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松本零士イベントレポート3

幻想軌道

〜Leiji's Animations music concert〜

1999年9月4日(土)昼の部

 

 今年の幻想軌道は去年に続き2回目、また主催者も変わったということで、去年とどういう違いで催されるのかというのが、2回目参加の私としては注目、また楽しみにしていたところでありました。

 さて、それで一体どうだったのかというと、個人的な私の感想をズバリ言ってしまえば、正直言って去年程の感動はありませんでした。
 何故だろう?といろいろ考えてみました。今年で2回目なので感動が薄れてしまったのか?というと、ただそれだけの理由ではないという気がするのです。

 勿論、今年はいろんな部分での工夫、試みは感じられました。
3回公演とも若干違う内容にしたり、パンフレットを3種作ったり、聞きたいと思う曲が増えていたり、スクリーンやコーラスを導入したり、宇宙関係のゲストを招いたり…。
 なのにコンサートが終わってから全体を通してみると、「とても感動した!!」とはちょっと言い難い感情が残ってしまう。

 まず、コンサートが始まる前の段階で思ったことは、3回公演とも少し違う内容にしてしまったのは一体どうしてだろう?ということです。
 確かに3回全部参加出来る人にとっては、毎回違う内容の方が楽しめるし、パンフレットも同じ表紙のものを貰わずにすみます。(結局中身は同じだが…)
 しかし、あの一万円近くもする料金で、かつ平日を含んだ日程で、全回参加できる人がどれくらいいるというのだろう。1回参加が普通の感覚じゃあないでしょうか。(余裕のある人はそれ以上行くとしても。)
それを考えれば、回ごとに違う内容にするのは、とても不公平な感じを受けるのです。
3日(金)1回目公演にタケカワ氏が出演したが、4日(土)2回目公演にしか行けなかった人の中で、物凄くタケカワ氏の歌を聞きたいという人がいたかもしれない。
また逆に、3日の部に行った人で4日のハーロックの部を聞きたかったという人もいるかもしれない。
そして、同じ料金を払っているのに何故最終公演だけにスペシャルゲスト(という当初の企画)だのタケカワ氏の参加だのがあるのか?
 まずその不公平さが最初に感じた納得いかない部分の一つです。

 そして、会場のグッズ販売にも感じられることがありました。
高いグッズしか売っていなかったのです。
何故300円とか、150円くらいで買えるポストカード等が売っていなかったのか不思議でした。
結構お土産にも記念にもなり使い勝手のあるテレカは大抵1枚1000円くらいから購入出来ますが、今回そういうテレカもなく、代りにゴールドカードなるものが登場していました。
少量の純度999.9の金をはめ込んだ一見テレカに似たデザインカードでした。
目新しいグッズではあるが、一枚2700円という値段。ここに来ている客は、成城や田園調布に住んでいる金持ちばかりだと思っているのだろ〜か?と私は思いました。
 私のような庶民の希望としてはどうせカード販売をするなら、図書カードとかJRで使えるカードとかテレカとか、ありきたりかもしれないがそういうものの方が喜ぶんですよ〜!

 

 それでは、いよいよ肝心のコンサートについて。

ナビゲータ
 今回は、スクリーンに映る映像で、まず宇宙空間が映し出され、ヴリュンヒルデが声だけのナビゲータをするという演出だったが、ハッキリ言って大してナビゲータになっていませんでしたね。(特に曲目を説明するわけでもなかったし…。)

スクリーン
 去年にはなかった試みとして、今年はホールの上部に2つ左右にスクリーンがぶら下げてあって、想い出の名場面が見れるようになっていたのでした。
これは、結構いいアイデアだと思うし、懐かしの名場面等が見れたのは実際良かったと思います。
 しかし、どうせなら位置が上すぎてオーケストラと両方見辛かったのでもう少し下あたりにして欲しかったです。
また、映像の色も薄く褪せて見え、画像はちょっといまいちでした。
せっかくなのでもっと彩度を上げ、1つの大スクリーンにしたらいいのになと思いました。
 また、曲がまだ終わっていないのに映像がブツ切れになったり、川島和子さんスキャットのヤマトのあの有名な曲の時スクリーンには何の映像もなかったのですが、やはりあの曲を聞くと思い出される印象的なシーンがあるわけだからちゃんと流して欲しかったです。(同様に他の曲にもあったが…。)
やはり、映像と曲の連動ももう少し配慮が欲しかったと思いました。

