海外の情報化事情2

 

 この度、仕事で?上海に出張しておりました。短い間の滞在でしたが、その折に見聞きした上海の情報化に事情について少しレポートをまとめてみました。何かの参考になれば幸いです。

1.Cebit Asia 

 上海初日においてCebit AsiaというIT関連の見本市に参加しました。ご存知の方も多いと思いますが、Cebitとはドイツで開かれている世界最大級のIT関連見本市であり、今回、見てきたのはそのアジア版ということになります。中国の企業はもとより、台湾、韓国、日本、ヨーロッパ、米国の企業も出展しており、合計は約500社に上るそうです。
 会場を周ったのは2時間弱だったので、十分に見たとは言えませんが、国内で開催されている同様の催しと少し違う印象を受けました。大きく違うのは、製品メインの展示が多いということです。国内でこのような催し物がある場合、製品単位での展示もあるのですが、最近は情報システムという、システム単位での展示が多いと思います。しかし、このCebit Asiaは製品単位の展示がほとんどでした。実際、中国でシステム開発を行っている企業の人に話を聞くと、プログラム等は委託できるが、システム設計等はまだまだ中国には切り出せていないそうであり、このようなソフト面での未成熟が反映されていたのかも知れません。
 そのような製品中心の展示で目に付いたのは、通信機能付きの携帯端末展示が多かったことです。我が国でもようやく一部に通信機能付きの端末が出てきましたが、まだまだPDAとデータ通信カードは別々に売られています。しかしながら、中国企業を中心としたPDAの展示では、多くが移動体通信機能を付加したモデルが展示されていました。中には、写真の一番右下にあるように、デスクトップ系モデルのディスプレイの端に移動体通信用のアンテナが付いているモデルも展示されていました。
 ところで、この移動体通信機能付きの端末をどのように利用するかと言うと、中国人の説明担当者が口をそろえて言ったのが「ストック」、つまり株の情報が見えるということです。上海の経済事情に関しては、詳しくは知りませんが、経済成長率は依然として高いようで、株への投資も多くの人が行っているようです。これを背景に、株価情報を随時得たいというニーズは非常に高いそうです。

通信機能付き端末通信機能付き端末2通信機能付き端末3通信機能付き端末4

図1 移動体通信機能を持つ端末

2.上海の通信事情

 私が聞いたところによると現在、上海の人口は約1,800万人おり、昨年より300万人以上も増えているそうです。そのような中で固定電話の回線数は、2002年6月時点で約650万回線、移動体通信の回線数は約740万回線だそうです。我が国で、固定電話回線を移動体通信回線が追い抜いてから、それ程経っていませんが、上海では既に大幅な格差が出てきています。つまり、携帯電話だけ持って、固定電話を持っていない人も多いのです。ちなみに、移動体通信回線は1999年において約200万回線だったらしく、2年半で3.5倍以上に拡大していることは驚き以外の何ものでもありません。
 次に、急速な普及を見せている携帯電話の利用実態について少し触れたいと思います。上海で普及している携帯電話はヨーロッパと同様のGSMという方式で、インターネット接続はできません。ただし。ショートメールができる携帯電話はあるそうです。統計数値からも明らかなように、街中で携帯電話を使っている人は珍しくなく、昨年行ったヨーロッパより利用者が多い印象を受けました。通信料金はそれ程高くないようで、また、私が聞いた話だと、固定料金の携帯電話もあるそうです。日本のようにメールやブラウザ機能が付いていないため、携帯電話はコンパクトな物に人気があるよう、写真にあるように小さな機種がたくさん売られています。ただし、携帯電話その物の値段は予想以上に高く、もっとも高い物では4,000元以上の物がありました(1元=15〜16円)。これは上海のホワイトカラーの平均的な月収より高いみたいです。

携帯電話

図2 上海で売られていた携帯電話

3.上海のインターネット事情

 次にインターネットですが、私が聞いたところによると2002年6月時点でインターネット利用者数はダイヤルアップで約200万人、ブロードバンドで20数万人であり、2000年末の約90万人という数字から約2.5倍になっているそうです。ちなみにブロードバンドのうち訳はADSLが半分以上、後は専用線とケーブルテレビで、少数ですが無線接続もあるそうです。FTTH(ファイバー・トゥ・ザ・ホーム)はまだ投入されていないとのことでした。
 また、インターネットカフェも設置も進んでいます。私が見学したのは、上海市が企業に運営を委託しているインターネットカフェでしたが、かなり大きく、800平米の室内に300台のパソコンが配置されていました。覗いてみると、中はさながらゲームセンターであり、ゲームをやっている人が8割、チャットやWebサーフィンをやっている人が2割といった感じでした。私が見に行った時には300台の内、6割ぐらいがうまっていたと思いますが、午後4〜5時のピーク時にはすべてのパソコンがうまることも珍しくないそうで、延べ利用者数は2,000人/日にもなるようです。利用者の多くは大学生ですが、奥には高齢者専用ブースもあり、私が訪問した折も数人の高齢者が利用されていました。どうやら地域振興的な側面も有しているようで、このような高齢者には優遇した料金で利用できるようにしており、講習等のサービスも提供しているみたいです。
 一方、インターネットの利用に関しては、案の定、規制がかかっており、フィルターで国家安全に問題のある情報、ワイセツな情報等はカットされています。しかしながら、私がある中国人に聞いたところ、フィルタリングを行っていないプロバイダーもあり、完全にこのような情報をシャットアウトすることは難しいとのことでした。

インターネットカフェ

図3 上海のインターネットカフェ

4.その他

 その他として、私が訪問した周りで見かけた情報化関連設備をご紹介します。私が宿泊したホテルにはLAN接続ジャックがありました。残念ながら私はLANケーブルを持っていってなかったので、試すことはできませんでしたが、値段は3元/分でした。下の写真の真ん中にある青い印が付いているのがLANケーブル用のジャックです。私は仕方がないので、横のモジュラージャックを抜いて、ダイヤルアップにてインターネット接続を行いました。

モジュラージャック

図4 ホテルのLANジャック

 また、飛行機の利発着で利用した浦東国際空港でインターネット端末を見かけました。誰も使っていないと、画面に広告映像が流れている(左下)のですが、受話器を外すと、右下のような画面が現れて、電子メールやWeb等のサービスを利用することができます。ちなみに電子メールは一通10元のようで、Webは3分で0.5元という価格設定だったと思います。テレホンカードでした利用できない構造になっていたため、こちらも残念ながら利用できませんでした。

インターネット端末インターネット端末2

図5 浦東国際空港のインターネット端末

 

 

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