たれていたようでしたけど、当時恐らくそういうヤングの年齢だった私は正直言ってちょっとイマイチと思ってしまいましたね。
ちょっと自分が持ってたハーロックやアルカディア号のイメージとかなり違うからでしょうか。
 ノリがいいといえば第4楽章の「惑星マゾーン」の「マゾーン戦闘艇発艦」などが浮かんでしまいます。

3.愛

 ここでは魅力的なピアノに感動。
羽田健太郎という名前を知ったのもこの交響組曲からだったような気がするんですが、ご存知今でも大活躍アーティストで作曲その他その多才な才能には驚くばかり。(崎陽軒のシューマイのコマーシャルのコメディアンぶりもさすがというべきか…?!)
ハーロックの交響組曲でこの人がピアノで参加したということは、とても幸運なことだったと思っている。
こちらの章で華麗なピアノを披露したかと思えば、前章の「海賊船」や後の「惑星マゾーン」などではジャズ調のピアノも披露。やはり感覚的にも他とは一味違うものを感じさせられます。
 この章ではピアノソロから始まり管弦楽器がそれを追いかけていく音楽が美しかった…。この曲はよくまゆとハーロックの交流のシーンで印象的に流れていましたね。
そして不安、心配といった、愛する感情もあれば同時に感じるであろう心の繊細な表現の描写もされています。

 

4.惑星マゾーン

 「ペナント」では、正に不気味なマゾーンの魔の手がじわりじわりと地球を襲いつつある、そんなイメージがありますね。
この曲の印象的な場面としては、宇宙人の侵略など思いもよらない地球人の前をマゾーンの戦闘艦が悠然と横切っていった…というのが思い出されました。
 面白いのは、「女王ラフレシアのテーマ」で、弦が妖しげな美しい魔の女王の雰囲気を醸し出してますが、何と言ってもやはりこの独特の雰囲気のセンスには今聞いてもちょっと驚きです。
 また、「謎の女」は物語の最初の方で台羽博士が黒衣の女に殺されるというシーンで使われて大変印象的でした。
まるで古代南米の遺跡を思わせるような独特の音楽が、もの凄く場面にもはまっていて忘れ難い曲の一つ。
 そして、やはりタイトル通り戦闘シーンでよく使われた「マゾーン戦闘艇発艦」のマリンバがマゾーンの不気味な雰囲気をよく表現していて面白かったし曲自体も勢いがあって聴いてて気持ち良かったです。

 

5.楽園

 解説でも書かれてあるのですが、前章では不気味に使われていたマリンバがここでは全く違う陽気で軽快な表現になっているのが面白い。
 この章の音楽を聞いていると本当に楽園のイメージ、まるで南国の白い砂、青い海、青い空、やしの木といったリゾート島のような光景が浮かんできてしまうのです。

 

6.戦闘

 ひたひたと不気味な侵略者が地球を襲ってくる。だんだんと迫ってくる危機。出動準備。マゾーンの襲撃。壮烈な戦闘。
と、ドラマのような一連の描写になっている。
 最後の「戦闘」では、メインテーマ「宇宙の海のテーマ」と主題歌ハーロックのメロディ、そして「マゾーンのテーマ」が交互に登場し、正に宇宙の海でハーロック側とマゾーン側の激戦がイメージされていて面白い構成です。その戦闘、最後に勝つのは…?

 

7.寂光流離(さすらい)

 本編では、非常に心象的な場面が多かったが、ここではそういう描写に一役買った人間の繊細な感情が表現されている。
 作曲した横山氏のこの章のイメージというのは、たださすらいの寂しさいった表現ではなく、タイトルには出ていないが、ずばり「男のロマン」。それを音楽にしてみたかったとのことです。
哀しみ、怒り、そして男の旅立ち。(ほとんどの主要な登場人物にあてはまる気がする。)
様々な感情があった後に、立ちあがって行く、というつながりのあるこのドラマチックな盛り上がりも素晴らしい。

 

