登場人物
浩邦
9月末に彼女さんとサイパンに行くとか。でも、彼女さんはまだAOWを取ってないから浩邦だけとっても意味ないんだって。ヒグチさん
町田店のインストラクター。オオツカさん
P.P.B.セミナーをすでに受けただけあって中性浮力は完璧。チームのムードメーカー。モリヤさん
ぜんぜんお話しできなかったね。トモダさん
オレはトモダさんのログブックに「フィンをつけてくれてありがとう」と書くのを忘れてしまった。マチダさん
唯一年輩のお方。南の海で潜るのが好きらしく、伊豆の海はパパラギのスタッフが言うほどは綺麗でないと言っていた。浩邦と同意見だね。しんいち(筆者)
用語集
オープンウォーター
スキューバダイビングをするために最低限身につけなきゃいけない資格(資格とは微妙に違うんだけど)。BCD
浮力を調整するために身につける器材。水面ではライフジャケットの代わりになったり、水中では中性浮力を取るために中の空気を入れたり出したりする。フィン
足ひれのこと。ドライスーツ
これが使えれば寒い冬でも海に潜れる!エントリー
海に入ること。エキジット
海から出ること。ファンダイブ
何かの能力を身につけるための講習ではなく、遊びのダイビング。ポイント
魚や珊瑚礁、洞穴や沈潜など海中の見所。
ダイビングのAOW(アドバンスドオープンウォーター)の海洋実習に行ってきた。いつも通り伊豆・富戸(ふと)の海で潜るので前日から天城に泊まっていた。
パパラギのAOW講習は「ピークパフォーマンスボイヤンシー(P.P.B.)」「水中ナチュラリスト」「水中ナビゲーション」「ディープ」「水中フォト」の5つのテーマで潜る。1本潜るごとにこれらの講習をひとつずつこなしていくわけだ。OW(オープンウォーター)がダイビングの基礎テクニックと基本的な緊急手順を学ぶ講習ならアドバンスコースは「遊び方」を学ぶコースです、とパパラギの広告やホームページには書いてある。この講習を受ければOWでは18メートルだった最大深度が40メートルまで潜れるようになったり(あくまで「潜ってもいい」というだけで誰でも潜るのが可能なわけではない)、海外でも制約なく潜れるようになる。オレとしては「P.P.B.」が一番楽しみだった。OW講習でもダイバーデビューツアーでも思ったことだけど、中性浮力を上手く取れるようになってもっと上手く泳げるようになりたかった。
今回のインストラクターはヒグチさん。オレ的には人を小馬鹿にしたようなしゃべり方がいまいち好きになれなかったんだけど、町田店つながりでオオツカさんとの掛け合いは見ていて楽しかった。その他の参加者はモリヤさん、トモダさん、マチダさん、浩邦の全部で7人チームだ。
まず初日の1本目は「水中ナチュラリスト」という項目。水の中で生き物を見つける練習だ。脊椎動物2匹、無脊椎動物1匹を見つけて絵を描くというのが課題だった。絵はスレートという道具に描く。これは「せんせい」っていう玩具と同じもので、砂鉄と磁石で字や絵を描いて、水中でコミュニケーションを取るために使う道具だ。インストラクターの中には大きくてたくさん書けるという理由で「せんせい」そのものを使っている人もいる。オレはキュウセンという魚とイシモチを描いた(イシモチは描いてる途中で逃げられた)。が、無脊椎動物は見つけられなかった。チームの中にはエビを見つけた人もいたらしい。
オレは生き物にはあまり興味がないし、絵心もないのだが、それよりも今日も中性浮力が上手く取れないことにいらだちを覚えていた。今回はヒグチさんの指示で6kgのウエイトをつけていたんだけど、やはり重かったんじゃないだろうか。浮力を上げようといつもより多めにBCDに空気を入れると今度は浮きすぎてしまう。エキジットしてからヒグチさんに浮き気味と言われてしまった。
2本目は「水中ナビゲーション」。水中を泳いでいるときはいろいろなところに泳いでいくわけだが、最後はきちんと最初に潜り始めたところ、あるいはビーチ(浜)のエントリー口に戻ってこれるようにするための練習だ。今回は一辺が15メートルの正方形を描くように泳いで戻ってくる練習をした。方向はコンパスで、距離は自分のキック数で測る。オレの場合は15キック(「1キック」は両足それぞれ1回ずつ蹴る)で15メートルだった。
ところが、1バディ(2人1組)ずつやるわけだけど、オレと浩邦は最後の組。時間が押してるもんだから2組目がスタートしたらすぐオレらもスタートしてしまう。自分で方向と距離を見なくても前の組のを見てればわかっちゃうんだよね。これじゃ練習にならない。
そして、実際のファンダイブではポイントが正方形に配置されてるとは限らない。なにせ自然のものだからね。この講習とは別に「水中ナビゲーションSP」というスペシャリティ(選択授業のようなもの)があって、ジグザグに進んだときも戻れるようにする講習がある。オレはそっちの方が役に立つと思うんだけどね。
講習が終わって器材をメッシュバッグにしまう。本当なら器材を真水で洗うんだけど、明日も使うから今日はいいんだって。本当にいいの? なんか器材をどこにしまうかとか、着替えるのか着替えないのかとかの指示があいまいで、なんかこのヒグチさんっていうイントラは好きになれないなぁ。悪い人じゃないんだけどね。
