記事タイトル:水道水とプールの水が髪に悪いわけ |
水道水とプールの水が髪に悪いのは、塩素が原因です。 水道水には殺菌のため、蛇口から出てくる段階で塩素が残留することが法律で決まっています。 しかし、塩素は髪を傷めます。これを世界で最初に実験で実証したのが京都市の皮膚科医、 長谷川義博先生だそうです。 長谷川医師は、塩素を含む温水を髪にかけて送風乾燥を繰り返したグループと、 塩素を除去した温水を髪にかけて送風乾燥を繰り返したグループを比較したところ、 塩素を含む温水をかけた方の髪が約7%細くなっており、電子顕微鏡で調べたところ、 髪のキューティクルがかなりなくなっていたそうです。(以上:[1]を要約) 水道水の残留塩素基準では、 「給水栓における水が遊離残留塩素を0.1mg/L(結合残留塩素の場合は、0.4mg/L)以上 保持するように 塩素消毒すること。」 と決められています。[2]ただし、これを下回ることは許されないため、 実際にはこれを上回る量の塩素が含まれています。 特に水源が汚染されている都市部の水道では殺菌のため塩素が多く使われ、 塩素から生成されるトリハロメタン(発ガン性などが指摘されている)についても 注意する必要があります。 それに対し、プールの水の塩素は離残留塩素を0.4mg/L以上(1mg/L以下)と
決まっているそうです。[3] 長谷川医師の実験にあるように、シャワーの水の中に含まれる塩素濃度が高いと 髪のタンパク質(ケラチン)が変質し、キューティクルが傷みます。 また、メラニン色素も溶け出してしまうようです。 プールの指導員・水泳選手などが髪を染めていなくても髪が茶色く、 そしてぱさぱさになってしまうのは水の中の塩素が主な原因でしょう。 水泳は体にはたいへんいいスポーツですが、 残念ながら髪にはあまりよくないと言わざるを得ません。 髪と同様、皮膚のタンパク質も塩素でダメージを受けますが、皮膚は自己再生能力が非常に高いため、 水道水で手や体を洗ったりしても問題にはなりません(美容の面(洗顔)や、 あるいはアトピー性皮膚炎の方などは気を付けた方がいいでしょうが)。 しかし髪には自己再生能力がありません。洗髪は(ほぼ)毎日のことですから、 塩素を含む水による刺激は避けられるなら避ける方がいいようですね。 飲み水はミネラルウォーターや浄水器を通して塩素を除去した水を使うのと同様、 洗髪に使う水もシャワー用浄水器を使う方がいいかもしれません。 参考: [1]毎日新聞 1998年8月21日
[2]水道法施行規則 (平成4年12月21日厚生省令第70号) [3]滋賀県遊泳用プール条例(注:残留塩素基準は国の基準に従っているはずです)
[2003/08/09 13:27:31]