コスプレ撮影の掟

 コスプレ撮影は、普通のモデル撮影会とは違い、カメラさえ持っていけば誰でも撮影できるものではありません。基本的に、モデル撮影とコスプレ撮影とは全く別物です。コスプレとコスプレ撮影の知識がない人が安易にコスプレ撮影をすることはトラブルの元です。
 コスプレカメラマンとしては駆け出しのぼくですが、知っている限りのルール・マナーを記してみます(他に、こんなルール・マナーがある、ということがありましたらお知らせ下さい)。これらに違反するとスタッフに通報され、会場から閉め出されたり、その他の会場でも排除されることがあります。


0 好きなキャラをやっているコスプレイヤーを、そのキャラが好きなカメラマンが撮影して、そのキャラや作品についての話で盛り上がる、というのがコスプレ撮影の本来の姿です。元々は、コスプレイヤー同士で撮影しあっていたものです。

1 カメラマン登録が必要な会場が多くなっています。カメラマンは受付で、住所・氏名を記入し、使用カメラと身分証明書を見せ、登録料を支払わなければいけません。また、会場内は、カメラマン登録証を衣服に付けなければいけません。多くの会場では、望遠レンズは持ち込み自体が禁止されています。

2 コスプレイヤーはモデル撮影会に雇われたモデルとは違い、見ず知らずのカメラマンに撮影されることを承諾していません。撮影するときは、コスプレイヤーに撮影許可が必要です。カメラマン登録は撮影許可ではありません。撮影させてもらう時には常に一人一人のコスプレイヤーからの撮影許可が必要です。無断撮影は最低の行為です。また、撮影をお願いしても、断られることもよくあります。しかし、撮影させるかどうかの決定権はあくまでもコスプレイヤーの側にあります。

3 モデル撮影会と違い、ポーズや表情の決定権はコスプレイヤーにあります。また、そのポーズ・表情も、キャラのポーズです。あれこれ勝手なポーズや表情を要求することはマナー違反です。時々、笑顔を要求しているカメラマンをみかけますが、笑わないキャラや、笑わないシチュエーションを想定したコスプレをやっていることがあります。作品やキャラクターを理解せずにカメラマンが表情やポーズを要求することはマナー違反です。モデル撮影会とは逆に、主導権はコスプレイヤーにあることをお忘れなく。

4 モデル撮影会と同様に、ポーズを取っていない時(スナップ写真)の撮影はNGです。

5 「一枚お願いします」「2枚お願いします」というふうに、撮影枚数を事前に言う。

6 初対面のコスプレイヤーのメールアドレス・電話番号等を聞かない。ナンパ目的と思われます。メールアドレス・電話番号などの個人情報は、イベントで何度も会って話をするようになって初めて教えて貰えることがあるという程度のものです。撮影させてもらったら、お礼を言って、速やかに次のカメラマンに順番を譲りましょう。

7 後ろ姿の撮影はNGです。それは、お尻狙い・パンチラ狙いのカメラマンがいるからです。また、ロングヘアのコスプレイヤーが髪が長くないキャラのコスプレをするとき、前から見ないとそのキャラにならない、という場合も正面以外からの撮影はNGになります。

8 自分のやっているキャラが何か分からない人には撮影させない、というコスプレイヤーもいらっしゃいます。

9 ホームページや掲示板に無断掲載してはいけません。撮影許可と掲載許可とは全く別のことです。撮影した写真の所有権は撮影者にありますが、肖像権はコスプレイヤーにあるからです。ホームページや掲示板に無断掲載した場合、法的措置を取られる場合があります。

10 スタッフの指示あるいはコスプレイヤーの意志で、自分の撮影の順番の直前で撮影が終了することがあります。これは、コスプレイヤーの休憩のためです。運が悪かったと思ってあきらめましょう。

11 ロングヘアのかつらを付けているコスプレイヤーがかなりいますが、自前の髪のコスプレイヤーに対して、
 「自毛ですか?」
と聞くのは、聞かれた側はあまりいい気分ではありません。

12 顔のアップはNGというコスプレイヤーはたくさんいらっしゃいます。それは、コスプレイヤーはモデルではないからです。コスプレ撮影は、コスプレイヤーが作品のキャラクターを衣装やアクセサリーやメイク、そしてポーズや表情でどう表現したかを写真にするものです。

13 ビデオ撮影はお断り、というコスプレイヤーがたくさんいらっしゃいます。

14 パンチラ狙い・胸狙い・お尻狙い等のエロ目的撮影はできません

15 コスプレをして同人誌販売の売り子をしている人もかなりいらっしゃいますが、指定された撮影場所以外では撮影禁止が原則です。つまり、売り子をやっているコスプレイヤーや、会場内を移動中のコスプレイヤーの撮影はできません。


 マナーの悪いカメラマンが後を絶たないため、会場での規制が年々厳しくなっています。また、コスプレ自体が禁止されてしまったイベントもあります。女性が見ず知らずの男性からカメラを向けられるのはNGで当たり前なのを撮らせていただいているんですから、カメラマンとして、コスプレイヤーさんを不愉快にすることだけは避けたいものです。


ロングヘアマガジン