ヘアカラーの毒性
ヘアカラーについては、髪が非常に傷むことはよく知られていますが、髪が傷んでもいいから髪の色を変えたい、というなら個人の自由です。ただ、いろいろ調べてみると、ヘアカラーは単に髪が傷むというだけではなく、強い毒性を持つ物質が何種類も含まれていて、健康に重大な影響があるのが分かってきました。茶髪が女性の8割という状態が本当にいいのだろうか、と感じました。このページでは、ヘアカラーの有害性について医療系サイトを中心に調べたことを紹介していきます。
最初、このページのタイトルは「ヘアカラーの有害性について」としていたのですが、調べていくと毒性のあまりの強さに怖くなってきて、タイトルも「ヘアカラーの毒性」と変更しました。「染毛剤は有毒物質のカクテル」という言葉もあるそうです(出典:ふくろう通信2003-4(医)((医)一木こどもクリニック))。
目次
ヘアカラーの致死量と毒性
ヘアカラーによる健康障害
ヘアカラーは環境ホルモン
ヘアカラーによる皮膚炎
ヘアカラーの致死量と毒性
ほとんどのヘアカラーに含まれるパラフェニレンジアミンは致死量が10gで、皮膚や肺から速やかに吸収されるということです。
以上参考:「染色剤(ヘアダイ・ヘアカラー)」((財)日本中毒情報センターより)
スーダンのハルツーム大学のハシムらによる1992年に発表した報告では31例のパラフェニレンジアミン中毒の症例のうち殺人目的が3例あったそうです。その前の文章を読むとこれは、パラフェニレンジアミンを含むヘナによる殺人というふうに読めます。(出典:ヘアダイが健康に及ぼす影響(角田和彦(坂総合病院小児科医長);食べもの通信 2001年11月号掲載)
フィンランドではパラフェニレンジアミンの一般目的での使用自体が禁止されているということです。髪を染めている途中、使用していたブラックヘナにより急死したスリランカの歌手の事例もあります。フランスでは、ヘアダイによる自殺の事例があるそうです。(出典:危険な毛染め剤(別処珠樹;月刊
『生活と環境』 03年5月号掲載))
死亡にまで至らなくても、こういった毒性の強い物質が頭皮を通して体内に取り込まれるわけですね。
ヘアカラーによる健康障害
ヘアカラーによる健康障害については、アレルギーの専門家である坂総合病院小児科医長角田和彦氏のページ「ヘアダイが健康に及ぼす影響」(食べもの通信 2001年11月号掲載)が一般人向けで分かりやすく、総合的で、かつ信頼ができると思います。(角田先生のサイトトップはこちら。アレルギーについて分かりやすく解説されています。)
それによると、ヘアカラー使用によって起こりうる症状・病気として次のようなものが挙げられています。
アナフィラキシー(急性のショック症状で非常に危険)
接触性皮膚炎
結膜炎
気管支喘息
腎臓障害
貧血
発ガン性
特にカラーリングを職業とする美容師の間で健康被害が広がっているそうです。
皮膚炎についてはいろいろ情報がありますが、貧血やショック症状もあるんですね。
ヘアカラーは環境ホルモン
特定非営利活動法人・日本子孫基金の依頼で北里研究所病院臨床環境医学センターの坂部貢部長が研究を行いました。市販のカラーリング剤3種類を通常髪に塗る濃度の1/100万〜1/1000億に薄めて乳ガン細胞に加えたところ、3種類のカラーリング剤全てが乳ガン剤を増殖させたそうです。その割合は、最小で10%、最大で40%だそうです。これがカラーリング剤の環境ホルモン作用だと言うことです。
体毛を剃った雌のラットに1/10に薄めたカラーリング剤を塗布して14日間観察したところ、免疫系に異常をもたらすタンパク質が最大で1.7倍発生していたそうです。免疫系が異常になると病気にかかりやすくなり、ガン細胞への抵抗も弱まります。
また、雌のマウスにヘアカラーを塗る実験では、マウスの子宮全体が萎縮する現象が観察されたということです。
これらの研究結果は、日本子孫基金発行の月刊誌「食品と暮らしの安全」(2002年6月号)で発表されています。なお、本来ならこの雑誌記事から直接紹介すべきですが、
子育ての医学情報「ヘアカラーの注意点を知って下さい。」(文・恵志泰成 監修・中原英臣;小学館)
の記事から紹介しています。
なお、上のページでは、ひきつづいて、「妊婦や子供は使用しないのが鉄則」としています。理由は、カラーリング剤が妊娠中の女性の体内に取り込まれると、環境ホルモン作用によって胎児の性的機能の発達に影響が出たり免疫系に異常が出る可能性があるからです。
さらに、環境ホルモンは不妊の可能性を高める可能性があるということで、妊娠を望む若い女性もカラーリングは避けるべきだとしています。
長期間繰り返して使用したときの毒性もよく分かっていないとのことです。
以下はwindの感想です:有毒物質は環境に放出されると生物濃縮により高濃度で人間の体内に取り込まれる危険性があります。毎日美容院から排出される大量のカラーリング剤がまわり回って、カラーリングをしていない人の健康をむしばんでいる可能性もあるわけです。
ヘアカラーによる皮膚炎
ヘアカラーは皮膚炎の原因になります。国民生活センターに寄せられた、染髪に関する苦情や相談は、
1998年99件
1999年120件
2000年190件
と増え続けていると言うことです。具体的な事例では
「カラーリングしたら顔や首が赤くはれ、しっしんが出た」(23歳女性)
「髪がゴムのようにボロボロになった」(26歳女性)
などがあるそうです。
(以上参考:西日本新聞社「カラーリング 肌や髪のトラブル増加」)
ヘアカラーに対するアレルギーがなくても、繰り返しカラーリングすることである日突然アレルギーが出ることがあので、カラーリングする時には毎回48時間前にパッチテストをする必要があるということです。
ロングヘアマガジン