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画廊の窓から
2005.6.24(fri)
「扇風機」
[PHOTO]

梅雨入りして、もう七月になろうかというのに雨の気配は遠のく一方。
六月からまとまった雨が降らず、蒸し暑い日々が続き
しっとりとした梅雨が少し恋しくも感じられます。

画廊では、2年前の夏につれて来られた床置き式の扇風機が毎日活躍し、
グレーの床で黄色の羽が、冷房の風をまんべんなくかき混ぜてくれています。
リモコン式ではなく、カチカチとスイッチをひねって風量を調節する、
タイマーも首振り機能もなんにもない扇風機ですが。

家にある、かなり昭和の匂いのする扇風機は、
弱風だともう羽がうまく回らず、囁くほどの風しか送れなくなっていますが、
ボタンを押すとちいさくカタカタ言いながらやっとの思いで回る「1」の風は
扇であおいでもらっているようで妙に心地いいのです。
二十年以上は活躍しているであろうその扇風機は、
今のプラスチック製のものと比べてものすごく重く、角張っていて、
ここに居ます!という存在感があります。
最近のものは外国製が多く、次々に新しい型が出てきますが、
置くだけでぐっと昭和の雰囲気になる青い羽の扇風機、
やっとの思いで動いているようにも見えるけれど
まだまだ現役でいてくれそうな安心感も兼ね備えているから不思議です。

毎年夏になると登場して、涼しくなるとまた姿を消す扇風機。
もうすぐレトロと呼ばれそうな国産のボタン式は、
マイナスイオンよりも、こころ安らぐ風をおくってくれます。
遥か時を越えて受け継がれてきた、懐かしい昭和の青い風。
新しくもレトロなつくりのチャンネル式も、
大切にしたい、やさしい黄色の新しい風。

夜の空気はまだひんやりとして心地よく、虫の音が涼しげです。

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