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被爆の「慟哭」自作曲で朗読

ギター奏者作山さん 29日、千葉で

リハーサルを重ねる作山さん(左)と原さん

 クラシックギター奏者の作山貴之さん(48)(千葉市稲毛区)が、原爆被爆者の詩を自作の曲に乗せて朗読するライブを29日、千葉市中央区中央のライブスポット「Music cafe 92」で開く。3年ぶりの再演を目前に控え、作山さんは「被爆者の叫びを思い出すきっかけになれば」と意欲を燃やしている。

 作山さんは、プロのギター奏者として国内最大の東京国際ギターコンクールの審査員を務めたほか、県内を中心に各地のギター教室で指導を行うなど、幅広く活動している。

 今回朗読される詩「慟哭(どうこく)」は、広島市の大平数子さんが1955年に作ったもの。原爆で失った夫や、その後亡くなった二男らとの別離の悲しみをつづった内容で、今も多くの人に読み継がれている。

 作山さんが「慟哭」と初めて出会ったのは、女優の吉永小百合さんの朗読を特集したテレビ番組。戦後60年を迎え、戦争を振り返るコンサートを開きたいと考えていた時で、「自分にできるのは、この詩に合った曲を作り、演奏することだ」と思い立った。完成は2005年5月。やはり原爆により両親と弟を奪われた同市の林幸子さんの詩「ヒロシマの空」(52年発表)の曲も一緒に書き下ろした。同8月に千葉市内で初演し評判を呼んだ。

 今回の再演では、都内で演劇活動を行う船橋市在住の原律他さん(58)を朗読のパートナーに迎える。原さんは、「私は戦争を体験していないが、戦争が引き起こした事実を伝えていくことが大切」と話す。

 午後8時開演。作山さんによる自作曲の演奏なども行われる。「ITVちば」がインターネット(http://www.itv‐chiba.com/gakuya)で生中継する。問い合わせは「Music cafe 92」(043・202・5592)へ。

2008年5月24日   読売新聞)