瀬戸内寂聴女史の小説『髪』 |
瀬戸内寂聴女史の短編小説『髪』を紹介します。 収録されている本は 「髪」新潮文庫 新潮社 「髪」単行本 新潮社 「瀬戸内寂聴全集 第15巻」 新潮社 です。 源氏物語「手習」巻に取材した作品で、源氏物語では脇役の横川の僧都の弟子の視点で 浮舟とその長い黒髪が語られます。 浮舟の髪は「六尺にあまる」と表現されています。 一尺の長さは時代によってさまざまですが、 一般的な30.3センチとすると180センチ以上ということになり、 正しく身の丈にあまる黒髪です。 この小説では女性の黒髪は男を惑わす魔性の象徴として描写されていて これにはあまり共感しませんでしたが、 「千筋の一本一本すべてに血が通い、生命が宿っている温かさがあった」という描写 には大変共感します。私にとって髪は体の一部ですから。 『髪』というタイトルだけに平安時代の黒髪ロングヘアの描写はとても多いです。 やや大人向けの描写があり万人にはお勧めできませんが、平安時代が好きな方、 源氏物語が好きな方は是非一度読んでみてください。
[2006/01/26 02:07:46]