トロリーバスの代替バス601系統になったと同時に名前は東京都交通局江戸川営業所今井支所に名称を変更したのち系統番号制度改定により、上26系統・上野公園−今井の路線バスになった。
私が初めてこの場所に訪れたころは5歳のときで、営団地下鉄東西線浦安駅近くのバス停から“浦22・浦安−新小岩駅”(現在、新小22・葛西駅−新小岩駅)に乗って、今井に降り立った。
記憶の片隅の話だがバスの色は水色とクリームのツートンカラーで、今井のバス検収庫は木造であり、ふとバス停を眺めると「東京駅八重洲口行」の停留所があった。 |
現在の上26・上野公園行、亀戸駅で撮影
大塚営業所の担当路線になった。
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分割された亀26・今井行、亀戸駅で撮影
臨海営業所の担当路線
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どうしてそんな記憶が残っているかというならば、やっぱり「バス好き」であったからであろう。
その後13年の年月が流れ、専門学校生の頃には“授業が早く終わりやる事が無い”、もしくは“午後からの授業まで時間がある”というような時には「暇つぶし3大路線」のひとつとして利用する事になる。
その暇つぶし3大路線を説明すると、
上34・市川駅−上野広小路(京成バス、廃止)、秋26・秋葉原駅−葛西駅、今回主題になっている、上26上野公園−今井である。
他の路線も乗っていたが、この路線は頻繁に利用していた(なんたって時間つぶしに当時¥160−は安いもんだ?) |
その後都営新宿線篠崎開通に伴い今井支所は江戸川営業所と統合し臨海営業所になり、今井支所は取り壊されて現在の都営住宅と新今井橋になった。
上26系統も長距離であるがゆえに自動車増加と交通渋滞に巻き込まれて運行時間の定時性が守られなくなったことから、平成2年7月21日に亀戸駅を境に分割されてしまった。
上26を上野公園−亀戸駅、亀26を亀戸駅−今井として路線は存続する事になったが、私の思い出が消え去ってしまった事は非常に寂しい限りである。 |
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葛西駅行バス停の前にある今井郵便局
現在江戸川区には今井という地名は存在しない
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“今井”というバス停は不思議な事に、今井郵便局や信用金庫今井支店、それに今井橋と言う名前があるのにもかかわらず、江戸川区の地名には「今井」と言う名称は全然無い。
都営住宅と亀26の操車所バス停の地名は西瑞江4丁目、一之江・新小岩方面のバス停は江戸川3丁目であり、もしかしたら地名変更で今井という地名が消え去ってしまった様子だが、現在でも地元の方々は「今井へ行く」と言うとこの近辺に来るという意味の言い方が通用しており、個人的には地名を戻したほうが良い様な気もするのだが? |
現在の今井はバスの要所の影は薄くなったが、水上バスのステーションとしての存在も見せていて交通公園も併設されていることから、土日祝日には賑わいを見せている様子だ。
水上バスステーションと今井児童交通公園
水上バスは土日祝日のみ、旧江戸川に沿って運行される
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今井支所が無くなって、ほとんどの路線が撤退したが、江戸川地区の歴史ある路線の元祖である亀26系統の路線バスを手前の一之江駅ではなく旧支所構内で折り返している光景は意味深い物がある。
その場所はかつて、路面電車の出発場所、トロリーバスの出発地点と、都営交通の歴史と時代を描き続けてきたバス停留所。
何よりも私の幼少時代や学生時代に記憶の片隅に残してくれたバス停留所。
それが“今井”を取材した理由なのです。
そして今日も今井からは亀戸に向けてバスは走り出す。 |