海外の情報化事情

 

 この度、仕事で長期に海外出張しておりました。仕事自体は情報化に関連したものではありませんでしたが、海外からインターネットへのアクセスの経験、および動き回ることにより肌で感じるその国の情報化の状況について簡単にレポートをまとめてみました。何かの参考になれば幸いです。

◇フランス(パリ)

■インターネットへのアクセス
 今回の出張におけるインターネットへの接続に関しては、会社が契約しているPSIネットというプロバイダーのアクセスポイントを利用しました。パリでは泊まったホテルの電話にはデータポートが付いてなかったので、電話から電話線を抜いて、ノートパソコンのモデムに接続するという形式で接続を試みました。一応、ホテルの電話回線とモデムの間に城下工業の「Modem Saver LT」なるものをかましています。これは電話回線状態チェック機能やサージプロテクト機能(落雷等による高圧電流が流れるのを防ぐ)等が付いており、結構便利です。ホテルなのでモデムのプロパティで外線発信番号に0を追加して、接続を試みましたが、全然つながりません。おかしいと思い、アクセスポイントに電話をかけてみると、これまたつながりません。そこで、ホテルのインフォメーションデスクに電話をかけると、「わかった、外線ポートを開ける」という答えが返ってきました。この後、外線を開けてもらい、無事アクセスポイントに接続できました。しかしながら、接続が不安定のため接続してすぐ切断されることが2回に1回ぐらいの割合であり、接続が安定しませんでした。原因は不明です。
■街中の情報化
 パリの街中しか歩きませんでしたが、日本と比較すると携帯電話を利用している人は少ないように見られました。ただ、WAPという日本で言うところのi-modeみたいなものも若い人達の間では普及しているみたいで、エッフェル塔の上でメールを打っている若者を見かけました。でも、画面の大きさ等の機能面では日本の携帯電話の方が優れているのかも知れません。通訳の女性の話によると、「私は子供のお下がりの携帯電話を使っており、子供達は最新式のWAPの携帯電話を使っている」とのことでした。
 インターネットの利用に関してはよく分かりませんでしたが、パソコン等を扱っているショップはほとんど見られませんでしたし、とりあえず電車の中でもパソコンを持ち出して仕事をしている人は見かけませんでした。

◇ドイツ(ミュンヘン、フランクフルト)

■インターネットへのアクセス
 最初に滞在したミュンヘンでは、ホテルの電話の受話器が直接、壁のコネクタに接続されており、しかもそのコネクタが通常のモジュラジャックの形式ではなく、専用のものでした。このため専用のコネクタに対応した変換アダプタは確か、東京駅前のパソコンショップ等で売られていましたが、今回は持ってきていなかったので、結局、このホテルではインターネットに接続できませんでした。このホテルに滞在したのは1日だったので、とりあえず我慢できたというところでしょうか。
 次の日からはしばらくフランクフルトに滞在しました。このフランクフルトのホテルは通常の電話だったのでフランス同様、電話から電話回線を引っこ抜き、モデムに接続してインターネットアクセスを試みました。もちろん0発信です。しかし、0発信をした後どうもトーンを探しにいったまま、トーンが帰ってこないみたいです。おかしいと思い、0発信では電話から直接アクセスポイントに電話してみるとつながります。とりあえず、モデムの「トーンを待つ」という設定を外しました。すると、一応ダイヤルはするようになったのですが、やはりつながりません。しばらく格闘して、あきらめかけたころ、電話線をたどってみると、壁との接続口に何も接続されていないデータポートが電話が接続しているポートと別にあることを発見しました。急いでこちらからの接続を試みましたが、こちらの回線は死んでおりました。結局、このホテルに着いた初日もインターネットに接続できませんでした。翌朝、朝食後、このことをフロントの人に話すと、"I give you one line"と言われ、電話の接続しているポートの横にあるデータポートを使い無事にインターネットへの接続を果たしました。ただ、モデムの設定は「トーンを待つ」のチェックをはずさないとつながりません。いやいやインターネットに接続するだけでも結構苦労していましたが、案外、フロントに相談するとすぐに解決する場合もあるようです。
■街中の情報化
 ドイツに入って、幾分、携帯電話を利用している人が増えたような気がしましたが、それでもやはり日本ほど利用されてはいないようです。フランスの時も話しましたが、画面等は日本の携帯電話の方が大きいです。ただ、少し日本と違うのは案外アンテナがない携帯電話が多いということと、値段が高いことです。下の写真参照。

写真1 フランクフルトで販売していた携帯電話

 家庭におけるインターネットの利用状況は分かりませんが、ミュンヘンからフランクフルトへ移動に際しては、飛行機搭乗のための手荷物検査でパソコンを持っている人を多く見かけましたし、飛行機の中でパソコンを開いている人も見ました。このことからビジネスシーンでは情報化が進んでいるという感じは受けました。また、フランクフルトの中央駅には下の写真にあるような公衆インターネット端末を置いてありました。利用している人は見かけませんでしたが、液晶の汚れから利用されているのではないか、と思われます。キーボードとトラックボールが装備されており、料金は確認しませんでしたが、支払はコインとクレジットカードでできるようです。

写真2 フランクフルト中央駅にあったインターネット端末

◇英国(ロンドン)