8.終曲

 ここでは、全面的にピアノが彩りを添えている感じでしたね。
 最初は、まるで勝利した英雄が母国に凱旋してくるといったイメージのファンファーレ風。
 「宇宙の海のテーマ」「アルカディア号のテーマ」「ハーロック(主題歌)のテーマ」といった主要なハーロック側のテーマが総登場し、平和が訪れた雰囲気のイメージになっていますね。
 そして横山氏が苦労したという「宇宙の海のテーマ」と「勝利のテーマ」との組合せは見事に合っていて素晴らしい。
 そして最後は歓びの讃歌として、「宇宙の海のテーマ」が終曲にふさわしい華麗なピアノと鐘の音と共にフィナーレを告げる。
これはまさしくハーロックが別れを告げ宇宙の彼方へ去って行く、そんなイメージが浮かんできて聴き終わった後も感動の余韻が残るようです。

 

★演奏<コロムビアシンフォニックオーケストラ>

また、曲だけでなくそれを感情豊かに磨かれた高度な技で表現された演奏もまた大変素晴らしかったのでした。
ピアノ、マリンバ、ハープ、コンボ、ハーモニカ、ギター、オカリナ…それぞれの楽器の聴かせるソロの部分も多く、また各楽器が奏でる表現力にも感動した方も多かったのでは?
下の表は作曲者や関係者も唸らせたその演奏者の方々です。
(コロムビア・シンフォニック・オーケストラのメンバーは、作品などによっても変動があります。)

コロムビア・シンフォニック・オーケストラ
楽器(人数計64名) 演奏者(敬略称)
ピアノ(1) 羽田健太郎
エレキギター(1) 木村好夫
エレキバス(1) 寺川正興
ドラム(1) 石川晶
パーカッション(3) 安倍圭子(マリンバ)、山本直喜、瀬戸川正
ラテン(1) 瀬上養之助
トランペット(3) 羽鳥幸次、村田文治、野村毅
トロンボーン(3) 新井英治、平内保夫、岡田澄雄
ホルン(4) 山口弘治、下館広起、塚田彬、笠原長久
チューバ(1) 久保修平
オーボエ(2) 常光誠治、山本洋一
フルート(3) 衛藤幸雄、旭孝、相馬充
クラリネット(2) 宮島基栄、奏中司郎
ファゴット(2) 霧生吉秀、大畠條亮
バイオリン(18) 小林武史、堀江悟、黒柳方晶、大沢浄、大松八啓、公門俊之、中瀬裕道、田淵章、角田智寿子、石岡則子、金田幸男、板橋健、田中栄一、藤米田健生、古田中達男、川畠正雄、多田吉徳、古谷方一
ビオラ(6) 菅沼準ニ、平井光、伊藤正、九里澄、林勝彦、小橋行雄
チェロ(6) 矢島富雄、藤沢敏樹、茂木新緑、舘野英司、藤本英雄、矢島三雄、
コントラバス(4) 田中雅彦、瀬戸川道男、新納益夫、建部欣司
ハープ(1) 木村マリ
指揮者(1) 熊谷弘

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第2楽章◆主題歌・挿入歌

 

 この作品の為に作られた主題歌、挿入歌は全部で10曲。
そのうち本番で使用されなかった曲は3曲あるが、非常に質のよい歌曲ばかり作られた。
これらのほとんどの曲は、作詞…故・保富康午氏、作曲…平尾昌晃氏という組み合わせの担当で生まれている。
 作曲の平尾昌晃氏(プロフィールはこちら)はなんだか今のお茶の間では某ものまね番組の審査員としてもすっかりおなじみといった感じだが、ポップスや演歌、テレビドラマなど幅広い作曲をし、ヒット曲も多数生み出した大御所ヒットメーカー。
手がけたアニメ作品はそれほど多くはないと思うが、そんな中で零士作品ではTVシリーズの「銀河鉄道999」もあり、またハーロックでは、この「宇宙海賊キャプテンハーロック」の他に劇場版「わが青春のアルカディア」の主題歌、挿入歌も担当している。
 作詞担当の保富康午氏(プロフィールはこちら)は男の詩を表現させたらピカ一という定評のある人物。しかも子供や若者に対する優しい呼びかけの中に大きな視点から見た深いメッセージがある。
実際この「宇宙海賊キャプテンハーロック」で作られた詩を見ると、アニメ主題歌と言えども、深みのある非常にいいなぁと思う詩が多い。
またその深いメッセージ性がこの世界によく合ってまさしくこの作品にぴったりの作詞家と言えるのではないだろうか。
某書による水木一郎氏のコメントによると、思いやりのあるいい人でいらしたそうである。

