日本酒の造り方
精米 ===> 米洗い ===> 米蒸し ===> 麹造り ===>もと造り ===> 仕込み ===> 搾り ===> 火入れ ===> ビン詰め
酒米を精米にかけ、外側にある脂肪やタンパク質を削り取り、「でんぷんだけの白米」にする。
磨かれた米は、麹(こうじ)が入りやすくなる。
大吟醸などは、65%も磨くこともある。
精米して美しい結晶となった米は、表面に付着している糠(ぬか)などを水で洗い落とす。
さらに水分を含ませるために水に浸けておく。
ここで、蒸米が麹づくりに適した保有水分を得るように調節する。
吟醸酒を造る米は、秒単位の浸漬なので、杜氏がストップウォッチを持って計っている。
浸漬を終えた米は、甑(こしき)と呼ばれる大きな蒸し釜に入れられ、一時間ほど蒸される。
蒸し上がった米は、土間に敷いた筵(むしろ)の上に広げられ、両手でかきまぜながら、天然の冷気で冷まされる。
この麹造りは室温28度ぐらいの室(むろ)の中で行われる。
蒸米を35度ぐらいまで冷やし、そこに種麹を混ぜ、麹菌を繁殖させる。
繁殖をつづける麹菌の発熱によって麹の温度が変化してゆくので、差し込んだ温度計で監視しながら少しでも温度が上昇したら換気をし、逆に下降したら熱風を送り込む。
この麹造りに要する時間は二昼夜、48時間。 その間、寝ずの番がつづく。昔から「一麹、二もと、三造り」と言われるように、うまい酒づくりの鍵を握っているのが麹で、その出来映え次第で酒の質も左右される。
出来上がった麹と蒸米と水、そして酵母菌を入れて出来たのが酒母(しゅぼ)で、酒の元になるところから「もと」とよばれる。
又、この中には酵母の働きを邪魔する雑菌類から守るため、乳酸が入れられる。
この乳酸の入れ方により2通りの造り方がある。
「速醸もと」系 | あらかじめ既製の乳酸を添加する方法 |
「生もと」系(生もと、山廃もと) | 自然の乳酸菌によって日数をかけて乳酸を作っていく方法 |
「もと造り」に要する日数は、「速醸もと」で約15日、「生もと」だとその倍近くかかる。
酒母に麹、蒸米、水を加え、もろみを造る。
もろみ造りは一度に仕込むのではなく、「三段仕込み」といって普通3回に分けて行われる。
最初が「初添(はつぞえ)」、2回目が「仲添(なかぞえ)」、3回目が「留添(とめぞえ)」と呼ばれ、量をだんだん増やしてゆく。 いっぺんに量を増やすと酵母が発酵不能に落ちいるからだ。このもろみの中では、麹が蒸米のでんぷんをブドウ糖に変え、そのブドウ糖を酵母がアルコールに変える「併行複発酵」が行われている。
留添を終えたもろみは、温度管理をしながら20日間ほど放置される。
ちょうどよいアルコール分を含んだ状態を見計らって、もろみを搾り、酒と粕に分けられる。
搾った酒は、そのままでは酵母が生きているので、気温の上昇してくる春から夏にかけて変質してしまう。
そこで、約60℃の熱で低温殺菌を行い、酵母の活動を休止させる。
火入れをせずに特殊なフィルターを通して、酵母やその他の菌を漉し取り、発酵を止めたものが「生酒」である。火入れを行った酒は貯蔵タンクに入れられ、熟成のために秋口まで寝かされる。
味、香りともに淡麗さ、芳醇さを十分に発するようになったら、腐敗防止のためにもう一度「火入れ」が行われ、いよいよビン詰めされて出荷される。