演奏
 1つの曲が終わり、また次の曲へどんどん進んでいくのですが、私には、ただプログラム通りの曲目をこなしているだけで、全体的にとてもまとまりなく淡々と進んで行くように感じられました。
 それは、進行役の司会者がいなかった、というのも大きかったと思うのですが、曲全体から受けるものも大きかったような気がしています。。
今回、アレンジされている曲があるが、その編曲のセンスは、あまり私にはよく感じられませんでした。
例えば、オープニングの劇場版999で、バイオリンの旋律がとてもきれいな箇所なのにパーカッションの音が不必要にやかましかったりした曲がありました。(せっかくの大好きなハーロックの序曲も同じ。)
 また、今回指揮をしたのは、茶髪の一見してかっこいい感じの若い指揮者。
やはりそういう人が指揮をすると見た目にもいいし、とても印象深かったが、この人の指揮した曲の感覚はピーンとこないというか、どこか私には訴えてくるものが少なかったようです。
 その証拠に、ヤマトの交響曲を途中で2曲、宮川氏が替わって指揮をしましたが、その2曲だけはさすがにご自分の曲だからか、こちらへググッと心に迫ってくるものがあり、さすがに今迄聞いていたものと違うなという感じがその場でしたのでした。
でもその若い飯森氏という指揮者も、パンフレットに書かれた経歴を見れば、とてもエリートで腕もあるらしいですね。
ということは、やはり若い世代の感覚の指揮者なので古いものを聞き慣れている人間にとっては、ちょっと感覚の違いがあったのかもしれない。また、私の感覚とだけ合わなかっただけかもしれませんが。

 それと、私にとって演奏が物足りなかった理由の一つに、グランドピアノがなかったこともあるように思えるのです。
何故今回のオーケストラで肝心のピアノがなかったのか。…と舞台を見れば一目瞭然で、40人以上のコーラス部隊とあれだけの人数のオーケストラがステージに上がれば、当然場所をとるグランドピアノを置く余裕はないんでしょうね。
 しかし、零士氏の世界のアニメの名曲には、ピアノはとても欠かせないのではないでしょうか?
ピアノの旋律がとてもきれいな曲もあるのに、それがエントリーされていないことはとても残念。
 去年の幻想軌道ではピアノが大活躍しており、宮川氏も自らピアノを弾いて参加していたくらいだったし、腕のたつピアニストなどの活躍もあり、演奏は非常に盛り上がったと思います。
 もしかしたら、今回コーラスかピアノかでコーラスの試みの方を取ったのかもしれない。
でもコーラスはパイプオルガンやスキャットと同じ階のステージに置いてもよかったのかもしれないし、欲を言えばやはりピアノをもっと活かした演奏を聞かせてもらった方がいいのではないかと思うのです。
個人的な要望をまたもや勝手に言わせて貰えば、羽田健太郎氏の華麗なピアノが聞けたらなあ…と思います。アニメーションの音楽もかなり手がけているし松本アニメもヤマトの頃からピアノを担当されてますしね。
彼のハーロックの交響組曲のピアノを聴いた時は本当に感動しました〜。(でも売れっ子だしギャラは高いんでしょうね。)

司会者がいない。
 今回はとりあえず舞台に出てきた人間でMCをやっていましたが、これは先程も書いたようにコンサートをまとまりがない感にした大きな要因でもあるような気がしてなりません。
 まず最初のMCは、突如出現し、歌を歌い終わった佐々木功氏のところへ宮川氏と青木氏がおもむろに登場し、佐々木氏がその場の司会役として2人にインタビューをやっていました。
佐々木氏は指揮者の名前をずっと「チカモリさん」と呼んでいて、途中で本人に「飯森です。」と訂正されていたが、「もう大先生2人に挟まれて緊張して…」と、緊張していたというのは本音でしょう。
しかしそこへ、宮川氏がさりげなくギャクをやってリラックスさせていたり話をふったり助けていたのはさすがだなあ〜と思いました。
 そしてまた、進行役抜きのまま、また黙々と曲は進み、休憩になり、また静かに始まり…という感じで、アンコールの時出演者一同と会場でTV版999の主題歌を歌ったが、それほど心から盛り上がれる!という感はしませんでした。
やはり司会者というのは、とても重要だったんだな〜!と改めて感じされられたのでした。

宇宙講演会
 数学者が自らパイプオルガン(ボイジャーに載せたというバッハの曲)を弾いて登場というのも、意表をついて面白いと思ったし、滅多にお目にかかれない宇宙開発の第一人者の話を聞けたのは良かったと思いました。
 でもこれもちょっと自分達でしゃべっているだけだたのであまり記憶に残っている話がない。
音楽と数学は似ている、ということくらいでしょうか?!
まあ、出来れば音楽を聴きに来ているのだから、講演会よりも曲目を増やして欲しいとは思いました。

