花乙女

青糖舎

柔らかく、背中をすべる
フェティシズムとエロティシズムのはざまで
乙女の頬は上気する。
ほどけた髪は黒き豊かな流れ
静脈の透ける柔肌と
ほんのり色づく薄紅が
彼女の季節を芽吹かせる。
櫛の目をするすると
その髪にとおしながら
求める腕をすりぬけるように
神々の誘惑さえも拒んで
ただ唯一わが身のみをいつくしむ
純潔の常処女。(とこをとめ)

花はたがために咲き誇る?
誰のためでもなく
ただおのれのため
艶やかに
またたおやかに
百花繚乱
命の春を謳歌する。

笑いさざめく乙女らの
首すじからなだらかに
肩をおおい
背をそって
腰にまとう黒髪は
紅き唇とともに
ひとの心を惑せしもの
なれど、触れることは禁忌
ただひとり
まことの恋人をのぞいては

「一輪の花をそのこうべに
この想いのすべてをこめて」
いとしいひとよ
風に舞うひとすじのおくれ毛が
あなたの指にからみつく
その心ごと離さぬように、と。

(2004/10/27 投稿;背景・文字色は投稿者指定)

背景素材:Atelier Little Eden


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