[ Ots HOUSE ]2001〜2002
神奈川県海老名市/個人住宅/木造軸組地上2階建て
設計_中辻正明・都市建築研究室(中辻雅江+中辻正明)
監理_同上
構造_井上建築構造設計室
施工_住宅装備
プロデュース_ベースメント
※ニューハウス2003年7月号 (No.573) 掲載
※ 間取りが決め手の住まい_掲載
(ニューハウス出版/ニューハウス・ムック No.104)
※TBS系「ニュースの森」2003/11/14
撮影_Archi-Photo 北嶋俊治氏
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この住宅は、新しい住宅団地の北東角の入り口に位置します。
東側には生活用の歩道があり、南東から西側まで2階建て住宅が
建て込んでいます。計画に際しての主な要望は次の三つでした。
1)建て込んだ南側の既存住宅を避けた開口部から自然光や通風
が住宅全体に行き渡ること。
2)成人した家族全員の個々の生活スタイルとプライバシーが尊
重される空間であること。
3)家族の気配が互いに感じ取れる構成であること。
上記の要望を実現する方法として、居室の他にふたつの要素を
付加しました。居室の構成は、1階に家族が集う大きなLDK、
1.5階にアトリエ(その床下には納戸)、2〜2.5階に間仕
切り壁を共有しない独立したみっつの個室となっています。付加
した要素のひとつは、建物上下階全体を貫通する一間巾の街路的
空間です。そこはタイル貼りの1階が外部から延長された土間ス
ペースで、2階は透過性のあるスノコ床としました。二つの開閉
式トップライトを設けた明るいこの空間では、通り抜ける光や風
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と同様に、人の視線や動きもおおらかに許容されているようです。
もうひとつの要素は、2〜2.5階に設けた三つの小さなポケッ
トパークのような空間です。このスペースはスノコ床と大きな開
口で構成され、平面的にも立体的にも、内外の領域を曖昧にしま
した。約2帖=1坪という広さは共通していますが、床レベルと
天井高さは三つとも異なっているため、各々が違った様相を呈し
ています。互いのスペースは部屋や吹抜などを介して見通す事が
可能で、特定の用途や機能を持たないスペースが各室の間や上部
に点在・ネットワーク化しています。それにより、住宅内部に多
元的な広がりとつながりがもたらされました。そこは家族が自由
な発想で活用したり、何もしなくても構わない空間なのです。日
常の煩雑さの密度の低いエアポケットのようだったり、都市のポ
ケットパークのように意外な発見があったり、まさに洋服のポケ
ットのように使わなければ気付かないが、あればとても有効であ
る、そんな空間を住宅にも設けたいと考えていました。
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