クラブハウスの同室の人は面白かった。この人は今日P.P.B.セミナーというスペシャリティをやってたそうだ。本当はこの講習は日帰りなんだけど、明日ドルフィンスイムトレーニングという、イルカと一緒に泳ぐためのスノーケリングの講習を受けるので別料金で泊まることにしたらしい。オレもP.P.B.セミナーやドルフィンスイムトレーニングには興味があったんでいろいろ話を聞かせてもらった。
2日目は3本潜るので朝が早かった。クラブハウスの朝食ができるのを待っていることもできないので、昨夜スタッフの人がスーパーに買い出しに行ってくれたそうだ。朝食を終えて準備をし、海に行くとガラガラ。だけど、1本目を終えてエキジットするとダイバーだらけになるからスゴイ。
2日目の1本目はディープダイビング。ダイビングは1本目→2本目→3本目→…とだんだん浅いところでやらなきゃいけないので、ディープダイビングは1本目なんだと。
今日はヨコバマ(昨日は脇の浜)で潜ったのだが、ヨコバマは深度10メートルを超えるとあっという間に20メートルまで行ってしまう。-20メートルは砂地だった。ここは中味の入った缶コーヒーがべっこりとへこみ、赤色が黒く見える世界だった。ここまで深く潜ると「窒素酔い」という酒酔いに似た症状が起こるらしい。イントラが講習生に簡単な(2+3は?レベルの)計算をさせて確かめるんだけど、ヒグチさんはオオツカさんにわざと難しい計算をさせてからかっていた。町田店つながりのこの二人の掛け合いは見ていて面白かった。
2本目はP.P.B.という、中性浮力を取る練習だ。このAOW講習でオレが一番楽しみにしていた講習だ…ったんだけど、
内容の薄さにガッカリ(>_<) フィンピボット(フィンの先を海底につけたまま呼吸によって状態を浮かせたり沈めたりする、中性浮力を取るための練習方法)をやって離底(海底の砂を巻き上げずに海底から離れる方法)をやってみて中性浮力を取るだけ。はっきり言ってOWのプール講習のくり返しだった。もっと、自分の適正ウエイトを量ったりだとか、離底や砂を巻き上げないキックのやり方とかをきっちり練習するのかと思っていた。そして、相変わらず中性浮力は取れずじまい。今度改めてP.P.B.セミナーに行こうかなぁ…。
もうBCDに空気を入れて中性浮力を取るのも諦めた。ウエイトを1kg軽くして5kgにしよう。
ラストの3本目(2日間で通算5本目)は「水中フォト」の講習。今回はMX-5(エムエックスファイブ)というカメラとモーターマリンUというカメラのどちらかを選ぶことができた。実を言うとモーターマリンを使ってみたかったんだけど、絞りやシャッタースピードを調整しないといけないので抵抗を感じてしまった。MX-5は細かい調整は何もないからひどい失敗はないはずだ(後で思ったことだけど、パパラギ渋谷店のレンタルカメラはモーターマリンだから、このときモーターマリンを使ってみればよかったかも)。
エントリーして潜降。ウエイト5kgでも潜降に問題はなかった。でもって、水中でもなんとなく調子がいいような気がする。やっぱ5kgでよかったんじゃん!
なんとなく中性浮力が取れるようになってきたら泳ぐのも楽しくなってきた。そして、写真を撮るのがすごく楽しい! この写真が現像できたら今まで「こんな魚見たよ」「こんな感じの魚見たけど、名前なんて言うの?」っていう話が写真を見ながらできるわけだ。ソラスズメダイやウツボをはじめ、キタマクラ、ミノカサゴ、キュウセン、…といろいろな魚を取った。アオヤガラと黄色い魚を撮り逃したのが残念だった。と、魚の前に浩邦も撮ったんだった。
で、できあがった写真がこのページに載せてある写真なんだけど、どれもこれも魚が小さくなってしまっている。つまりはカメラから被写体の魚までが遠いということ。水中カメラにはデジカメのようなズームはないからね(レンズが交換できるものはあるけど)。ヒグチさんには魚から1.5メートルくらい離れて撮ると言われたんだけど、後で渋谷店のニシヤマさんに聞いたら70cmくらいがいいらしい。MX-5でピントが合うギリギリまで寄った方がいいってこと。それから、画面全体にある光の粒々。これは水中のプランクトンや塵にフラッシュの光が反射してるんだって。外付けのストロボを使うか、あるいは内臓フラッシュの光を指でさえぎって光が当たらないようにするんだって。そんなの知らなかったよ…って、しょうがないよね、初めてなんだから。今度やってみればいっか。
ミノカサゴ ソラスズメダイ ? まあ、写真のできはともかく、写真を撮ってるときに反省といえば夢中になって浩邦と離れがちになること。AOW講習の目標に「バディシステムの確立」ってのがあるんだけど、いまいちできてないねぇ。水中フォトの講習中にオレのフィンがはずれてしまったんだけど、バディである浩邦には気づいてもらえず、トモダさんが直してくれた。
2日間で5本潜ったんだけど、面白いと感じたのは最後の1本のみ。というわけでオレのAOW講習の満足度は20%だ。まあ、ゼロよりはいいんだけど。
AOW講習はいろいろな分野の触りだけを「体験」するっていう感じだった。いろいろな分野を「体験」するけど、「修得」まではいかないみたいな。各分野の基礎的なことをきちんと「修得」するにはやはりスペシャリティを受けなければいけないような気がする。ニシヤマさんに相談したら「ボートダイブセミナー」と「ドライスーツセミナー」は受けといて間違いはないらしい。オレ的には他に「水中ナビゲーションSP」と「水中フォトSP」を受けたいな。で、そこまでやってまだ中性浮力が取れなかったら「P.P.B.セミナー」を受ける、と。あとはファンダイブの経験も積みたいよね。