 

※編曲は全て横山菁児氏。

キャプテンハーロック

作詞/保富康午 作曲/平尾昌晃 歌/水木一郎

 おなじみ本作品の主題歌。
宇宙の海は俺の海、地球の歌は俺の歌、空行く艦は俺の艦…となんとも独占欲の強い歌詞からの登場〜。
でも、海賊らしいというか、いかにも無法者らしい、若い野心のパワーが感じられる出だし、その後に続く果てしない憧れ、捨てきれぬ故郷、囚われぬ魂…と表現されているのはハーロックらしくていいですね。
 しかし何といってもいいのは、大事な部分での「友よ」というこの呼びかけでしょうか。
やはりハーロックにとってこの親友の存在というのは大きい。大切にしているものを歌の中心に持ってくるというだけでなく、恐らくアルカディア号の周りの誰にも言わないであろう、なかなか明かされないハーロックの心情がズバリハッキリと心を許した親友にだけ言った言葉としてここに名言されているところが気に入ってます。「友よ 明日のない星と知ってもやはり守って戦うのだ」
 命を捨てて俺は生きるという部分は、昔よく命を捨ててどうやって生きるんだというツッコミをあちこちで聞かれたような…。

さすらいの舟唄

作詞/松本零士 作曲/平尾昌晃 歌/コロムビア男声合唱団

 松本零士の詩に曲がつけられたという珍しい歌。
原作の最初の方でよくハーロックのイメージとして詩的に登場。
 第1話の冒頭、正体不明の艦海賊船アルカディア号として出現するときにまず流れた印象的な曲でもありました。
 伴奏はなく男性コーラスのみというのが、まさしく海賊達の歌声というイメージ。
 これは挿入歌だったが、この詩だと主題歌としての曲を付けても、立派に通用するかも?

 

むかしむかし

作詞/保富康午 作曲/平尾昌晃 歌/水木一郎

 むかしむかし…とは、誰でもご存知親が子供に昔話を聞かせる時の定番の出だしだが、これはハーロックが幼い子供に語るようなイメージ(これは原作支持者の方にもかなり違和感かも。)で優しさが感じられ、更にその歌詞の中に含まれたメッセージもまた私達に対する地球の未来への深い意味が込められている。
 哀愁を秘めたこの曲、やはりむせび泣くようなギター、またゆっくりとした曲なので、3番までフルに聞くのはちょっと辛い。(はっきり言ってちょっと長い〜。)
せめて2番くらいまでにすればいいのにと思うが、歌詞の内容がエンディングテーマである「われらの旅立ち」の内容とそれぞれ対にさせている為、やはりバランスをとって同じ3番までにしたのかな?
 作詞担当の保富氏が一番気に入っていた曲だそうです。

 

銀河子守唄

作詞/保富康午 作曲/平尾昌晃 歌/水木一郎

 34話「銀河子守唄」でマゾーンの人質になった恐怖から立ち直れずに眠れなくなってしまったまゆが、ようやくコンピュータとなった父トチローの子守唄で眠りについた時に流れた曲。
 父親が子供にやさしい愛情で語りかけているという感じの歌だが、これはやはりハーロックがやさしい愛情でまゆを見守っているというイメージの歌詞なのでしょう。
 何だか難しい旋律という気がするのに歌手の方、よく歌いこなせてるなぁ…さすが!と感心してしまいました。

 

女王ラフレシア

作詞/保富康午 作曲/平尾昌晃 歌/コロムビア女声合唱団

 41話「決闘!女王対ハーロック」で、女王の旗艦に乗り込んだハーロックの前に白装束のラフレシアが登場した時にまさしく民族の運命を背負った女王の心の中そのものといった感じで流れた曲。
 さすらいの舟唄と同じく、演奏はなく今度は海賊達の男性コーラスのみに対して女性コーラスのみというのが面白い。
 しかも詩の内容は女王の使命や悲哀を深く表現しており、物哀しさが感じられる。

 