■インターネットへのアクセス
 さて、ドイツの次は英国、ロンドンにしばらく滞在しました。ロンドンのホテルは今回の出張の中で一番狭い部屋でしたが、部屋の電話にはデータポートが付いていました。結果から言いますと、何はともあれ、英国においても何とかインターネットに接続することができました。これまたいくつか問題がありました。まず、フランス同様、外線ポートが開いていなかったので、フロントに電話して開けてもらいました。次に、通常、外線接続番号は0なのですが、このホテルは9でしてその接続変更を行いました。そして、インターネット接続をトライしてみたのですが、どうもつながりません。これはトーンの設定等を変えても同じでした。それで、確認のためモデムに電話してみると、ピーヒャラ〜ラ〜とモデムの音がします。どうしてつながらないのか非常に疑問でした。で、ここで英国のホテルがこれまでと違っていたのは電話機自体にモデム接続用のデータポートが付いていたことです。つまり、これまでは電話をはずしてそこにモデムを接続していたのが、「電話ライン―電話―モデム」となっていたわけです。そこで、モデムの設定を手動にして、電話機を使ってアクセスポイントに直接電話することにしました。アクセスポイント側のモデムが出たタイミングでパソコン画面の接続を押す、というプリミティブな作業の結果、無事インターネットに接続できたのでした。いやいや案外音響カプラなんかを持っていた方がすんなりつながるような気がいたします。
■街中の情報化
 英国に入ってまず目に付いたのはヒースロー空港に設置されていたインターネット端末です。公衆電話とならんで設置されていました。これはブリティッシュ・テレコムが設置しているものらしく、マルチフォンという名前が付けられておりました。メインの画面にはインターネット(WWW)、電子メール、テキストメッセージという大きな3つの機能のボタンが配置されている他、政府機関や、観光情報、地図情報、求職情報、BBCニュース等へのリンクボタンが設置されていました。また、ドイツの端末同様、キーボードがあったのですが、面白かったのはキーボードに顔文字用のキーがあったことです。この他、「WWW」、「.com」、「.co.uk」等のキーもありました。これは利用者ニーズに配慮しての設計だと思いますが、なかなか面白いと思いました。

写真3 ヒースロー空港のインターネット端末

写真4 インターネット端末の画面とキーボード

 同様の、ブリティッシュ・テレコムの端末は、ロンドン市内の地下鉄の駅、具体的にはオックスフォード・サーカスの駅の構内にも設置されておりました。またもや利用している人は見かけませんでしたが。
 その他、家庭のインターネット利用状況に関しては、伺い知ることができませんでしたが、滞在したホテルのすぐ近くにはカフェと変わらぬ風貌のインターネット・カフェがあり、数人の人が利用しておりました。また、写真には収めることができませんでしたが、オックスフォード・ストリート等、繁華街でもインターネット・カフェを1〜2件見かけたと記憶しております。この他携帯電話に関しては、英国在住の方の話だと、やはり日本ほど携帯電話を利用していないとのことでしたし、私もそう感じました。

写真5 オックスフォード・サーカス駅のインターネット端末

写真6 滞在先近くのインターネット・カフェ

◇米国(ワシントン)

■インターネットへのアクセス
 最後に、ワシントンに3日程度、滞在致しました。この時期、ワシントンを訪問するのは少し怖いという感じもあったわけですが、何はともあれ無事に帰ってきております。それにしても、ワシントン行きの飛行機に搭乗する際には手荷物検査が結構厳しかったです。エックス線を通したのに、再度、バッグを開けて検査されました。ただ、全体的に白人が素通りで、アジア系の人種だけが集中的に検査されている感は否めませんが。手荷物検査の職員がアラブ系の言葉に対応できるよう、アラブ系の米国人?(英語もしゃべれる)が多く配置されていたのも特徴でした。
 さて、問題のインターネット接続に関してですが、ワシントンのホテルにおいては何の問題もなく、電話機の横についているデータポートからアクセスポイントに接続することができました。ワシントンのホテルではインターネット接続に関して問題がなかったのですが、一つ問題があるとすれば、それは電源と机が離れすぎていることでしょうか。また、机と電話もすごく離れていました。机で仕事をしようとすると、1時間ぐらいでパソコンのバッテリーがなくなり、充電しなければならなくなります。使い込んでいる会社の共用のモバイルパソコンなので、バッテリーが消耗されているのはいた仕方ありませんが、ホテルの設備の配置をもう少し考えて欲しいものです。データポートも電源も仕事をする机の側に配置してもらわないと、仕事をするという点では不便で仕方がありません。
■街中の情報化
 ワシントンにおける滞在期間は比較的短かったわけですが、やはりテロの関係で観光客はすごく少なかったように思われます。また、官庁街の一部に関しては、自動車の出入りが禁止されている地域もありました。
 インターネットの利用状況に関しては、あまり詳しくは分かりませんが、最終日に行きましたショッピングモールにおいてPDA関係のショップが多かったことがすごく印象に残っており、PDA市場が発達していることがうかがえました。また、街中を歩いている人では携帯電話で話している人をほとんど見かけなかったのですが、自動車を運転している人で携帯電話を利用している人を多く見かけたのも特徴だったと思います。
 最後に、ワシントン−ダラス国際空港から日本に向けて飛び立つに際して、ヒースロー等と同様のインターネット端末を見かけました。こちらはクレジットカードでのみ利用できる仕様になっており、利用料金は10分、2.5ドルと表記されていました。搭乗まで時間があったので利用しようとすると、なんと電源が落ちており、利用することができませんでした。結局、出張中に多くのインターネット端末を見かけた分けですが、一度も使わずに帰ってきてしまい、それが一つの心残りであります。

写真7 ワシントン−ダラス空港に設置されていたインターネット端末

 

 

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