「髪は血の余り」「髪は腎の華」/髪によい食材2

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 再び、東洋医学の立場から髪によい食材について。今回は少し基本的な考え方から。
 漢方では髪は「血余」と呼ばれている、というTVCMをご存じの方も多いと思います。これは、漢方の聖典である「本草備要」にある言葉です。「本草備要」は同時に、「髪は腎の華」とも述べています。
 ここで言う「血」「腎」は、漢方医学の概念としての「血」「腎」であって、西洋医学的な血液・腎臓と関連はしていますがイコールではありません。
 漢方で言う血とは、血液・ホルモンなどを含めた体液の総称で、西洋医学的に言えば、循環器系や内分泌系の総称です。つまり、栄養素の循環・生体内の調整・老廃物の除去が「血」の役割であり、一言で言うと、生命活動を活性化させるものです。「血余」の「余」は余裕のことです。「血」が不足したり循環が悪くなると「血余」=髪を美しく保つことができないのです。
 漢方で言う「腎」とは「精」(=精気=生命力・生殖力の源)の貯蔵場所です。腎の機能は中年以降に次第に低下し、精の蓄えが減少していきます。これを腎虚といいます。腎虚というと、世間一般には、男性がセックスのやりすぎで精液と生殖能力を失った状態、と理解されていますが、これは俗論です。腎虚は老化であり、精が全くなくなった状態が死です。腎虚は男女ともに加齢とともに必然的に現れてくるものです。白髪は腎虚の症状の一つです。「髪は腎の華」と言う言葉は、髪は生命活動のエネルギーの精華だ、ということを意味しています。
 従って、漢方の立場から髪によい食材は、「血」を養う、「精」を補い「腎」を養う、という立場で考えればよいことになります。(なお、「精」を補うことと強精剤を摂ることとはイコールではありません。むしろ強壮を考える場合がよいこともあります。)
 上に書いたことから分かるように、髪によい食材といっても、髪自体に働きかけるのではなく、全身の生命活動を活性化し精気を養うことを通じて髪が美しくなるわけです。逆に、不健康であったり栄養が不足している場合は、体は「華」を作る「余裕」を失い、精気を髪ではなく他の部分にまわしてしまい、髪はその美しさを失ってしまうわけです。でも、髪は華、というのはロングヘア女性を見るとまさにそう思いますね。
参考:漢方実用全書(丁著 池田書店)
   薬膳(劉著 主婦の友社)
   漢方食美容法(張・竹内著 山海堂)

[1999/08/10]


髪によい食材2  wind


 上に書いたことを基礎に、もう一度髪によい食べ物を挙げてみます
 「一日薬膳」には、腎によい食品と血によい食品が挙げられています。それを紹介すると、
腎によいもの
 ぶどう・緑黄色野菜・クルミ・栗・黒豆・黒ゴマ・黒きくらげ・黒くわい・豚の腎臓・貝柱・かき・なまこ・えび・蟹・サザエ・すっぽん・乳製品・クコの実など
血によいもの
 なつめ・プルーン・ぶどう・貝類・うなぎ・すっぽん・レバー・ゴマ・卵・紅花など
です。
 「漢方食美容法」には、クルミは強壮・補血作用が、シイタケ・ラッキョウは血行を促進し、それぞれ髪によいとされています。
 「薬膳」には、ハチミツに強壮・強精作用があり、髪によいとされています。
 澤水月さんが言われている、、「ねばねばした食べ物が良い」ということですが、これは漢方の立場から言っても根拠があります。ぬるぬる・ねばねばした食品は「腎」を補う作用があるとされます。山芋・里芋などが補腎の働きをする野菜の代表です。(山芋はその干したものが山薬という生薬です。)昆布、およびワカメ・ヒジキなどは、脱コレステロール作用がありますので血行をよくすることにつながると思われます。

参考:漢方食美容法(張・竹内著 山海堂)
   薬膳(劉著 主婦の友社)
   「一日薬膳」(多摩川新聞社) タイトルは正確には「きれいになったね 一日薬膳」です。

[1999/08/10]


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