わが友わが命

作詞/保富康午 作曲/平尾昌晃 歌/水木一郎

 これは最終回、ハーロックが台羽やまゆ達と別れの時を迎えアルカディア号で去っていく場面で流れた最後の挿入歌。
 アルカディア号が発進した後、ハーロックはアルカディア号の中に入ると舵を取るべくまっすぐ艦橋へ向かった…のではなく、甲板に出て、一生懸命追いかけていきながら別れを惜しむ仲間達に二本指を立てたあの挨拶をし、微笑みながら彼等を見守っていたのでした。
実を言うとこれはちょっと意外だったんですが、ハーロックの優しさが感じられるようで、好きな場面なのです。
 別れの場面ではあるが、哀しい歌ではなく曲も歌詞も希望を感じさせるような内容で、地球に残った若者に未来を託し、さわやかに去って行ったという印象を残したのでした。

 

われらの旅立ち

作詞/保富康午 作曲/平尾昌晃 歌/水木一郎

 本作品のエンディングテーマ。
 毎回放映されるエンディングの画面で夕陽の中アルカディア号をどこまでも追っかけていくまゆという映像も大変印象深かったです。
 また、この詩の内容も3番を通して大変深いものがあって、こちらに向けられたメッセージという感じがありますね。
「君が気に入ったならこの艦に乗れ いつかなくした夢がここにだけ生きてる」と、ハーロックが台羽正にだけでなく、みんなに向けて語りかけている、やさしいメッセージを送っている、そんな印象の歌でした。
 ちなみに私はハーロックの歌の中では、この曲が一番好きです。

 

おれたちゃ宇宙の海賊さ スペースウルフ小唄
<本番では未使用。>

作詞/保富康午 作曲/平尾昌晃 歌/コロムビア男声合唱団

 さすらいの舟唄と同じく演奏なしで男声コーラスのみのまさしく海賊達が歌う歌、というイメージ。
 歌詞もそうなんですが、宇宙の海で過去を秘めたまま、戦う男達の哀愁が非常にジーンと心にしみいる、そんな感じの曲でありました。

 

ミーメのエレジー
<本番では未使用。>

作詞/保富康午 作曲/平尾昌晃 歌/かおりくみこ

 本番では使われなかったが、唯一ミーメ自身の心情を歌った歌。
「私はハーロックに命を捧げた女」とはミーメの定番とも言えるセリフですが、この詩の中にもきちんと入っています。
 そして、「あなたが戦いに死ぬ日 私は愛に死ぬでしょう」「あなたの終らない夢に 私も生きていくのです」という歌詞はミーメの静かなしかしハーロックに対する真摯で強い愛情を感じられる部分でとてもいいと思うところ。
 ミーメの声は小原乃梨子さんですが、歌はかおりくみこさんというのは、劇場版999のリュ-ズの時もそうでしたね。(小原さんの声を歌にするとかおりくみこさんというイメージになるんでしょうか。)

 

妹たちよ
<本番では未使用。>

作詞/保富康午 作曲/平尾昌晃 歌/水木一郎

 やはりこれもメッセージ色のあるやさしい明るい歌ですが、何故「妹たち」なのかがよくわからなかったです。

 

まゆのテーマ

作曲/横山菁児

 ご存知まゆがオカリナで吹く曲。
 ロマンアルバムによると当初「赤とんぼ」の曲を使う予定だったというが、こうして結果から見ればその許可が出なくてよかった〜。
赤とんぼの曲より遥かに、こちらのオリジナルに作られたまゆのテーマの方が、断然作品にもまゆにも合っていて素晴らしい出来映えですね。
シンプルな曲ながらまゆそのもののように優しくどこか哀しいそのオカリナのメロディは印象深く、忘れられない音楽の一つです。
 昔学生時代、次が音楽の時間という時に、漫画やアニメはあまり見ていなさそうな学年一の秀才が笛を吹いていて、なんか聞き憶えあるメロディーだなぁと思ったら、このまゆのテーマだったのです。思わず、「そ、それは何?!」と話かけてしまったのでした。
その人もよっぽど印象に残ってたんですね、あのまゆの吹くオカリナの曲が…。

 

★音楽家のプロフィールは、「劇伴倶楽部」、その他文献の情報などを参考にさせて頂きました。
腹巻猫さま、どうもありがとうございました!★


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