VTRゲスト
 今回私が一番楽しみにしていたのは、いうまでもなくハーロックの章!
でも、その章でよかったと思ったのは、名場面をVTRで見れたことだったでしょうか。
その間はしばし懐かしさに浸れました。(やはり音声がない絵だけで見ると絵のアラや雑さがよくわかってしまいましたが…。)
 ところで、1曲目の序曲と2曲目の間にいきなりVTRが始まり、水木氏のコメント(1000曲ライブを行う後なので、参加できなくてゴメンナサイという内容)が流れたのですが、水木氏が参加できないなら、せめて代りに録音されたオープニングの歌の部分を流すなど位のことは出来たのではないでしょうか?
歌を聴くのを楽しみに来ているファンのことを考えてくれていたのなら…。
VTRのコメントが終わった後、何事もなかったかのように2曲目が淡々と始まっていったのを私はポカーンと聞いていたのでした…。

パイプオルガン
 今回パイプオルガンは大活躍でしたが、去年に引き続きヤマトの白色彗星のテーマを、全観客とオーケストラ全員が見守るプレッシャーの中、たった一人で演奏した水野 均さんという方は本当に素晴らしかったと思います。
 あれだけの演奏をしたのだから、実際演奏は私達に背を向けて行われたので、ちゃんと紹介してくれてもよかったのでは?と思いました。(演奏して、礼をして、退場するというだけでしたから…。)

 

 さてさて、だいぶ長くなってしまいましたが、去年の幻想軌道はどうだったかというと、コンサート開演前に車掌さん(肝付兼太氏)の声でまるで銀河鉄道のアナウンスを聞いているが如く、
「まもなく幻想軌道が始まります…お客様はお早めにお席にお着きください…」というような演出があったのも非常によかったし、それが休憩前後、終了後にもそれぞれのバージョンで流れ、本当にムードを盛り上げてくれたと思います。
 また前回は、司会役もいたことで非常にビシッとコンサートがよくまとまっており、歌も多く、ハーロックの声、エメラルダスの声を入れるなど、何より主催者側の心のこもった客に対する催しの姿勢が私は一番感動したのでした。
その司会役の人もこういうイベントの司会役なら任せなさい!という人ではなかったが、一生懸命心をこめて司会をしており、却ってプロでテキパキと時間通りにそつなく進行していく司会の人より好感が持てました。
 今年はどういう理由で主催者が交代したのかはわかりませんが、現実にはお金の問題等いろいろあるだろうし理想の通りにはなかなかいかないのかもしれません。
 しかし、細かいところで、スタッフの気持ちというのはこちらに伝わってくるものです。
やはり心のこもったイベントには、感動してしまいますね。

 せっかく年に一度の大イベントなわけだし、コンサートを聴きにやって来るファンには、曲に対する深い思い入れがあります。
様々な思いの込めて一つの曲を聴いている。
そして、1回の料金を払うためにとても無理をして来ている人だっている筈だし、遠くから時間とお金を割いて、この日の為にわざわざ聴きに来ている人も大勢いる。
 話は前の話に戻るようだがそういう人達がいるということを考えたら3回とも違う内容にするなんてことをするだろうか?と私は思うのです。
勿論、舞台に出ている出演者の方々は、一生懸命、心を込めてやっています。
 しかし全体から見ると、せっかくのその演奏が充分生かしきれていないという気がしてなりません。
もっともっと、演出次第、主催者の姿勢次第で来年のコンサートは今年よりも更によくすることが出来るのでは、と思いました。

 最後に、今回、個人的に聴いた曲でよかったな〜と思ったのは、前出の宮川氏の指揮したヤマトの2曲の他、さよなら999の序曲パルチザンの曲は迫力があったし、それと、ハーロック・サーガの曲は重厚でコーラスもいいし、生で聴いててとてもよかったと思いました。
もう、聴いている間ぶわっと鳥肌がたっていたくらいです。
 また、今回ゲストとして参加した999を作曲した青木望氏を生で拝見できたのはとてもよかったです。普段、なかなか表に出てくることがない人ですから。
結構宮川氏に合わせてギャグをやっていましたがやはり根本的にとてもマジメな方なんじゃないかという印象を受けました。
佐々木功氏の「松本零士さんを動物に例えると?」という、突拍子もない質問に「男おいどん」に出てくるトリさん、と答えたのが結構意外な印象的な答えでした。
当初バイオリンで身を立てようと思っていたとおっしゃっていたので999の曲でのバイオリンの旋律が美しいのはやはりバイオリンに対する思い入れが出ているのかな?とも思いました。
 そして、宮川氏も青木氏も小さい頃は絵描きになりたかったとおっしゃっていました。
どんな絵を描かれていたんでしょうね〜。
 ともかく、どこの雑誌にも書いていないような面白い漫才…いえ、貴重なお話も聞けた時は、幻想軌道に来てよかったと思ったのでした。

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