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作家紹介岸田淳平
岸田淳平展/秋の言葉

1999年11月18日(木)‐28日(日)

もう忘れかけていたが、思い出してしまった。
母は幼いぼくを連れて、別府に家出した。半年近く暮らしたはず
なのに、温泉があり、猿がいて、母が泣いていたことしか覚えて
いない。なぜ家出したのか、宝塚に住んでいる83歳の母に電話し
たら、「そんなことがあつたかね」と童女のように笑った。

[作品画像]
「卓上の花」
墨・染料/紙
31.0×24.5cm
1999年
岸田淳平小品展『二千年の冬色』

2000年12月2日(土)‐17日(日)

こんな人生があってたまるか。だけど、涙もかれる。
せつなさを、言葉にすると嘘になり、絵にするとつまずく。それ
が人生とはおもわないが、そんな人の生もあるかな、とおもった
りする。二千年の流れのなかに、ひとつの生として、たしかにあ
った。それだけだ。いまも、いまも、時は過ぎてゆく。岸田淳平

[作品画像]
「聖家族」
墨・岩絵の具・染料/紙
20.0×13.5cm
2000年
岸田淳平展・Kへの手紙

2001年11月10日(土)‐23日(金)

ぼくの絵をみつめるあなたの慈愛にみちたまなざしを、
ぼくは、忘れないでいる。
そんなあなたへの手紙を書くつもりで、そして、
「いいな」と、また、ほめられたくて、描いてみた。
でも、かききれなかった。
やはり、あなたへの手紙は、永遠にかけないだろう。
ぼくは、いつも、旅の途中だ。      岸田淳平

[作品画像]
「ちいさな秋」
墨・岩絵の具・染料/紙
19.8×13.7cm
2001年
岸田淳平展/哀しみの器

2003年2月22日(土)‐3月9日(日)

うまれたときから、おんなは、傷ついている。
そう気づいたのは、うかつにも、もう中年も過ぎた頃
だつた。ぼくのつたない愛撫などで癒せるわけもなく、
傷口をひろげるだけの幼さだった。その器に哀しみが
あふれたおんなのかたちを、ぼくの貧しい筆は、追い
かけては、つまずく。また、起きあがる。 岸田淳平

[作品画像]
「月光」
混合技法/紙
19.7×13.6cm
2003年
岸田淳平展/寒い春

2004年2月26日(木)‐ 3月14日(日)

ものすごい数のおんなを描いてきた。でも、いまだにおんな
がわからない。その哀しいかたちの真実をあばくなんて、で
きもしないのに、ぼくは死ぬまで絵筆を握りしめ、おんなに
にじり寄るのだろう。ぼくのおんなたちは、深くて暗い河の
向う岸で、ただ微笑むばかりで、なにひとつ答えてくれない。
立ち尽くすぼくに、春は、まだ遠い。      岸田淳平

[作品画像]
「楽 園」
墨・岩絵具・染料/紙
19.9×13.6cm
略歴
日本国際美術展、現代日本美術展、現代日本絵画展、現代形象展、
現代の裸婦展、エンバ賞美術展、日本アートフェア展、
サロン・ドートンヌ展、ハンガリー日本美術展、日仏現代美術展、
イビザ・ビエンナーレ展、インターグラフィック展、
国際グラフィックアートビエンナーレ展、
クラコウ国際版画ビエンナーレ展、リュブリアナ国際版画ビエンナーレ展、
国際ミニチュア版画ビエンナーレ展、和歌山版画ビエンナーレ展、
西武美術館版画大賞展、版画グランプリ展、版画大賞展、などに出品。

(大分)みさき画廊、
(福岡)画廊香月、
(熊本)ひとよし森のホール、ギャラリーキムラ
(東京)ギャラリー椿、杏美画廊、シブヤ西武百貨店、
シロタ画廊、日辰画廊、プラザギャラリー、
ギャラリーしらみず美術、
(大阪)江戸堀画廊、ギャラリー井上、
(新潟)たけうち画廊、小国芸術村会館。

(東京都)東京オペラシティアートギャラリー、
寺田小太郎コレクション、
(鳥取県)米子市美術館、
(新潟県)小国芸術村会館、
(ポーランド)ウッジ市立美術館、
シロタ画廊、日辰画廊、プラザギャラリー、
ギャラリーしらみず美術、
(エジプト)国際グラフィックアート美術館。

『放課後読本』、『犯罪的放浪』(立風書房)
詩画集『春の涙腺』など。
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